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山形
父方の田舎が山形
お爺ちゃんは竹とんぼ職人で
竹とんぼや竹細工のおもちゃを作る為に
自ら庭にプレハブ小屋を建てた
山形に帰省して
小屋のドアを開けると
竹の柔らかな香りがして
おじいちゃんはいつもそこに座って
カンナや小刀で製作をしていた
巨大な凧や
竹細工
缶缶の遊具がたくさん
そして壁には私が小学生の頃描いた
象の絵と
運動会の絵が飾ってあったっけ
そろばん教室のオセロ大会で
いつも優勝していた私は
山形に帰るといつもお爺ちゃんと勝負した
勝負の先行きが怪しくなると
お爺ちゃんは
「うまくないねぇぇぇ〜…」
と頭を抱え大変落ち込んだ
私が負けるととても嬉しそうに笑った
朝は早く起きて
お爺ちゃんと散歩をした
傘子地蔵の前では必ず足を止めて
2人してお辞儀をした
山形に行くといつも着いてすぐ
冷蔵庫から牛乳瓶を出してくれた
心優しいお婆ちゃんは
いつもにこにこ笑っていた
お爺ちゃんには厳しくて
時々お爺ちゃんは拗ねていたけど
そんな2人を親戚一同茶化して
とても暖かい時間だった
お婆ちゃんが病気になり入院した
私は間違えて買ったクラシックギターで
お婆ちゃんに歌って聴かせる為に
歌謡曲弾き語り本を買い練習した
ギターを背負い
何度も新幹線で山形に通い
看護師さんにお願いをして
病室で歌った
お婆ちゃんはその度手を叩いて
涙し一緒に歌った
お婆ちゃんが亡くなった
そして竹とんぼ爺ちゃんは
少しずつ弱った
私はお爺ちゃんと手を繋いで
朝の散歩をした
小学校
畑
傘子地蔵
変わらない風景とお爺ちゃんだった
そしてお爺ちゃんは認知症になり
老人ホームに入った
老人ホームに会いに行くと母に
遠くから笑顔で手を振った
そしてお婆ちゃんの後を追うように亡くなった
お葬式では親戚一同が揃った
離婚した母は行けなかったが
父が来ていた
父は私にお小遣いとして
2万円をポケットに突っ込んだ
祖父母の為に用意するお土産
星空の羊羹
ホームで毎回食べた玉こんにゃく
2人にご馳走した手作りオムライス
いつも並んだ山形の美味しいご飯
優しい笑顔
ふとした瞬間
本当にふとした瞬間に思い出すよ
私にはもう親戚も
お爺ちゃんお婆ちゃんもいないし
母しかいないけれど
繋がってる
いつも守って貰ってる気がする
そんな2人は今山形の
空気の綺麗な山寺に仲良く眠っている
私が守る家族を連れていつか
あの風と2人を感じに会いに行きたいな
#祖父母
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