新型コロナウイルスで「嗅覚障害」、いち早く嗅覚を取り戻すための方法が報告される
新型コロナウイルスの感染者の症状の1つとして注目を集めたのが嗅覚・味覚障害だ。これはにおいや味などが分からなくなる症状で、世界の感染者のうちの6割にその症状が確認され、1割は回復後もそうした異常が続いているという。
新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザや風邪が治った後、後遺症として嗅覚障害を発する場合もある。こちらは感冒後嗅覚障害と呼ばれている。
人によっては数か月、あるいは数年も患うことがある嗅覚障害だが、一刻も早くにおいを取り戻したいものだ。
そこである国際グループは、嗅覚異常の治療に関する過去研究を多角的に分析し、嗅覚異常を治すベストな方法を『Journal of Allergy and Clinical Immunology』(1月12日付)で発表した。
その方法は、朝晩に特定の食べ物のにおいを嗅ぐ嗅覚トレーニングだ。
朝晩、自分が好きな特定の物の香りを数十秒嗅ぐ
嗅覚トレーニングは嗅覚障害の治療として以前より採用されてきた治療法だ。
特に風邪などのウイルスによる嗅覚異常に効くとされ、副作用もなく、薬を服用する必要もなく、自宅で簡単にできるなどいくつものメリットがある。
よくあるのはクローブ、バラ、レモン、ユーカリの4種の香りを使うやり方だ。具体的には、朝晩にそれぞれの臭いを数十秒だけ嗅ぐ。それだけだ。
上記の香りである必要はなく、他にもオレンジの皮、ナツメグ、ミント、挽いたコーヒー豆、ココナッツ、バニラなどもよく使われる。手に入りやすく、心地いいと感じられる香りを利用すればいい。
このトレーニングを行うことで、臭いを感じる細胞の再生が促されて、嗅覚を回復させることができる。また脳内の嗅覚を司る領域にも効果が現れるそうだ。
諦めずに根気よく続けること、ビタミンAの摂取を心掛ける
今回のレビューでは、「クローブ、バラ、レモン、ユーカリ」4種類の香りでトレーニングを行ったとき、12週ごとに変化が現れることが確認されている。
トレーニング期間はできるだけ長い方がいいらしく、すぐに結果が出なくても、諦めずに続けることが大切であるようだ。
また、選択肢の1つとしてビタミンAを摂取するのも良いという。ビタミンAは、皮膚や粘膜を健全な状態に保つ役割をしてくれる。ビタミンAを多く含む食品はニンジン、ほうれん草、うなぎ、レバー、卵黄、バターなどがある。
長期間治らない場合は医師に相談を
こうした嗅覚トレーニングは、治療のとっかかりとしてオススメだが、あまりにも長期間、嗅覚の異常が続く場合は、やはりきちんと医師の診察を受けることが必要だ。
特に「刺激性異臭症」という本来の臭いとは違う臭いを感じてしまうようなケースでは、自分で治そうなどとは考えず、すぐに病院に行くべきだろう。
References:COVID killed your sense of smell? Here's how experts train people to get theirs back/ written by hiroching / edited by parumo
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