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【新譜アルバムレビュー】teto「愛と例話」

先日(2021年8月4日)にリリースされた tetoのニューアルバム「愛と例話」について語りたくてたまらない気持ちでいます。
今日はそんなアルバムのレビューをしていきます。




tetoは2016年にボーカル・ギターの小池貞利さんを中心として結成された4人組ロックバンドですが、今年7月2日に、東京キネマ倶楽部で行われた自主企画ライブをもって 山崎陸 (G)・福田雄介 (Dr) さん2人の脱退が報告されました。
報告の中でバンドとしての活動を続けていくとの発表がされており、現在は元々のメンバーである佐藤健一郎 (Ba) さんとの2人で活動しているほか、47都道府県を巡る全国ワンマンツアーもサポートメンバーを入れて行っています。

なお本アルバムは、4人で製作・レコーディングされており、4人体制として録音された最後の盤ということになります。
先日公開された「とめられない」のMVも、4人の演奏風景が映っています。

ではさっそくレビューをしてみたい、と思うのですが、なんせ【新譜レビュー】とか銘打ってる割にはじめてで始め方がいまいち慣れません。まず好きな曲とか挙げてみようか。特にリピートして聴いている曲は、「もしもし、もしもさぁ」「とめられない」「光とロマン」「メアリー、無理しないで」「夏百物語」「遊泳地」とかかなあ。いや全10曲中ほとんど全部じゃん。というか全曲アツい、ほとばしる熱量がすごくて、アツいんです。

以下、1曲ごとにごく簡単に私なりの感想を述べていきますが、先に音楽を聴きたいという方は是非上のリンクから聴いてから戻ってきてくださいね。
「ごく簡単に」なので、読んだうえで ああ~noteでこんなこと言われてたな~くらいで聴いてもらっても全然いいですし、とにかく、聴いてほしいです。

◆◆

・M1「宣誓
文字通り宣誓をしています。
かきならすギターかっこいい。アウトロも良すぎ。
サブスクが多いこの時代に、アルバムをシャッフルしないで、1曲目から聴くことがどれだけワクワクすることかを実感しながら次の曲に移ります。


・M2「もしもし、もしもさあ
この曲のサビに、「わざわざ馬鹿な話がまたあなたと交わしたい」というフレーズがあるんですが、この「わざわざ」っていうところがすごくお気に入りです。
ふざけた話って、何気ない日常の一瞬でしていて、その時には気づかなくても、あとからすごく良い思い出になっていたりする。ちょっと聞いてよ、って、仰々しい感じじゃなく話ができる時間って、すごく素敵なんだよなあと何とも言えない懐かしいような恋しいような気持ちになりました。「電波障害も乗り越えて」っていうフレーズもすき。


・M3「とめられない
1番サビあとの歌詞を例に挙げても、かなりド直球のフレーズが多い。

「健康優良不良少年の俺 燃料は未だ音楽」
「段々と虎視眈々とチャンス伺う 殻破るタイミング」

ロックサウンド全開で駆け抜けていく音楽が、歌詞通り止まらないし、この熱量は誰にも止められないだろうということがストレートに伝わってくる一曲。この疾走感が好きでたまらないです。



・M4「光とロマン
本作前半のうち表題曲といってもいいだろうこの曲。個人的には、ものすごくtetoらしい曲だなあと思った。どこが「tetoらしい」のか考えてるんですが、なんというか最初の少し激しめのロックの強さと、最後の光が差し込むような儚い感じのメロディと、それに乗った情緒あふれる歌詞たち、が全て入っているところでしょうか。
曲の最後のギターリフに合わせて小池さんが話すところ、毎回聴いてるときに自分の頭に歌詞通りの情景がイラスト調で浮かび上がるのですが、これを考えながら聴くのが大好きです。

・M5「夏百物語
本アルバムの中で特に、夏の眩しさを感じられる甘い曲かなと思います。4:16~最後にかけての部分、ここを聴くためにこの曲をはじめから聴く価値があるといっていいような気がする。M4にも言えますが、tetoの曲の中で、後半最後あたりから独特の盛り上がりを感じさせる感じ、すごく好きなんです。


・M6 「メアリー、無理しないで
ライナーノーツが記載されたtetoのオフィシャルサイトにて、この曲は「今作で最後に録音した曲」と書かれている。

「君の代わりなどどこにもいない だが君の役はきっと誰かが埋める」

「疲れたなら全てやめにしよう やめたあとに次を考えよう」

思わず2人のメンバー脱退のことを考えながら聴いてしまった。
正直、4人のサウンドが一番に詰まっているのはこの曲かなと思う。メンバーもそれぞれ、自分たちのそれまでや今後を見つめたうえでの録音になったのかもしれない。そう思うと、各楽器の鋭い音にますます没入させられてしまった。


・M7「遊泳地
長いトンネルを通り終えるときの一筋の光が、抜けきった時に明るくなる感じ。私のイメージでは、この感じの曲です。

佐藤さんはライナーノーツとして以下のように書いてますね。ほんとにおっしゃる通り、あたたかい、という言葉が似あう曲です。

一つの作品がどう伝わるのかは人によって様々で、それぞれがどう感じるのかは自由ですし、そうあるべきだと考えていますが、曲の持つ情景に奥行きがあるほど聞き手との繋がりが深くなると思っています。この曲と、この曲を受け取る側の関係については、あたたかくて、静かで、永いものだったらいいなあと思います。
http://te-to.net/sp2021/ より)

