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電車の中で

電車の中でポツンと空いた座席
けっこう立っている人が居るのに何故なんだろう
あまり考えずに近づき座った

隣の人が数分ごとにびっくりしたように体を動かす
おっ、あっ、一緒に声が出てる
そういえばいつだったかわらないけどテレビで見た

自分でも止められずに声が出て、その時に体も動くんだろう
その他はいたって普通の人だろうと思った
だけどたった一つのことで周りの人は気にする

私も一昨年右脚が或る日から前に出なくなった
いつも通り歩いているつもりが無意識のうちに
右脚が斜め45度外側に出て左脚がそれに合わそうとする

家の中では気づかずに生活しているけど
道路に出ると20mも進まず痛くなるし何より真っ直ぐ歩けない
駅の階段を降りられるのに昇れないことも気づいた

仕方ないから階段の左側で手摺を使いながら昇る
それでも他の人の倍の時間をかけてしか上がれないので
隣を追い越す人が一旦振り返って私をチラ見して上がっていく

それまで考えたことも無かったのに周りの目が気になり始めた
渋谷は階段が多いから渋谷に行くのが嫌になった
休んだ理由、右脚に負荷をかけたくないという気持ちと往復時の目と

その後、リハビリで9ヶ月経って復帰できた
真っ直ぐに歩き続けることができるのは当たり前のようでも
実はとてもありがたく幸せなことなんだとも思えた

あの電車の人は一時的なことなんだろうか
いつか治まる日が来るんだろうか
周りとのデリケートな問題とずっとつきあわないといけないんだろうか

いや、私は突然で瞬間身構えてしまったけど
ご家族や友人はきっといつもの癖くらいにしか感じてないかな
私が家族だったら自然にそうなるかな

その日、私にできることは何もなかった
いつもどおり空席に座ることだけしかできない
何かすると返っておかしい

誰しもみな、ひとつやふたつの負の部分を持っている
見えているかいないかだけで同じだ
ただ、他の人も避けることなく座ってほしいと願っている

多様性の時代、個の時代、
と言われながらも違いを自然に受け留められない人たち
ゆっくり時代に乗っかっていかねば、私自身もそうだ



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