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【フリゲ感想】Vergunty ヴァーガンティー

この記事の文字数は約6,400字です!

いやぁ、まだまだ毎日寒いですよね。
特に朝晩の冷え込みは東京でもそれなりのものがあります。
こう寒いと気持ちくらいは温かくなりたいものです。
というわけで今回はアツアツな恋愛が楽しめるこちらの作品です。
って導入ヘタスギィ!

1.「Vergunty ヴァーガンティー」

今回紹介したいのは、藤沢クロエさんの「Vergunty ヴァーガンティー」です!!

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なんだかメチャクチャ耽美系?の絵柄で乙女ゲー全開っぽいなぁ。
覚悟がないなら、その唇を許さないで。
ってバシッと書かれたキャッチフレーズがアダルチー過ぎる!!
というわけで良い年してドキドキワクワクしながら遊んでみました。

結論、今の時代に相応しい連ドラみたいなゲームでした。

タグに「BL」「百合」とあるように性的マイノリティを扱っていますが、
それに対して否定的な描写は一切ないです。
また、「NL」だけでなく「BL」「百合」要素を入れたことにより、
登場人物の相関図がもうドえらいことになってます。
ドロドロといえばドロドロとも言えますが、
プラトニック気味な関係がメインなので自分としては爽やかな印象です。

個人的にはTGFに同時に投稿している「ももちゃん先輩を奪え!!」の方が
よっぽどドロドロだったような気がします。(男が凹みがちストーリー)

※参考「ももちゃん先輩を奪え!!」 画像リンクあり

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2.ネタバレなし感想

以下、自分が公式サイトに投稿した感想を引用、補足しながら進めます。
こちらはプレイ前でもあまり問題はないと思われます。

DL数も多く評判も芳しい作品なので期待しておりましたが、
期待に違わぬ素晴らしい作品でした。メッチャ面白かったです!
スタート後に始まる意味深で雰囲気満点なモノローグと、
前奏から素晴らしいOPテーマの時点でもう本作の虜に。

自身が好きな長めのゲームであり好評もだいぶ耳にしていたので
かなり期待して遊びましたが、これはとても面白かったです。
個人的にはOPテーマは凄く良かったと思いますね。
特にイントロが好きで耳に張り付いて離れないです。
ゲームのアダルティ―な雰囲気にまさにピッタリ! これぞプロの仕事!
以下にYoutubeにアップされているOP動画を貼り付けますので、
どんな作品か興味がある方は是非見てみてください。
OPムービーだけでも一見の価値がありますよ!


設定とストーリー展開が凄く良かったです。
主人公は24歳の社会人女性なので基本オトナの恋愛模様なんですが、
もう見悶えるようなシーンが次から次へとあるわあるわ。
自覚できるくらいニヤニヤしながらアホ面でプレイしてしまいました。

序盤から中盤に掛けては社会人女性である主人公と、
男子高校生の禁断の恋愛模様が展開します。
いやですね、高校時代に野球部の同級生がOLと付き合ってたんですよ。
プレイしながらそんなことを思い出しました。
当時は圧倒的羨ましさしかなかったんですが、
こんな感じだったのかもと思うと、更なる羨ましさに襲われます。


主要キャラは主人公を含めて5人。この5人ってのがミソでした!
頻繁に視点が切り替わるおかげで登場人物全員の心境が良く分かります。
このあたり、どなたかが仰ってたように演出としてはドラマみたいです。
世の流れともバッチリ合っていますし、今作の脚本でドラマ化したら流行りそう!
ちなみに、初めから掴みはOKの今作ですが、
First routeの後からの読ませる力が結構えげつなかったです。

BL・百合ありの五角関係ということで、
どうやっても一人あぶれてしまうというこの絶妙な人間関係!
選んだEDによってあぶれるのが誰になるかが決まります!

