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【フリゲ感想】そして僕らは世界を壊す

この記事の文字数は約5,000字です!

さて、誰に求められているわけでもありませんが、
「面白かった!」という記憶以外を将来忘れてしまうのもしゃくなので、
なるべく週末にはプレイした良作の感想を
紹介を兼ねてちょこちょこっと上げていきたいと思います。

1.「そして僕らは世界を壊す」

今回紹介したいのは、質量欠損さんの「そして僕らは世界を壊す」です!!

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絵は上手だなぁ。女性作者さんっぽいなぁ。
BLじゃないってわざわざ否定してるけど、
単なる好きだ!的なレベルじゃない複雑な感情ってことなのかなぁ。
というような感じの印象ではあったのですが、
かなりの絶賛コメントを目にしたので興味を持っていました。

ダイア玉ブーストされていたのと、
余裕を見て3時間ほどの時間が確保できたのでプレイしてみました。

結論、超面白かったです。

いや、もうプレイ後はしばらくの間放心してました。
これ、メチャクチャ傑作じゃないですか。
本当に全然BLゲーじゃない! 創作の王道ど真ん中の作品でした。

ネタバレなしで話そうとしても少しはバレちゃう可能性があるので、
未プレイの方はこんな駄文読んでる暇があったら、
ちょっと上にスクロールして公式サイトからすぐDLしてください。
そして、プレイ後に放心する時間を含めて3時間の時間の余裕ができたら
直ちに遊び始めたら良いと思います。後悔することはまあないでしょう。

ここから下については、
「そうそう、そうなんだよ」とか
「ちげぇな、お前は分かってない」とか
そんな感じでプレイ後にお楽しみください。是非。


2.ネタバレなし感想

以下、自分が公式サイトに投稿した感想を引用、補足しながら進めます。
致命的なネタバレはもちろんないように配慮はしますが、
予備知識がない方が楽しめますので未プレイの方は避けたほうが無難です。

プレイ直後のため、半ば放心しています。
冒頭から終盤まで、構成と心理描写が特に素晴らしい作品だと感じました。

なんていうか、
「さあ、感想書くぞー」という感じの作品ではなかったです。
もっとズッシリと破壊力を持った読後感があり、
一通りおまけシナリオを読んだ後に改めて( ゚д゚)ポカーンとなりました。

グダグダ書いてネタばれるのも嫌だったので
「構成」と「心理描写」に絞って賞賛していますね。

構成は大きな全体の流れがある中で、
①序盤はある程度自由度を持たせているところ
②別シーン・不穏なシーンを小出しして先の期待感を膨らませているところ
③ある地点で突然ガラリと見える風景が一変するところ
が良かったです。
タイトル画面の変遷も凄く良かったところですね。
シナリオへの入口なわけなので世界観を表す大事な要素じゃないかと。

心理描写は主人公の梓の心理描写が抜群だったなぁ、と思います。
周りからの見え方に敏感だったり、
隆之介に対する感情になかなか名前が付けられず葛藤するところだったり。

一方の感情丸出しっ子のはずの隆之介の方は実は何を考えているのか
なかなか見えない部分があるのかな、とも感じました。
そりゃあんな境遇で育ったら真っ当な感情表現なんてできないですよね。

未プレイの方は今すぐあらすじだけ読んでさっさとDLして遊んでほしいです。
何をどう書いてもネタバレになりそうなので、
珍しくこのくらいにしておきたいと思います。
(細かい感想は自分用の備忘録的にどこかでまとめるつもりです)

ここでも同じことを言ってますね。

実は感想投稿時に若干の修正を加えて再投稿をしたのですが、
それがこの部分でした。
「ネタバレ厳禁!」をあんまり強調しすぎると、
それ自体がネタバレに繋がるかな、と思ってさらりと書き直しました。

ただただ強い「愛」、「愛」の物語でした。
素晴らしい作品をありがとうございます。

「愛」を繰り返しているのが何気にプレイ後の人向け感想だったりします。

制作者様がリメイクならびにTGF2020に応募して頂いたおかげで
本作に触れることができましたので、私にとっては大変な幸運でした。

TGF2020参加のきっかけについてはとても気になるところです。
「界隈が盛り上がっている情報が伝わって」とかもあるのであれば、
本当に関係者全員GJだなぁ、と思います。
「プレイできて良かった」とまで思うのは
やっぱり丹精込めた長編ならでは、という気がします。

