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蜉蝣のマイベストを作ってみよう

サブスクでいくらでも音楽が聴ける時代。
だからこそ、あえて時間に縛りのある自作のベストアルバムを作ってみようというコーナー。

第二弾は、蜉蝣をピックアップ。
既に「心中歌」というベスト盤がリリースされているうえ、最近になって、コンプリートボックスも発売。
マイベストを作るタイミングとして、今が一番ナンセンスじゃないか、ということで。

なお、マイルールにのっとり、収録曲は13曲+シークレットトラック。
第一弾のMadeth gray'llに比べて、発表された楽曲数が圧倒的に多いので、まぁ、選曲が難しいのなんの。
「心中歌」が2枚組だったのも納得だわっていう。
そんな愚痴と血を吐きながら、なんとか絞り込んだのが以下となる。

蜉蝣マイベスト

1. 渦
2. 絶望にサヨナラ
3. アイドル狂いの心裏学
4. 鬱
5. 覚醒ゼリー
6. 妄想地下室
7. 恋唄
8. 葬失
9. ゆびきり
10. 縄
11. 性的緊張インプラント
12. 儚き激情
13. R指定

66. 美容整形医師の趣味

【ポイント】

★ 「渦」からスタートするアルバムが聴きたかった。

1stアルバム「蜉蝣」のラストに収録されている楽曲なのですけれど、もう、ここに到達するための作品って印象だったのですよね。
ただし、これをゴールではなく、スタートとして使ってみたら景色が変わるのではないか、というのを試してみたかった。
ドラマティックで壮大なロックバラードから始まるというのも、捻くれ者の集まりだった彼らにはぴったりだなと。
結果、2曲目感があるとずっと思っていた「絶望にサヨナラ」への繋がりも上手くハマって良かったです。

★ 蜉蝣と言えばカオティックな構成とエログロな歌詞。

序盤の勢いづけのパートは、本来であれば激しく疾走感のある楽曲が馴染むのでしょう。
一方で、彼らの代名詞的な楽曲を選ぶのだとすれば、「アイドル狂いの心裏学」、「覚醒ゼリー」あたりをここに持ってくるべきだろうな、と。
そのエグみを消さずに、激しさを付け加える楽曲として、「鬱」を差し込んだのが効いているのではないかと自画自賛。

★ 「妄想地下室」は絶対に入れる。

「心中歌」には初期の楽曲がほとんど収録されなかったこともあって、ブレイクのきっかけになったとも言えるこの曲がベスト未収録状態。
なので、これを入れるのを前提にアルバム構成を考えてみるのですが、思った以上に難しい作業でした。
四つ打ちのメロディアスナンバーは、彼らのサウンドとしては異色。
悩みに悩み、カオスパートから、歌モノパートへ繋ぐブリッジになってもらうことに。

★ 歌モノパートですら一筋縄ではいかない。

「恋唄」から「縄」までは歌モノ・メロディアスチューンのパートにしたのだけれど、「葬失」、「ゆびきり」の濃さよ。
どうしても「葬失」で終わった感が出てしまうのと、「ゆびきり」の複雑な構成のおかげで、切ない疾走感を途切れさせることになる困難と直面してしまい、えいやあで並べてしまった。
でも、ぎこちなさが仕切り直し感として上手く機能したのでは。
ちなみに、「恋唄」は今回の収録曲中でもっとも地味だと思うのだけれど、こんな一般論とは異なるセレクトもマイベストの醍醐味ですよね。

★ 盛り上げて落とすラストシーンの王道感。

やはり蜉蝣のキラーチューンと言えば「縄」なのですが、「性的緊張インプラント」のほうがリアルタイム世代にはインパクトを残したのではなかろうか。
そんなわけで、あえてCDとは順番を入れ替え、カオティックな「性的緊張インプラント」に盛り上がりのピークを担ってもらおうかと。
蜉蝣史上もっともストレートな気がする「儚き激情」から、ライブも意識して「R指定」に繋げていくクロージングの流れには、決して音楽的には王道ではない彼らに、"王道"を感じてしまうのだよな。

★ シークレットはデモテープ音源を引っ張り出して。

カセットテープでのリリースだった「美容整形医師の趣味」をシークレットトラックに。
なんとなく、隠されているのは66トラック目だと格好良いかな、と。
これは楽曲がどうのこうのと言うよりも、音質的に他と並べるのが耐え切れないかなと、番外編扱いで。
コンプリートボックスに満を持して収録されたこの曲、音質的にはどんなものなのでしょう。


振り返ってみて、「リストカッター」も、「夕暮れの謝罪」も、「腐った海で溺れかけている僕を救ってくれた君」も入っていないベストアルバムになってしまった。
これは意図的に外したわけではなく、編集している最中は、むしろ代表曲ばかりセレクトしすぎたかな?と思っていたぐらいだから困ってしまう。
なんなら「恍惚地獄」とか「売女の憂鬱」とかも入れたかったもの。
蜉蝣にはそれだけ名曲が多いということで、ここはひとつ。
解散から10年以上経っているのに、色褪せないって反則でしょ。



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