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メンズアイドルに混じってアー写を撮ってきた話

バンドマンもすなるアー写撮影といふものをブロガーもしてみむとするなり。

年明けすぐの話ではあるのだが、アーティスト写真を撮ってきた。
先般、オムニバスアルバム「NO VISUAL, NO LIFE〜GIANT KILLING〜」に参加させていただいた際、意外に困ったのが、宣材写真がないということ。
その時は、なんとかロゴの制作を知人にお願いしてなんとかやり過ごしたものの、次の機会にこれを使いまわすのも無粋だな、と行動に踏み切ることにしたのだ。

さて、一口に撮影といっても、証明写真とは勝手が違う。
スタジオを確保して、カメラマンを手配して、という一般的な段取りに加えて、ヴィジュアル系の場合は文化に精通したメイクさんも必要だ。
探せば、それも含めたパッケージプランもあるのだろうが、出来た写真を使う機会が極めて限定的であることを勘案すれば、コストパフォーマンス的に厳しくなることが想像される。
かといって、セルフメイクで自撮りをする、なんてスキルもないからして、ついつい、ロゴの使い回しで仕方ないか、という誘惑に負けそうになってくる。

そんな中で渡りに船な誘いを受けた。
メイクスタッフやカメラマンの作業効率を高め、拘束時間を短縮。
一組あたりのコストを抑える合同撮影会が行われるというのだ。
スタジオも比較的家から近く、自転車圏内。
世の中、良く出来ているなと感心しながら、乗らない手はないでしょ、と手をあげておく。
これで宣材写真には困らないぞ。

しかし、いざ当日を迎えてみると、想定していなかった緊張が押し寄せる。
というのも、てっきり駆け出しバンドマンや、兼業アーティストが集まるものだと想像していたら、メンズアイドル、メンズアイドル、ひとり飛ばしてメンズアイドル、といった内訳。
最近のメンズアイドル界隈は、V系との垣根が薄れているとは思っていたけれど、なるほど、このレベルで地続きだったのか、と驚かされた。
運営に元バンドマンが増えれば、スタッフだってそちら方面のコネクションが強まるよね、と納得するものの、家庭的な電動アシスト付き自転車で現れた僕は、確実に浮いている。
どうしよう、メンズアイドルとの接し方、わからない。
ちなみにひとり飛ばしたのはメタル系のバンドマン。
当然、こっちも接し方がわからない。

誰かが撮影をしている間、次の人がメイクをして待機。
タイムスケジュールに沿って流れ作業的に進行する合同撮影会。
髪をセットをしてもらっている間、隣でメイクしているアイドルくんの様子をうかがっていたのだけれど、丁寧に指導されているようで、ちゃんとこだわるところはこだわっている。
僕としては、いやいやあなた、メイクしなくても若いし、そのままでも十分写真映えするじゃない、なんてV系ギークにあるまじき感想を抱くのだけれど、お互いプロ意識が高いと、もっと上を目指してきちんと要求し合うのだな、と。
それに対して、こちら、基本お任せで、そのくせ、誤魔化さなければいけないところが多いから時間だけはかかる。
なんだか同じ料金でメイクしてもらうのが忍びなくなってきた。

カメラを向けられても、さすがはアイドルで、ポージングも多才。
自分の魅せ方をよくわかっていらっしゃる。
こちとら、真顔で棒立ちするしか能がない状態。
無表情で退廃的な世界観のバンドが好きだし、と自分の中で言い訳をして、それを受け入れるしかない。
色々なポーズをとっても、どうせ1,2枚しか使わないもの。
効率重視でいきましょう。

そんなわけで、修正しても隠せない死んだ目をしたアー写が完成した。
それでも、元を誰よりも知っているだけに、さすがはプロだと思わずにはいられない仕上がりなのだが、アイドルって凄いな、という気持ちが先立つ。
楽曲制作をしてみてバンドマンへのリスペクトが高まり、今度はアー写撮影をして、アイドルへのリスペクトも高まった。
なんだかんだ、良い経験をしているのでは。

ちなみに、ゼロ年代によく見た、髪を一度逆立てて、それを再び下ろすことで横にボリュームを出す髪型、メイクさんの界隈では(どこまでローカルな話かはわからないものの)「ホタル立て」と呼んでいたらしい。
ホタルのメンバーがこの髪型だった印象はあまりなく、彼らがファッション面でのパイオニアというのも初耳だったのだが、当時の内側事情を知るメイクさん曰く、ホタルの影響でシーンに普及したのだとか。
ふわっとした見た目とは裏腹、かなりバシバシに固めているので、撮影後は、リンス→シャンプー→リンスの順で髪を洗うことを推奨された。
当然、スタジオ内でその処理はできないので、この髪型のまま、電動アシスト付き自転車に。
顔見知りに遭遇したらどうしよう、と妙にそわそわして、顔を隠したくなる。
そんなに売れてなくてもサングラスをするバンドマンの気持ち、ちょっとわかったかも。

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