というわけでネタバレなしの感想はここまで。
(見直したら何一つ大したことを言っていませんが。。)

以降はプレイ後に改めて読んでください。
容赦なくネタバレします。


3.ネタバレあり感想

ここからは容赦なくネタバレします。
本作の肝の部分にも言及しますので、
プレイする前に読んだら面白さが激減します。

こんな駄文読んで面白さが激減しては作者の方に示しが付かないので、
未プレイの方は必ず上に戻って公式サイトからDL・プレイし、
しっかりゲームの内容を味わってしばらく放心してもらって、
公式サイトに感想を残してからまたおとといきやがれください。

ちなみに、レビューや考察がはかどる作品だとは思いますが、
ただの感想ですので、そのあたりは期待しないでください。
(それっぽい記載もありますが、感想の域を出ない薄っぺらいものです)
プレイは1周のみで、かつ多少時間を置いてから記載していますので、
ゲーム内容ともし齟齬がありましたら申し訳ありません。

↓ネタバレ記事開始カウントダウン5

↓ネタバレ記事開始カウントダウン4

↓ネタバレ記事開始カウントダウン3

↓ネタバレ記事開始カウントダウン2

↓ネタバレ記事開始カウントダウン1


あらすじや事前の情報からは一切想像できませんでした。
壮大な展開が待ち受けている例のアレ。そうです。
散々掘りつくされたはずのタイムトラベルモノだったんです。
そしてこの鉄板ジャンルに新たな傑作が現れたのです!!
凄いですよね。創作者としての憧れですよね。
タイムトラベルモノに他のエッセンスを加えて傑作を作るの。


■心理描写
まずはメインキャラの心情に対する印象をば。
このあたりは読み手によって印象が変わりそうだと思いました。
それができるのは書き手の巧みさだと思うので、
こういった妄想が膨らむのも本作の凄いところだと感じています。

・隆之介
本当は梓よりずっと賢いんじゃないか、
現実を俯瞰して見えているんじゃないか、という印象です。
自身の境遇を考えると人の顔色を窺って、
相手の望む言動を取るようになったことは想像に難くないです。
そう考えると、梓に対する言動も本心からではなかったのでは?
家族の中で一番味方になってくれそうな人物を淡々と狙い撃ちにした?
というなんだか後ろ暗い妄想まで生まれてきてしまいます。

何度やり直しても繰り返すほど自死の意思は固いようですが、
その理由は作中で自身の口から語られたことだけが全てなのでしょうか。
身体だけでなく精神も大人になり、今の状態を続けるのがきつくなった?
成長できていない梓を置いて自分だけ成長することに罪悪感があった?
梓の中で永遠に今の印象を保ち、心の中を独占することが目的だった?
妄想はいくらでも膨らむのが隆之介の描き方の巧みなところだと思います。
ただ、個人的には隆之介⇒梓への依存はなぜかあまり見えなかったです。
なので、共依存というよりは依存していたのは梓の方だったのかな、と。
そもそも共依存だったら隆之介が自死する必要があったのかなぁ。

・梓
隆之介への態度は深く深く依存・執着しきっているのではと思いました。
隆之介への気持ちに「愛」と名前を付けていますが、
「依存」や「執着」の感情がどの程度含まれる「愛」なのかは
かなり読み取るのは難しいな、と感じました。

自己犠牲を「無償の愛」と受け取ることもできるし、
「後戻りできなくなっただけ」と読み取ることもできるかな、と。
少なくとも、正義感の強さから意固地になってはいるのでは?
とは思いました。特に邑井への頑なな態度を見ていると。
隆之介を守ること=正しいというのはもはや刷り込みの域かと。

ちなみに、隆之介とは全く異なり、
家族や育ちについてのエピソードはあまりありません。
この部分はとても個人的に好感を覚えました。
なんでもかんでも生い立ちでは説明はできないと思いますし、
隆之介の存在が強すぎて梓の精神が変質していったのかな、と思いました。
もしかすると隆之介の母親が隆之介を疎んだのも、
隆之介の持つ魔性的な存在感が影響していたのかもしれません。