アルバム全体で見てもM7くらいからは、サウンドの空気がすこしだけ静的な感じがしますね。


・M8「
別れを歌った曲。歌詞のワンフレーズワンフレーズから切なさが滲んでくる。歌いだしの部分も歌詞が一番好きです。
この曲、ドラムシンバルがすごく良い味を出していると思うので、ぜひ注目して聴いてほしいし、自分もこれからも噛みしめて聴いていきたい。


・M9「invisible
M8「燕」との連続性をなぜか感じてしまいます。
サビが印象的で離れない感じがすごくいい。この前の夕方、帰り道にこの曲を聴きながら街を歩いていたのですが、なんか今なら無敵になれる気分でした。


・M10「I just want to dive in REIWA!!
別れをテーマにした曲が続いた後で、最後に来たのがこの曲。

「好きなもんを好きなように 持っていけばいいさ どうぞ勝手に」

「宣誓」でハードな音楽をかき鳴らし始まりを告げ、このパンクロックなサウンドで締める。
冗談抜きに、フルコース料理のようなアルバムだなあと思いました。
そして、メンバーの半分が脱退というなかで「続ける」という選択をしたtetoはこれからもきっとこの生活の中にいて、走り抜いていくのだろうという予感を感じる1曲であり、1枚であったと感じます。


ところで、全10曲・38分27秒のこのアルバム、全曲通しで聴き終えてから、10曲だけだったのか、38分しかなかったのか........。という位、一曲一曲がすごく濃くてボリュームがある。

tetoの曲ってことばと音とが可能な限りギチギチに詰まっていて、「生」を感じられているというか。それから時間的に短い曲は過ぎ去るようなバンドサウンドの勢いを、長い曲からは日本語の秀逸さとメロディのきれいさを感じるような、そんな思いがするんです。
彼らの音楽からそれだけの熱量が伝わってくるるわけで、惹きつける音楽ってそういうことだよなあ、とつくづく感じます。

そんな4人での最後の盤。私自身、tetoのバンドとしての音がかなり好きだったので、脱退は単純に衝撃的でした。その日ライブに行って知った人は尚更だったと思う。メンバーの思いはわかりませんが、4人だからこその音、空気感というのはあったと思います。辞めた2人のTwitterとか少し見たのだけれど、彼らなりにバンドとお別れしている様子が伝わって、結構さみしくなっちゃった。
ただ、自分がtetoの鳴らす音楽が好きという事実は変わらない、というか変えられないのです。これからもイヤホンのなかで伝わる4人の音を感じながら、今後のtetoが、2人がどうなっていくのかにも注目していこうと思います。新譜から聴く伝わる感じは、熱、すごそうだけれど。

ちなみに、私が人生で一番初めに聴いたtetoの曲は確か「暖かい都会から」だった気がします。

YouTubeで邦楽を漁って聴いていた時に見つけたような記憶がうっすらあるのですが、言葉の使い方も間奏もすごくかっこよくて、
その時の「良い曲を見つけてしまったかも感」がふわふわと今でも心に残っています。
実は私は5年程前まで 洋楽しかウォークマンに入ってない、聴いていないというひとだったのですが、日本のロックってかっこいいじゃんと思いはじめるきっかけにもなった曲かなあとも思います。

この曲も短いけどアツいので、もし聴いたことない方いたらカップラーメンを待つときや駅のホームなどで一度聴いてみてください。気づいたらあなたの心にいるロックな気持ちが燃え滾って、他の曲へのリンクにも指が伸びているはずです。(占い師か?)

今あげた「暖かい都会から」も収録されているtetoのデビューアルバム「dystopia」、これは名盤すぎます。これこそ全曲が全部すきでリピート曲になってます。
私の所感ですが、今回紹介した新譜「愛と例話」は、「dystopia」にとても近い雰囲気を感じました。ギターの書きならす感じとか、疾走感というか。


そう、tetoって、すごく疾走感を感じるバンドなんですよね。


自分の前書いた ”夏になったら必ず聴いてる曲プレイリスト紹介(と、それを何時に聴くか紹介)" のnoteに書きそびれていたのですが、tetoの「9月になること」も毎年夏の9月前後には聴いてるので、このプレイリストに追加しておこうと思います。
この曲、やはり9月になった瞬間から聴き始めるのが一番好きなのですが、8月でも、10月でも聴いています。聴くのに好きな時間帯の指定は特にないですね、いつでもいいと思います(宅配業者への再配達願いかよ)。
あ、でもやっぱり屋内よりかは屋外で聴くのが好きかもですね。


そんなわけで、teto「愛と例話」のレビューと、私がこのバンドを聴くきっかけとなったtetoのデビューアルバム「dystopia」からの曲と、あとちょっとした思い出を紹介してきました。
なんか書いているうちに【新譜レビュー】なんかじゃなくて2つのアルバムの紹介になっていました。なんでだろうか。

それだけtetoがアツいバンドだからということにしておきましょう。これは紛れもない事実ですし。


<今日のひとこと>
久しぶりに、この最後のひとことコーナーを付けてみようと思ったのですが、音楽レビューに一言なんて無理だった。
このnoteでちょくちょく触れたベースの佐藤さん本人による楽曲解説と、質問の返しが時折わけわからな過ぎて(いい意味で)バンドマン感満載な小池さんインタビューを載せておわりにしますね(自分があとで読み返す用としても)。



あ~~~ワンマン行きたいな~~~。

これからもサイコーな音楽を聴いてnoteにします!よろしくお願いしますᕦ(ò_óˇ)ᕤ