昨今ではおっさんずラブが大流行りしたように素地がありますので、
この性別を超越した奇跡の五角関係はドラマ化待望だよなぁ。
ドラマの原作不足はよく聞くので、フリゲにアプローチしたら良いのに。
展開についてはネタバレの方でちょっと書きます。


絵柄は乙女ゲー具合がかなり強めな感じがあって中年男性には不安でしたが、
序盤からお話に鷲づかみにされたこともあってかむしろ病みつきに。
グラフィックはシナリオと同じく自作とのことで、
ここぞ!というところには必ずイベントスチルがあって良かったです。

作者さんの思い描くプレイしてほしい層からは確実にズレており恐縮です。
黙っててほしいかもですがこんなところに感想まで上げて申し訳ない。
だって面白いから推したいんだもん! 許してください!
思えばなんだか感想書いてるものの乙女ゲー・BLゲー率が高い気がする。
恋愛観は純情乙女ということでお許しください。

イベントスチルはここぞというところにはきちんとあった印象ですが、
プレイ後にCGモード的なものがないのが残念ではあります。
これは勝手に私の絵はシナリオとセットで見やがれ!
という熱い魂の叫びということで受け取っております。違うかも。


というわけで前日譚のSSや後日談も楽しめる本作はとてもおススメです。
乙女ゲー愛に溢れる素敵な作品をありがとうございます。

前日譚は以下にて公開されているので、
まずは雰囲気を掴むためにこちらのプレイがお勧めかもしれません。
公開も本作よりも前ですのでプレイ順としては全く問題ないです。
■前日譚:Vergunty ~とある記念日の夜~

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後日談は本作のプレイ後推奨です。
こちらは先にプレイする必要がないので本作後に取っておいてください。
各ルートのその後が軒並み終える有難いファンディスク的なゲームです。
■後日談:Vergunty Midnight swallow

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3.ネタバレあり感想

ここからは容赦なくネタバレします。
プレイする前に読んだら面白さが半減します。

こんな駄文読んでプレイした気になっては絶対にダメですので、
未プレイの方は必ず上に戻って公式サイトからDL・プレイし、
ノベコレ公式サイトに感想を残してからまたおとといきやがれください。

↓ネタバレ記事開始カウントダウン5

↓ネタバレ記事開始カウントダウン4

↓ネタバレ記事開始カウントダウン3

↓ネタバレ記事開始カウントダウン2

↓ネタバレ記事開始カウントダウン1

※私はそもそも作者さんが想定してるプレーヤー層とは真逆の存在です。
 乙女・腐女子の皆さんはなんか言ってるよwのスタンスでお願いします。

■全体を通じて
〇選択肢の配置
本作は性格も関係性も見えない序盤で個別ルートに突入させるのではなく、
選択を行えるだけの情報を全て提示した上で選択肢を突き付けてきます。
これは確かに構成として一理ある話で、メリットはたくさんありそうです。

・「選択」の意味合いが重みを増し納得感が出る
・個別ルート突入後に他キャラが空気になる問題がほぼ解決できる
・1対1ではない関係性で見せる個性も描ける
・1つの作品=1つのストーリーとしての印象が増す

本作をプレイしてドラマみたいだと感じたのには
特に上記の最後の点が大きな理由としてあるような気がしました。

〇他人称視点
乙女ゲーに限らず恋愛ADVは主人公の1人称視点固定が多い気がします。
場合によっては3人称固定=神視点もあると思いますが、
本作はシーンごとに人称が変わる点が珍しいと感じました。
主要5名の視点は全てあったような気がします。
地の文として登場人物の心情を描いてしまうのは画期的な気がします。

書き分けがしっかりしているせいか特に破綻も感じず受け入れられたので、
上手くやればこれはとても機能するの手法な気がしました。
キャラクターがしっかり立ってるからこそ、ということもありそうです。

〇バリエーション
うっかりすると忘れますが本作のメインキャラは主人公以外みな男性です。
片方は変則ですが、男性同士の2組のカップル+主人公という状況なので、
主人公が絡むものだとNLと百合度80%のNLが楽しめ、
主人公とは別にBLとNL度80%のBLが楽しめるという形になっています。
この異なる恋愛の形が楽しめるバリエーションの豊かさは良かったです。
各EDにおける収まり方も凄く綺麗でした。EDについては別項を立てました。


