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N.Flying 『BROTHERHOOD』オフィシャルインタビュー

「Rooftop」が逆走で韓国音源チャート1位に輝いたN.Flying
日本1stアルバムのリード曲「Stand By Me」は“僕たち自身の物語”

韓国の音楽業界で、アイドルが音源(配信)チャートの上位に入るのは大変なことだ。特に男性アイドルは、音盤(CD)売上が中心となり、韓国の一般大衆が聴いている音楽が反映される音源チャートの上位に入るのが難しい。これまで音源チャートの100位にも入ることのなかったN.Flyingが、「Rooftop」で発売から1ヶ月半以上をかけてジワジワとチャートを逆走。見事に1位になり、長く音源チャートの上位に君臨した。これは2019年の韓国音楽業界の大事件であり、一般大衆に楽曲が支持された結果だ。

ようやくブレイクしたN.Flyingのアルバム オフィシャルインタビューに、補足を加えて掲載しました。

――日本でのリリースは、約3年ぶり。ボーカルのフェスンさんは、『PRODUCE101 シーズン2』出演後、2017年6月に加入したので、日本ではじめてのリリースです。初といえば、N.Flyingに入るまでライブ経験がなかったのに、日本初ライブが武道館(FTISLANDのオープニングアクト※1)だったというのもスゴイですよね。いきなり外国で大舞台に立ったわけですが、緊張しませんでしたか?

※1 FTISLAND AUTUMN TOUR 2017 -Here is Paradise-
2017.09.29 (金)@日本武道館

フェスン:緊張は…、しませんでした。その時はただ「頑張らなきゃ!」って気持ちしかなくて。

――大物ですね(笑)。フェスンさんが加入して、ラップ&ボーカルのスンヒョプさんとの2ボーカル体制になりましたが、こういうスタイルのバンドってあまりいないですよね。

スンヒョプ:そうですね。僕とフェスンの声のカラーが全然違うので、表現できる音楽の幅が広がりました。
フン:声質も違うけど、スンヒョプさんはリズム、フェスンはメロディに強いボーカリストだから、そういう意味でも幅が広がっていますよね。
ジェヒョン:うん、ぜんぜん違うスタイルのボーカリストだけど、ドラムの僕がいる後ろから見てると、トリハダが立つときがあるんです。ある瞬間、ふたりのタイミングがバチっと合う…、そういうシンクロする瞬間っていうのが最近増えてきていて。それを感じると、ゾクゾクってなる(笑)。
スンヒョプ:なんというか…、フェスンが入ってから、限界がなくなった気がするんですよね。音楽面でも、その他の面でも。

――そんなフェスンさんが加入して、日本1stアルバム『BROTHERHOOD』が5月22日にリリースされます。これまでのN.Flyingは、作家さんの曲を歌ってきましたが、このアルバムでは全曲にメンバーが作詞や作曲で参加しています。今作を自作曲にした理由は?

スンヒョプ:日本で「BASKET」という曲をインディーズでリリースしてから、6年が経ちました。経験も積んだし、『BROTHERHOOD』は僕たちにとって初めてのフルアルバムだし、自分たちの話…、等身大のメッセージを入れるべきだと思ったんです。

――なぜ『BROTHERHOOD』というアルバムタイトルに?

スンヒョプ:N.Flyingを昔から見てきたスタッフさんが、「君たちは、家族みたいだね」って言ってくれたんです。それで、兄弟愛とか兄弟の絆を意味するこのタイトルを思いつきました。
ジェヒョン:うん、僕たちにとってはすごく意味のある言葉なんです。

――『BROTHERHOOD』のリード曲が「Stand By Me」というタイトルなのも「なるほど!」ですね。

スンヒョプ:はい。「Stand By Me」は僕が歌詞を書いたのですが、家族、友達、兄弟、恋人、愛しい人と支えあっていこう、辛いことがあっても前向きに行こうという気持ちを込めました。
フン:切ることができない鋼のような関係だよね。
スンヒョプ:この曲は、今の僕たち自身のストーリーなんです。N.Flyingには良い日もあったけど、悪い日もあった。上がったら下がるでしょ? そんなときには、絶望を感じたこともあったし…。でも、それを繰り返してきたからこそ、これからも前向きになれるし、力が出せるっていうことを皆さんに伝えたかったんです。だからこの曲を昨年12月の日本でのライブではじめて歌った瞬間、涙が出ちゃったんです。僕たち自身に響きまくっちゃって(笑)。
ジェヒョン:ずっと応援してくれているファンの方たちも、泣いてくれてました。きっと、僕たちの気持ちとシンクロしたんじゃないかな?
スンヒョプ:あんなに幸せな気持ちになったのは初めてでした。幸せすぎて涙が出るなんて…。