・邑井
梓への深い愛情には胸を撃たれました。
自分が梓だったら秒でその胸に飛び込んで癒してもらいますね。
そして隆之介はたまに思い出す程度になってしまうでしょうね(おい)
幸せになってほしいな、と思いましたがそれは叶わないのでしょう。

でもどう考えても邑井一択だよなぁ。
邑井が魅力的過ぎる。可愛い。どうしてもこっちを守りたい。
それなのに隆之介に固執するあたり、愛情だけではない執着を感じました。

正直なところ、邑井がなぜ梓に惚れ込んだのかは良く分かりませんでした。
自殺しようとしたところを助けられただけで
一回り以上年の離れたおじさんを美少女があそこまで惚れるのか?
描かれていない境遇についてもある程度の想像はしたものの
病室でのあのやりとりで本作のレベルで惚れるまでに至るのか?
そこは少し描写不足の感はあったかもしれません。

・全体感
隆之介⇔梓←邑井という関係ではなく、
隆之介←梓←邑井という関係に自分には見えました。
邑井の無償の愛が強ければ強いほど梓を追い詰め、
後戻りできないところまで突き進んでしまったのかな、と。
その意味でタイトルにある「僕ら」には邑井も入っていると思いました。


■構成
始めのうちはあらすじにもある通り、
「明日を拒絶する従兄弟を救うために、一人の男の子が頑張るお話」
だと思って進めました。(最後までそうなんですが)

ちなみに、序盤で隆之介への感情に対する自問自答を入れているのは
梓の隆之介への感情が終始軸に据えられているので本当に素晴らしいです。
問題提起されるというか、梓は一体どういう感情なんだろうか?と
自然と考えながら読み進めることになり、終始感情を刺激されました。

2周目以降は選択肢が登場して、行動を選択できるようになります。
ただ、どう進めても行き着く先は隆之介の死です。
繰り返すうちになんだかストーリーに違和感を持つようになってきます。
それは不思議な登場人物だったり、病室のシーンだったり。
このあたりの情報の小出しに仕方は素晴らしいと思いました。

そして、足元からガラリと変わるX周目。(6とか7だっけか?)
それ以降の展開も圧巻でしたし、
おまけシナリオでの背景の補強も完璧だったと思います。
進捗に合わせて変化するタイトル画面も最高でした。


■その他
自分の属性もありシナリオ目線での感想になりましたが、
グラフィックもとても素晴らしいです。
ここまでのところ終始絶賛しているシナリオと、
遜色ないレベルだ!と思いました。

絵に関しては
「凄い!」「上手い!」「イベント絵が豊富!」「塗りが綺麗!」
みたいな感想しか出てこないんです。
途方もない労力の成果だということは分かるので、
なんだか特に触れることができないのが申し訳ない気持ちです。
でもエンドロール見てるとシナリオと同じ方が「原画」!?
グラフィック担当と思しき方は「彩色」になってる。
いやいや、もうみんな多能工過ぎるよ! うわぁぁん!!!
シナリオだけでも到底叶わないですからね。一体どうなってるのかと。

なお、使われているBGMや途中で入り込む演出も素晴らしかったです。
ゲームとしての粗みたいなところは一切見つからない作品でした。
タイムパラドックス的な部分はツッコミようはありそうですが、
それは個人的には創作物を楽しむ上での野暮ってもんだと思います。
人によるでしょうが、そんなに大きなものではないと感じました。


ネタバレ防止緩衝地帯

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4.おわりに

というわけで「そして僕らは世界を壊す」の感想はこれでおしまいです。
特に考察用のメモを取ったり2周目をしているわけではないので、
あくまでもプレイ「後」の感想となります。

同サークルは現在次作「さよならファムファタール」を制作中とのこと。
この冬には公開予定とのことなのでこちらも非常に楽しみです!
いきなり期待度がMAXになりました!

それにしても素晴らしい作品でした。
王道なテーマを正面に据えた正統派ノベルゲーでした。
超絶おススメです。

以上、富井サカナでした。


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