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いつもの場所でずっと待ってるよ 窮屈だけど別に このスペースで

「電波少女」(Denpa Girl)

というヒップホップユニットをご存じでしょうか。


元々はニコニコ動画にラップを上げていたので、「ネットラップ」という括りによく入っているようです。
メンバーの入れ替わりは何度かあるものの、初期からずっといるのは ハシシ(MC)と nicecream(パフォーマー、ボタンを押す係)の2人。

現在は、電波少女のfeaturingでもよく登場していた NIHA-C(ニハシ)がMCとして加わり、3人体制となっています。


実は丁度いまさっき、久しぶり(1年ぶり位)にSpotifyで電波少女の曲を聴こうとしたとき、音源がサブスクから消されていることを知りました。

そして、その背景に電波少女のメンバー・ハシシの大麻所持発覚による逮捕があることも。

このnoteは、

「サブスクから消えたとしても、電波少女の曲を1人でも多くの人に聴いてほしい(というか私は聴く!)


というテーマで書いていきます。

正直このテーマでnoteを書くのは不謹慎かもしれませんが、あえて、衝動に任せることにします。本当に聴いて欲しいので。

いま、電波少女をテーマにnoteを書く理由

今回このテーマで書くおもな理由は以下2つです。

1)自分自身、ここぞというときに電波の曲に救われてきた

2)電波少女の既出の楽曲は今後どうなってしまうのか?という疑問


1)自分自身、ここぞというときに電波の曲に救われてきた

電波少女の曲は、今まで自分が聴いていた音楽にはない、強い「ナニクソ精神」があるんです。例えば、

・音楽業界をひっくり返すぞ!でも売れない!ナニクソ!
・恋愛関係がうまくいかなかった!ナニクソ!


といったテーマの曲がたくさんあります。
人間だれしも、「自分はなんで上手くいかないんだろう?」と感じることってありますよね。大体の場合、ほかの人と比べてショックになったり、自分を余計に卑下してしまったりする。
ハシシさんのリリックは、そういう「なんでできないんだ!」という思いを抱くその”瞬間“に立ち返らせて、反映させる歌詞がすごく印象に残ります。

私が電波少女について知ったのは、大体5年位前だと思います。

SEKAI NO OWARI に遅咲きでハマって、セカオワがパーソナリティのラジオ、つまりSOLとか聴いてた時期。
セカオワ企画のイベント「clubEARTH 11th Anniversary」の対バン相手についてラジオで話していた回があって、そこで深瀬さんが一押しアーティストなのだと言っていたのが「電波少女」。そこから聴くようになりました。
(ちなみにこの対バン企画でほかに出演していたのは、神聖かまってちゃん、チーナ など。「推しの推し=私の推し」の精神で、そのラジオを聞いてから当時めちゃくちゃ聴いてた。)

そんな訳で、聴き始めた当初の私は「電波少女」に対して「深瀬さんが(対バン相手にするほど)好きな音楽」という先入観を持った上で楽曲を調べていました。
しかし、電波少女のいろいろな楽曲を聴いていくうちに、
それが単なる「第三者からのおすすめ」ではなく「自分自身が気になっている音楽アーティスト」へと変わっていったんです。

先にも挙げましたが、私が一番に思う彼らの魅力は、「他のアーティストが取り上げないような【ナニクソ精神】をストレートに歌っていること」だと思っています。
直球ストレートなメッセージがこもった楽曲たちを聴くことの気持ちよさは、自分の心の奥に疼いたまま眠っていたものを溶きほぐしてくれるかのようで、自分にとって少し気持ちが軽くなるような気がしたんです。

ただしはっきり言って、電波少女の曲は (ストレートすぎるが故に)鬱屈な歌詞の曲も多くあります。

彼らの曲を聴くと べらぼうに強い心を持てる!とか、元気が直ぐに出て機嫌がなおる!とか、そういう類では無いと個人的には思います。
ここまで彼らの魅力を書いている私自身も、電波少女の曲を聴き終えてから、「これ聴いて何の解決になるんだろう、、?」みたいに思ってしまう夜も幾度となく経験したことがあります。

でも、何かしら悩みがあって溜め込んでるときに電波少女の楽曲を聴くと、なぜだか泣けてしまう。
ヒップホップという性質もあって愚痴ばかり吐いているような曲が多いのだけど、ハシシさんは、彼らはしっかり、「愚痴」のみでは留まらずに そこからの解決策を探ろうと模索している。
曲を聴きながら、「内容は違えど、自分自身を磨くための模索の過程に今わたしもいるんだ」と気づいた瞬間、はっとさせられる何かがあるんです。

はっきりとナニクソ精神を歌うのではなく、細く見えづらくもしっかり織り込まれたミシン糸のように、「やれることは地に足つけてやっていくぞ」と感じさせられます。


そうした決意をじんわりと、ふつふつと感じさせてくれるのが、私にとっての電波少女です。


2)電波少女の既出の楽曲は今後どうなってしまうのか?という疑問

今回のハシシさんの大麻所持による逮捕の件から、ソニーミュージックレーベルズを通してリリースされた電波少女の全楽曲は、視聴不可能な状態となってしまいました。
ソニーとの専属契約はこの件より少し前に終了していたようですが、ともかくサブスクはクローズ、YouTubeは非公開といった状況です。

ソニー側が詳しい理由を公表しているわけではないので憶測になってしまうのですが、これには「不祥事を起こした所属アーティストは自分たちの契約アーティストとして記録を残しておけない」というソニーの強い意志が感じられます。

これ、決断としては実際の所どうなのでしょうか?

