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あなたは、竹の花を見たことがありますか?


数十年前、中国のある場所のパンダが次々と餓死し、中国政府が慌てて生き残っているパンダを助けるために別の場所に移動させたという出来事がありました。 
世界的なニュースになったので覚えている方もいらっしゃると思います。
原因は、パンダの居住区の竹藪の竹が一斉に枯れたからでした。

竹を主食とするパンダ

竹の花の開花周期は、孟宗竹は約60年、真竹は約120年と非常に長いのです。つまり、竹の花が咲いているのを人は滅多に見ることができないのです。そして、周期がおとずれて開花すると、開花後竹藪全体(地下茎が繋がっているもの)の竹が全て枯れてしまいます。私は子供の頃、1度だけ竹の花を見たことがあります。竹藪全体にまるで粉雪をかぶったように白く小さな花が咲いていました。

幻の竹の花

ところで、歌舞伎や伝統的な時代劇などで、仇討ちのシーンで仇と対面した主人公が言うお決まりのセリフがあります。
「盲亀の浮木(もうきのふぼく)、優曇華(うどんげ)の花、待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!  いざ、尋常に勝負勝負!!」
ここで言う『盲亀の浮木』とは、百年に一度だけ海面に浮いてくる盲目の亀が、たまたま海面に浮いている木に空いている穴に首が入ることを言い、非常に難しく珍しいことであるということから千載一遇を表す吉兆を意味します。
さらに、『優曇華の花』とは、三千年に一度開花するといわれている想像上の吉兆の花を言います。
古来より竹の花が咲くのを見るのもまさにこれに匹敵するほど珍しいとされていましたが、『竹花開花』は、このセリフには含まれていません。
それは、咲いた後に竹藪が全て枯れてしまうことから、竹の花に関しては「不吉」とされているからです。

伝統文様では竹は吉祥文様とされていますが、上のようなことから、竹の花は古来より着物の図柄には描かれておりません。

竹は吉祥


本来、植物の開花は吉祥であるとされていますが、竹の花だけが例外だということは、ほとんどの方が知らないと思います。

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