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Madeth gray'llのマイベストを作ってみよう

まだ個人HPが主流だったインターネット黎明期。
音楽系のホームページのコンテンツとして蔓延っていたのが、"マイベスト"である。

ベストアルバムが出ているアーティストであっても、その選曲に納得いかないなんて経験は誰しも持っていることだろう。
では、自分で作ってしまおう。
コンテンツ不足に苛まれていたホームページの管理人たちは、こぞって自分の好きなアーティストのマイベストを作っては、選曲のポイントだとかこだわりだとかを語っていたのだ。

この文化が廃れるのは、ブログ文化やSNSの発展によって、そもそも個人HPがなくなっていくことも要因だが、それ以上に、iPodの登場により、カセットやMDに音楽をダビングしてマイベストを作る必要がなくなったことが大きい。
74分に厳選して楽曲を選び抜くぐらいなら、全曲ぶち込んでシャッフルで聴けばいいじゃない、という考えが主流となり、マイベストがコンテンツとして成り立たなくなってしまった。
まして、サブスクが一般化してきた現代において、まったく意味のないものになり果てたと言えよう。

だが、そんな今だからこそ、マイベストを作ってみようと思う。
理由はただひとつ、作りたいから。

一応、レギュレーションは以下のとおり。
・ 選曲は13曲(13という数字がヴィジュアル系っぽいから)+シークレットトラック
・ 選曲は音源化された楽曲に限るが、ライブ音源は含まない
・ 74分に収まること

そんなわけで、初回のテーマはコテコテ系の代表格、Madeth gray'll。
ちなみに、プレイリストを作っただけでなく、ちゃんとCDRにも焼いている。
たぶん、実際に聴くことはほとんどないと思うけど。

Madeth gray'llマイベスト

1. 呪ワレシ華ノ生命…
2. 劇薬
3. 白昼夢の惨劇
4. 「マリア」ガ眠ル懺悔ノ「枢」
5. 「M」的被虐症候群
6. MOTHER COMPLEX
7. missantroop
8. 空中都市〜in the zaiemu〜
9. オペラ座ノ悲劇
10. 狂死曲
11. 廃人狂イ人形
12. 追憶
13. Lucifer

44. 黒装束の調べ

【ポイント】

★ スタートは「呪ワレシ華ノ生命…」で確定

1stデモテープの収録曲であり、ラストシングルでもある「呪ワレシ華ノ生命…」は、リスタートの1曲目で異論ないでしょう。
テイクは、イントロのオマージュを導入として活かすため、ラストシングルバージョン。
公式のベストアルバムに収録されなかったこともあり、この曲を含めたベストアルバムを作るためにこの企画をはじめたといっても過言ではありません。

★ 重さを意識づけて激しさを演出

「劇薬」、「白昼夢の惨劇」と、彼らの中でも重さが際立つ楽曲をあえて序盤に。
どっぷりと世界観に入り込みつつ、ストレートに激しさが前に出た「「マリア」ガ眠ル懺悔ノ「枢」」、「「M」的被虐症候群」へ繋ぎます。
「白昼夢の惨劇」、「「M」的被虐症候群」はベストアルバム収録のテイクが異様に格好良いので、そのまま持ってきましょう。

★ 「MOTHER COMPLEX」はあまりにも不遇だから

絶対入れたい、という曲ではないのだけれど、レア度も相まって聴かれる機会が少なすぎる不遇の楽曲を救い上げたいという一心で。
ただし、案外これが繋ぎとしてハマった形で、自分で自分を褒めたいセレクトに。

★ 「missantroop」をわざと中途半端なところに

代表曲すぎて、1曲目じゃなければラストに持ってくるしかないのですが、あまりに芸がないので中盤に配置。
どうやったって全部持っていく楽曲なので、歌モノパートの導入と割り切って使います。
空気を変えてくれるので、贅沢なアクセントになったかな。
ちなみに、テイクは「十字架の結末〜第二の悲劇〜」バージョンで。

★ 飛ばされやすいタイミングで飛び曲を

移動中に聴いていて目的地が近づいてきたりすると、飛ばされやすい終盤の楽曲たち。
文字通り飛び曲を入れておきましょう。
歌モノパートからのギャップもあって、目が覚める「狂死曲」、「廃人狂イ人形」の並びは、ラスト前の演出としても効いてくるかと。

★ ラストはドラマ性重視のコンビネーション

「追憶」から「Lucifer」へのコンボは、「Lucifer 〜魔境に映る呪われた罪人達と生命の終焉〜」と同じ流れ。
「Lucifer」は圧倒的なキラーチューンですが、「missantroop」や「空中都市〜in the zaiemu〜」にラストの座を持っていかれがちだったので、立場を入れ替えてみました。

★ そしてやっぱりシークレットトラック

シークレットトラックは、やはり44曲目に。
ベタに「血染めの喜劇」と迷ったのですが、「黒装束の調べ」をシークレットでがっつりというのも面白いかな、と。
特に、この曲は公式ベストアルバムで微妙な入り方をしてしまっていたので、リベンジの機会を与えたかったという理由もあり。
デモテープのテイクを使えば、声が若く、シークレットのお宝感も出るでしょう。

公式ベストアルバムの選曲と被りすぎても芸がないし、かといってレアトラック集みたいにするのも意味合いが違ってくる。
そのあたりのバランスを重要視したため、ブリッジ的な楽曲にどれを選ぶかという作業に頭を悩まされることに。
編集者のエゴとして、最終的には個人的な想い入れを優先しているので、それなりにお気に入り度の高い仕上がりになったかな。
サブスクでプレイリストを公開できるバンドであれば、この流れで聴いてみてね、と言いたいところだが、Madeth gray'llがサブスクで聴ける日は来るのだろうか。



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