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【ADVゲームレビュー】かいけつゾロリと2つのおかし工場からの脱出 / リアル脱出ゲームオンライン (2021)

かいけつゾロリと2つのおかし工場からの脱出/リアル脱出ゲームオンライン


"リアル脱出ゲーム for kids"のコンテンツとしてSCRAPより発表された専用キットとオンラインでプレイできるリアル脱出ゲーム。


あらすじ


旅の途中で、ブルル製菓のCMを目にしたゾロリたち。
あたりが出れば、豪華クルーズ船をプレゼントという新作「お菓子の家」だが、通りがかった子供たちが言うには、どんなに買っても当たりが出ないらしい。
何か秘密があるのだろうと疑うゾロリは、お菓子工場に潜入して、あたりを出す方法を導き出そうとひらめいた。
ゾロリが社長であるブルルの後をつけている間、イシシとノシシは"ケーキ工場"と"キャンディ工場"に分かれて潜入することに。
プレーヤーは、イシシ役とノシシ役に分かれて、ゾロリと連絡をとりながらお菓子の家の秘密に迫っていく。



概要/感想(ネタバレなし)


下の娘が急に謎解きにハマってしまった。
といっても、ありがちななぞなぞが解けるようになった、というレベル感で、漢字や英語の問題になるとさっぱり。
決して飛び級的に謎解き脳が育っているというわけではないので、SCRAPが子供にも目を向けてくれているのは、ありがたい限りだ。
現地に行かなくても、キットを購入すればプレイできるゲームの筆頭が、この「かいけつゾロリと2つのおかし工場からの脱出」。
児童書の「かいけつゾロリ」シリーズが読めるようになったぐらいの年齢層であれば、ひらめきの楽しさは失われず、難しくすぎて挫折もしない難易度に仕立てられている。

オンラインで動画を挟みながら、実際の謎解きはキットを使って行うのが中心。
子供がプレイすることを前提にしているので、オンライン通話ではなく、対面でのセットになるのだが、お互いのキットが見えないように、梱包の箱がそのままついたてになる仕様は、なかなかグッドアイディアだ。
難易度は簡単に設定されているものの、コミュニケーションを取りながらの謎解きや工作型の謎など、子供が没入して楽しくなるような仕掛けを重視。
黙々とゲームブックを読むのとは、まったく質の違う体験を提供することで付加価値をつけているのが上手いな、と。

正直、中盤までは、子供向けだしね、と舐めていた。
連携して問題を解く、というコミュニケーションの面白さに振っているとはいえ、実際、問題そのものは子供がやっても簡単な部類なのだと思う。
しかし、大謎については、しっかりSCRAPクオリティ。
片手間で出来るでしょ、と思っていると足元をすくわれてしまう。
謎解きとしても、なるほどね、という気持ち良さがあるだけでなく、「かいけつゾロリ」シリーズを知っていれば、こういうネタありそうだわ、という絶妙な仕掛けで、ただただ感心するしかなかった。
これを残して、60分~90分にボリュームを調整しようとすると、前半部は難易度を下げても仕方ないか。

また、謎解きとは直接関係ない部分でも、終わった後でも遊べるように、バトルえんぴつやカーリングゲームができる仕様になっている。
確かに、リアル脱出ゲーム系の持ち帰り謎は、繰り返し遊ぶことを想定していない仕様になっているものが多い。
遊び終われば捨てるしかないのだけれど、何らかの遊んだ痕跡は残しておきたい、という気持ちはなくもないし、子供心であればなおさらだろう。
楽しかった思い出を実利用ができる文房具やゲームの形で残せるのは、気が利いているのかもしれないな。

工作パートについては、大味すぎると謎解きそのものに支障が出るだけに、どこまで子供に任せていいのか、やや迷うところ。
対象年齢を踏まえると、手先の器用さが問われるギミックは少ないほうがよいと思う一方で、紙の上で問題を解くだけだと味気ない。
体験型の興奮を自宅で再現しようと考えると、工作形式が落としどころだとは理解するので、その中で最適を見つけるためにも、"リアル脱出ゲーム for kids"のコンテンツは、是非今後も増やしていってほしいものである。


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