――2019年は、4人体勢での韓国活動からスタートしました。そして、苦難を乗り越えた再出発の楽曲「Rooftop」が大ヒット。『BROTHERHOOD』には「Rooftop」の日本語バージョンも収録されています。音楽番組ではじめて1位になったとき、ジェヒョンさん、号泣でしたね(笑)。

ジェヒョン:はい(笑)。僕は14歳から練習生をしていたのですが、ここまでの10年以上の歳月が走馬灯のように頭の中に浮かんできちゃって。ふと前を見たら、N.Fia(N.Flyingのファン)も泣いていて。その姿を見たら、よけいに涙が止まらなくなりました。N.Flyingのために泣いてくれる人がいるって、すごく幸せなことじゃないですか。忘れられない瞬間でした。

2019年3月5日 THE SHOW 初1位
2019年3月17日 SBS人気歌謡 初地上波1位

――「Rooftop」のヒットは、異例でしたよね。チャートが上がっていったのは音楽番組での活動が終わってから。いわゆる「逆走」して1位になったのは、リリースの1ヶ月半後でした。再度音楽番組に出演して、地上波でも1位に。その後も長期にわたって音源チャートの上位にいましたが、音源チャートって、韓国の一般大衆が聴いているリアルなチャートじゃないですか。実は、CD売上が中心のアイドルは、アイドルを聴かない大人のユーザー層がいる音源チャートでは弱かったりする。その音源チャートで長期間1位だったというのは、アイドルとしての人気ではなく、純粋に楽曲が評価された結果ですね。

スンヒョプ:僕たちの音楽が、多くの方に伝わったってことですよね。「Rooftop」は同世代のカップルへの応援歌のつもりで作ったんです。でも、僕らよりも年上の方たちからも「良い曲だね」って言ってもらえて。N.Flyingらしい音楽で1位が取れたっていうことは、すごく誇らしいことだと思います。

以下、参考 ※iChart=Melon・Genie・Bugs・Mnet・Naver・Soribadanoの音源サイトのランキングをポイント化し総合順位を付けたチャート。
2/20に10位圏内(9位)に突入し、2/26に1位に!

――「Rooftop」は哀愁のあるサウンドで、歌詞も自分の昔の恋愛を思い出すような懐かしさもあって、大人世代も共感できます。この曲も昨年12月の日本のライブで初披露されましたが、はじめて聴いたとき「いい曲だな~」って思いました。

スンヒョプ:実はその時のライブを韓国事務所のハン・ソンホ総括プロデューサーが見に来てくださっていたんです。それで、「すごくいい曲じゃないか。この曲で活動しよう!」ってその場で決まったんです。
フン:そう。総括PDが来てなかったら、リリースされてなかった(笑)。

ちなみに「Rooftop」は、スンヒョプの個人Soundcloudで昨年9月に発表されていた曲。

――わー、日本でのライブがN.Flyingの転機になったんですね。ライブといえば、6月にまた、日本ツアーが開催されます。

フン:「もっとライブしたい!」って僕たち毎日口癖のように言ってるんです(笑)。
スンヒョプ:うん、今、4人の気持ちがひとつになっていて、この一体感のままライブをやりたいんです。とにかく、今、幸せで(笑)。

――今回のツアーには、FTISLANDのジェジンさんがベーシストとして参加してくれますね。

ジェヒョン:ライブでは、ドラムとベースのコンビネーションが大事じゃないですか。ジェジン先輩は練習の時、いつも僕に合わせてくれて、本当に感謝しかないです。FTISLANDも日本ツアーや韓国でのライブがあるから、一緒に練習ができないときはジェジン先輩が「こんな感じにしたいんだけど」ってベースを録音して送ってくれるんです。そこに僕がドラムをかぶせて「こんな感じでどうですか?」ってやりとりして。
フン:N.Flyingにはベースがいません。ジェジン先輩に「N.Flyingを助けてください」ってお願いしたら、「もちろんだよ!」って即答してくださったんです。FTISLANDのツアーもあるのに、僕たちの曲を20曲も覚えて練習しなきゃいけないんですよ! このツアーで、先輩からいろいろなことを学びたいな。音楽のことはもちろんだけど、後輩を愛する気持ちとか、心意気とか、学びたいことがたくさんあるんです。

――ツアー、楽しみにしていますね。日本ではYouTubeチャンネルも開設しましたが、どんなコンテンツが用意されるのでしょう。

スンヒョプ:ライブに来られないファンの方もたくさんいると思うし、韓国のファンにもライブを見て欲しいから、ライブの映像をたくさんアップしていく予定です。それから、フェスンのボーカリストとしての成長も記録していければと思っています。

取材・文/坂本ゆかり


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