■キャラクター
〇綿貫こころ(主人公)
割と良いキャラクターだと個人的には感じました。
それなりにモラルと理性が働いてはいるんだけど、
歯止めが効かなくなると美月と付き合っちゃうあたり、
ほど良い理性と感情の葛藤でプレーヤーを楽しませてくれました。
ジュンに対しても偏見がなく誠実だし、
思考や言動の強い癖もなく、(女性は)感情移入しやすい気がしました。
BL好きライト系腐女子?+IT企業で出版担当もなかなか華がある。
周囲の言動から考えると登場人物でシャルルと同じくらい美形なのでは?

〇久坂美月
天使過ぎる男子高校生。男に天使って使うのはかなり新鮮。
昭和生まれの非草食系の立場からすると中盤までナヨナヨしすぎに見えた。
そもそも前半段階で一線超えてないってなんでやねん!押し倒せ!!
剣磨に対しても無自覚かつ無配慮な言動がちょっと目立つし、
前半部分までは正直言ってあんまり好きになれなかったですね。
ちょっと救う気にならないくらいの幼さが露呈していたような。
ただ、後半目が覚めてからの躍進は目覚ましい成長があって良かったです。
たまに思い返すと高校生なんて未熟で当たり前ですからね。うんうん。
最後は無事にしっかりと応援できる感じに育ってくれてよかったよかった。

〇武智ジュン
頼りになる職場の先輩。
なんとなくミステリアスな雰囲気の美女だと思っていたらまさかの展開。
何か秘密はありそうありそうと思ってはいたもののまさかでした。
色々人生での苦悩も多かったんだろうなぁと思いを馳せてみたり。
でも自認や恋愛対象の性別なんて絶対的なものでもない気がするので、
こういうケースって現実にいくらでも転がっていそうな気がしました。
性自認が女性だと認めてくれた男性への強い感謝+恩+好意に加え、
相手からも愛情を向けられればそりゃ誰だってその気になりそう。
性自認が女性だから恋愛対象は男性と思い込んだら違うってのもありそう。
色んなところでNLと違う悲劇が生まれているのかな、などと思ったり。
大人の女性感が凄いですが攻められると弱いところが素敵なのと、
超絶大人な榎本パイセンの前ではもはや幼子とギャップ萌えな一面も。

〇藤沢剣磨
美月の親友ポジの男子高校生。
実際やられたら賛否分かれる冒頭の勝手な行動(美月作品の応募)ですが、
美月を第一に考え、理解した上での善意の行動だからきっと正解かな、と。
美月を夢のスタートラインに立たせのでいきなりのグッジョブスタート。
が、ちょいちょい主人公と美月に嫌なちょっかいを出してきて、
主人公と美月のイチャコラ展開を邪魔してくるお邪魔虫ポジでした。
私自身が繊細とド反対なためか、剣磨の言動もナヨを感じてしまいました。
美月が相当なので、どうしても勝手に彼には男気を期待してしまった!
後半ダメになっていく美月を見て凹む姿に同情できる部分もありましたが、
そもそも君が選んだ道は過酷な道なのだよ!とも思ってしまいました。
でも救済エンドもあったのでそこは素直におめでとう!という感じです。

〇榎本翔太
高校生男子2名の幼さと男らしくなさに多少ヤキモキしましたが、
それを補ってくれる素晴らしいキャラクターが榎本パイセンです。
異様なほどの懐の深さ&優しさを存分に見せつける一方で、
物語後半で見せるちょっとだけ見せる利己的な人間味も良かったです。
いやもう、他の全員が勝手すぎるのであなたの言動は何も気になりません!
ちょっと自身の感情を表す部分で瞬発力に欠けた部分もあり
残念ながらルートによってはNTRポジみたいになってしまいましたが、
めっちゃ優しい+やる時はやる彼こそが本作のイケメンNo.1ですね。
彼のような好人物が損をするような世界は間違ってる!!!


