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にゃんこエピソード:悪癖と奇跡の涙

2020年5月7日(木)
逆撫でロマンス
さがえ


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私は、人にうんこが好きか訊ねる。
別に本当に気になっているわけではない。


いろいろな反応があって興味深いからだ。

聞き方にも種類があり、

その人と会った瞬間に聞く『いきなり』

等間隔で聞く『スヌーズ』

そこから派生した、
何回も聞いたのちの

「俺うんこ好きだけどなんか欲しいものある?」
と聞く特殊な技まで多岐にわたる。

暇さえあれば延々とやっていることもある。

私がしばしば

『頭がおかしい』
『クスリやってる』
『サングラス外したコブクロ黒田じゃん』

と罵られる理由だ。

特に平賀にはもう何千回もやっている。
平賀は手強い。

「好きなやつおらんて!」の1点張り。

何回聞かれようが、体勢が崩れていようが、

大きな声で、「好きなやつおらんて!」

ブレることはない。

これから平賀の魅力を誰かに聞かれたら、
こう答えよう。

「軸足です」と。

足腰がしっかりしてるから、
バスドラがズンズン響くよ♬

画像⬇️
ドラクエの映画見た後、
Amazonで鎧選んでる平賀

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少し前、お世話になっている先輩の誕生日会があって、
メンバーからは、白神、とよぴぃが出席。

会の前に、早めに集まってプレゼントを
買いに行こうと計画していた為、
後輩の俺たちだけで待ち合わせをしていたのだが
白神だけ遅刻して、色んなことが重なり俺は、それはもうマジで激怒したんだ。

バンドでしばらく仲良くやってたけど、
メンバーに初めて強く怒った。

そんなこともあったら、
テンション上がりきらずでその日は
終わった。

それから数日経って、
メンバーみんなで集まる日があって、
白神が来てくれるか心配だったけど、
来てくれて安心した。

なんかその日も、
普通に遅刻してきたから
意味わかんなかったけど。

それじゃあYouTubeアップしようか!
って言う記念みたいな日で、
みんなテンション上がりまくりだったんだけど、

なぜか平賀だけ、全く喋らない。
1人だけ、暗い。

動画が放たれることへの緊張かと思ったが、
違う。
どうやら、怯えている感じだった。

その様子を見てピンと来た。

あの日の誕生日会には、
平賀の相方である加藤もいた。

恐らく加藤から、
さがえがキレたという話を聞いたのだろう、と。

平賀に話しかけても、
聞き取れないほど声が小さく聞き取れない。

流れでおかしなことを言っても、
ツッコミで詰まったり、カミまくる。
よく見ると、口元は細かく震えていた。

「さがえってキレるんだ」
そう思ったのかも知れない。

見た目や振る舞いに反して
とことんビビリなヤツだなんて
その時は知るはずもなく、

その日はあまり気にせず、動画を無事アップし、
みんなウキウキ、
平賀だけブルブル。
そんな状態で解散した。

その次の日の朝、いろいろ確認する為に、
またみんなで俺の部屋に集まることになっていた。

平賀は、俺と顔を合わせると
開口一番で「へいへい!カムバックホームメリーゴーランドやん!」
と言ってきた。

何を伝えたいのかは、サッパリだったが
昨日のからっぽだった元気を取り返したようで
ほっとした。

だが、また時間が経つごとに
俺と目を合わさなくなり、
口元が震えだし、前日の羊のような平賀が現れてきた。
ここで確信する。
俺にビビっている、と。

夜になりみんなで焼肉に行くことになったのだが、
店に着き、肉を目の前にしても
まだおどおどしている様子に、

少しずつ俺はイライラしてきて、
店を出て、白神のときと
おんなじくらいでキレた。

おまえそれ長いな、
しつこいな、
なんでおまえが俺にビビるんだよ

そんなことを言うと平賀は、
黒い馬に乗った怪人をみた村人みたいな100点の後退りをして、
「ビ、ビ、ビビって、、、、へん。。。」と言った。

おれは思った。

もうダメだ。

動画をアップした直後にチームが壊れた。

もとを辿れば遅刻なんかが原因で怒んなきゃよかったな。

終わった。

こんな短い期間で
連鎖して2回も怒るなんて。

平賀に関してはこの2日間、
1度もちゃんとしたツッコミが出来なかった。

かみまくりだし。ずっと震えてる。
まさにイップス状態。

ヘタしたら、1人の人間を壊してしまったかもしれない、
とても焦った。

みんなそれぞれの電車で帰ることになり、

おれと平賀は夜勤があり、
バイト先が同じ方向だった為、
2人で電車に乗った。

井の頭線は空いてて、
車両には俺ら2人だけだった。

おれはしんみりしてしまって
隣に座って、
少し落としたトーンで

「平賀、俺はおまえのこと信用してるし、面白いと思ってる。
自信持って。

今日のことはもう忘れるから、
次からはいつものおまえで頼むぞ」

そう言って肩を叩いた。

平賀は、何時間ぶりに
おれと目を合わせた。

さすがに照れくさすぎたから、

『うんこ好き?』ときいた。

そしたら

『好きなやつおらんて!!!』

と、完璧な間、
そしていつもの大きな声でハッキリとツッコんだ。

何度も何度も反復練習したから、
体が覚えていた 

と言った具合だろうか。

自分でもびっくりした様子だった。
だって2日間身体がいうことをきかなかったのだもの。

『やっと、やっとおれの手にツッコミが戻ったぞ』
と言わんばかりの顔をして、手のひらを見つめていた。

安心なのか、嬉しさからなのか、
平賀はポロリと涙を流した

おれはそれを横目で見守った。

温かい気持ちではあったが、



1つ気づいてしまった。



俺は


とうとう、



うんこ好きかを訊いて、

人を泣かせてしまったんだ。


と。


おしまーーーーーーい。

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蕎麦(がえにゃんこのファンの愛称:にゃんこ蕎麦 の略)の皆さん!!!

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