たとえば仮に「音楽業界」ではなく、俳優と所属事務所、出演していた映画という構図で考えてみます。
俳優の不祥事が起きれば、撮影中・放送中・上映中の映画やドラマ、また放映中のCMなど、その人が関わっていたものすべてが打ち切りとなる可能性があります。
しかし、既に映像作品として世に出ている映画の場合は、サブスクサービスで見ることができています。
実際私も以前noteで、東出さんが不祥事を起こし芸能界からいったん離れていた時期に、彼の出演映画『寝ても覚めても』を鑑賞したことを書きました。
不祥事を犯した俳優の作品を観るとき、鑑賞者側は何かしらモヤモヤした思いを持ってしまうことだってあります。
ただ、映画という作品の中で「出演した」という結果が残っていて、芸能界に復帰するまでの間も観ることができることは事実です。


同じように、アーティストが音楽を出すということは、彼らがこれまで考え、様々な方と協働したりして作り上げた「成果物」を世に出しているということ。
いくら「過去に所属“していた”」だけだからとしても、レーベルを通じてリリースしたアーティストその成果物を、ワンクリックで非公開に、況や無いもの扱いにしてよいのでしょうか?

ハシシさんのしたことを肯定・擁護したいという名の下では全くありません。

ただ、彼がたとえ近い未来に反省した状態で戻ってきたとして、彼個人の、および電波少女の居場所の自由はきちんと約束されるのでしょうか?

アーティストとして制作物を出す以上、その人の表現の自由を無いものにしてよいのか、腑に落ちない気持ちでいます。

3) 現存する曲を聴いていきたいという意思(&聴いてほしい)


現在、サブスクもソニー発のものは閉鎖、CDも取り扱い中止となっているようです。本当に残念。

またnoteを出した今現在、メルカリではCD各種がプレミア価格になりつつあるようです。
買って聴いてみようと思って貰えたら ぜひ!!という感じなのですが、プレミア価格のものを買うのはなんともしんどいですよね。
とはいえ、実はまだ無料でインターネットに残っているものも幾つかあります。


YouTubeでは、ソニーに入る前のレーベルである「sputniklab」から出している楽曲MVがありますので、そこで聴くことができます。

上のリンクのものよりもっと古いものだと、ハシシさんのニコニコ動画時代のハシシさんのニックネーム「武富士アコム」のチャンネルから楽曲MVが見られます。
ここにアップロードされてる曲たち、たまに聴いてはかなり心をゆすぶられるので、ずっと残っていてほしい。


このチャンネルから二曲、電波少女の骨子(と私が勝手に思っている)・「ナニクソ精神」が感じられるものをシェアします。
どちらも、FUNKY髭HANK さんという方がMCとして入っていた、3人体制の頃の楽曲MVです。


・「Munchii Bear Cookiis 」

言葉にできないくらい、最高。(言いたいことはYouTubeのコメント欄が全て示してくれている…。笑)
この曲は2018年バージョン(=再録版)もあって、アルバム「HEALTH」に収録されているのですが、ここにシェアリンクを貼ることができずほんとうに残念です。
おうちが近い方がいたらCD貸したいくらいです。ほんとに。

・「Re:カールマイヤー

この曲も、本当にほんとうに名盤です。
惨めな思いがたらたら…なんて思いつつ、彼らの思いが熱く伝わってくる素直すぎるリリック。
突き動かされる何かを感じながら、このmvに映る歌詞テロップの動きを何度見つめたか分かりません。驕っていてはいけない、でもどん底にいているだけじゃなにも変わらない。
自分にとっては、そんな当たり前だけど核心のつくことをグサっと感じさせる一曲です。
最近100万回再生を超えたんだなと思っていましたが、また数が増えていますね。

いま私がすることできることは、こんな風に、ネットに残っている曲や、もともとCDで買っていた曲たちを聴くことくらいです。
彼がしんどさを歌う歌を沢山歌っているからこそ、近いうちに、「こんな場所から俺はまた這い上がってきた」と歌う強いヒップホップをまた聴きたいと強く願っています。


それまではヘッドホンの中で待っています、窮屈だけど今もこのスペースで。

<今日のひとこと>
何回か以前のnoteで書いている「NUMBER GIRL」といい この「DENPA GIRL」といい、"GIRL" がつくアーティストに心を持っていかれやすい説。


これからもサイコーな音楽を聴いてnoteにします!よろしくお願いしますᕦ(ò_óˇ)ᕤ