■各エンド
初回プレイから時間が空いてしまったので改めてプレイしました!

〇ラス前のクライマックス
バスに乗って想い出のデートをもう一度、という胸キュンパターン。
吹っ切れた美月がようやくグイグイ行くので見ててスカっとしました。
超アダルチーな展開からの朝チュン。もうテンションは最高潮です。
で、帰ったらそりゃもちろんボロボロになったジュンが待ってる。
こんな大胆な公開浮気されたらシュラバ★ラ★バンバと思いきや、
ジュンはやっぱり自身に対して後ろめたい気持ちがあるのでそうはならず。
せ、切ねぇ。切なすぎる。 ジュ、ジュン……(田中邦衛風に)
というわけで、両者と深い関係を築いた状態でラストの選択肢へ。

★どうでも良いメモ
・植物園が想い出のデートスポットって結構レアだけどリアルな気がする。
 植物園と言えばときメモの古式さんの『男は食虫植物』ですよね?
・共学で腐女子がたくさん湧くのって割と乙女ゲーではデフォですが、
 実際はどうなんでしょう?女性の先輩に憧れるくらいよくある光景なの?
 まぁSMAPどころか野猿で腐女子界隈が盛り上がるんだからありそう。


〇END1 年下の恋人(美月エンド)
美月はバッチリ作家としてのキャリアをスタートさせ、
初々しくも主人公にどんどん開発されちゃう展開です。エロエロ~。
個人的にはこれが正史、ということで勝手に解釈しています。
ジュンは先輩と無事に榎本パイセンと復縁するし、
剣磨は美月に振られたので普通に女性とお付き合い。うむ、ベストだ!
(実はむかーし9歳年上の美女とお付き合いしていたことがあり、
 なんだか勝手に人生のアナザールートみを感じました。うう、泣ける)

〇END2 美しい恋人(ジュンエンド)
ひょー!たまんねー!耽美ワールドがここに爆誕っす!
美しい!あまりの美しさに危うく今更百合に目覚めそうっす。
マイノリティ?カップルのリアルな悩みが少しだけサラリと触れられます。
ジュンが悲愴的じゃないのが何よりだなぁ、と。
そういう葛藤はもう榎本パイセンの応援で乗り越えてるのでしょう。
自分が父親なら確実に全肯定しますが、都会と地方は価値観も違いますね。
今後は多様性がもっと許容されると良いなぁ、と。うむうむ。
(実はむかーし、どうして自分は美女じゃないんだ!美女に生まれて美女と
 お付き合いしたかった!と切に願っていたことを思い出して泣けました)

〇END3 それぞれの道(その他エンド)
あるべきところに落ち着いたエンドという気もしないでもないパターン。
主人公はひっそり舞台から退場?し、スポットライトは2組のカップルへ。
美月×剣磨は全腐女子?お待ちかねのBL展開です。
きっとこの後どんどんエスカレートしていくのでしょう!
(ばあちゃんちのトイレは分からなくもないエピソードで笑えた)
ジュン×パイセンは完全に元サヤモードまっしぐら。
飲み会のシーンなんて元サヤあるあるで分かりみが深いです。
主人公は見目麗しいだろうから、新天地でまた恋愛に励むことでしょう!


この構成については上の項目でもう触れましたが、
プレーヤーが個別EDを回収するストレスもド低減されてるし、
選択肢選んだ瞬間にEDテーマが流れるのもタイミングがオシャレ過ぎる!!
楽曲のクオリティもあってこの演出は完全に参りましたレベルでした。


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4.おわりに

というわけで「Vergunty ヴァーガンティー」の感想はこれでおしまいです。
作者さんは次作も鋭意制作中ということでこちらも目が離せません。
嫌だと言われても公開されれば遊んじゃうのでご了承下さい!
なになに!3作同時進行とか凄すぎない!! 惚れちゃう!!
(作者様の制作情報はこちらからどうぞ!)

全く想定プレイヤー層と異なるであろうオッサンまで夢中になる本作、
未プレイの方は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。面白いよ!

以上、富井サカナでした。


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