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外資ITソフトウェアエンジニアの給与の仕組み

こんにちは、サカモトです。外資ITのソフトウェアエンジニアの給与の仕組みについて語って行きます。

前置きですが、全ての外資ITの会社がこのパターンハマるわけではありません。俺の会社違うぞという方はどうぞコメント下さい。


基本給

所謂ベースという奴です。何もしなくても絶対にこの金額は必ず貰えます。この金額を12で割ったものが毎月振り込まれてくるわけですね。最近話題になったAmazonの基本給の最大値が上がったという話ですが、これは元々Amazonには基本給は競合よりかなり低く抑えられており、採用競争に勝つために天井を撤廃するという話だったわけです。

実はこの基本給は中々上がっていきません。せいぜい年数%です。日本みたいに物価の上がらない国ではなおさらですね。プロモーションすると二桁%上昇する話もあります。実はGoogleで2000万円以上もらってる人も基本給は1200万円くらいしかないわけです。

賞与

日本の会社は月給の何ヶ月という形で計算する事が多いですが、外資ITの場合は基本給の10%や15%程度を目標の賞与額とします。例えば基本給が1000万円の人の賞与は15%だと150万円になるわけです。ここに会社の業績や個人のパフォーマンスの係数がかかってきて、この15%が20%になる場合もあります。ここの計算式は会社によって当然異なってきますが、賞与たっぷりみたいな会社は殆どないです。なので給与の総額に対する賞与の割合はそんなに大きくなりません。ここはJTCとは大きく変わる所ですね。

RSU

ここからが外資IT企業特有の制度になってきます。RSUは「譲渡制限株式ユニット」と日本語では書かれていますが、まず入社時に自社株を付与(grant)される事が多いです。しかし、もらった時点で市場で売ることはできません。その後は数年かけて、在籍していれば権利が確定(vest)していく事で自分のものとなっていくわけです。

例えば、RSUが10万ドル入社時に付与された時、自社株が1000ドルだったとしましょう。するとこの10万ドルは100株に変換されます。これがあなたに付与された自社株になります。これを大体の会社は4年かけて権利を確定させていきます。1年25%ずつなので、この場合は25株を毎年手にすることができるわけですね。一番嬉しいパターンでは株価が在籍中に上がってくれるパターンで、10万ドルだったものが20万ドルになっていたなんて話はここ数年では頻繁に起きているわけです。逆に下がればお給料が減るので、従業員の仕事のモチベーションアップとして導入されているわけですね。

ここまで読んだ方は入社時にだけもらえるサインオンボーナスじゃないかと、思った方もいると思います。当然ながらRSUの更新もあります。多くの会社では毎年のパフォーマンスレビューの時に追加で付与される事が多いです。残念ながら入社時にもらった金額よりは下がってしまいますが、あなたが良いパフォーマンスを発揮していれば人より多くもらえる事でしょう。自分の場合は、これまでにパフォーマンスレビューにて入社時にもらった金額の37%程度のRSUが新たに付与された実績があります。これが毎年やってくるわけですから、外資ITで働くエンジニアは目の前のニンジンを目指して、上司から何も言われなくとも頑張るわけです。RSUは給与の総額の割合に占める量が多いので、同ポジションでも十分に給与格差が表れてきます。最悪RSUの更新がない場合はあなたの給与は激落ちします。つまり出ていっても良いよサインなので、こうなった場合には、転職活動を始めるわけですね。

(追記)RSUはSWEで就職すると他のポジションと比較して高めに貰える傾向が見受けられます。日本はセールス系の職種が多いですからね。結構な方の入社時RSUが5万ドル以下なのは驚きました。

ESPP

RSU以外にも実は株式報酬の制度があります。ESPP(従業員株式購入プラン)は社員が市場に出ている株を割引価格で買える制度となります。採用してる企業は以下のリンクのリストから見ることができます。

ここでNvidiaの制度を見ていきましょう。

Allows contributions up to 15% of base salary. 15% discount on purchase price of stock. Maximum contribution capped at 25K USD. The look-back period: 24 months. Each offering consists of four purchase periods. Shares can be sold right away or held.

何が書いてあるかというと、「基本給の15%まで拠出する事が可能で自社株を15%割引で買うことができる。最大で2万5000ドルまで拠出可能。24ヶ月間購入価格を固定する事ができる。この24ヶ月の間に4回購入期間があり株を割引で購入可能。すぐに売却や保有も自由」。このような事が書かれています。

この文だけでは分からないと思います。例えばあなたの基本給が1000万円だとしましょう。すると15%の一年間150万円まであなたの給与を拠出することができます。この積み立てた金額は購入期間に入ると、自社株の購入に使われるので、株価が100ドルだとすると、85ドルで購入することができるわけです。しかもこの85ドルの購入価格は24ヶ月間固定されるので、1年後200ドルになったとしても、85ドルのままで購入できるので、150万円が倍の300万円以上になるわけですね。

さらに凄いことは株価が下がったとしても、絶対に市場で出ている価格の15%の割引は必ず適用されるようになっているので、利率が15%以上の定期預金と思って良いでしょう。ESPPはかなり複雑なので、これ以上の説明は省きます。

Total Compensation

いろいろ語ってきましたが、Total Compensation(総年収)は一般的に、基本給+賞与+RSUを指すことが多いです。ESPPは入ってる例はあまり見ません。こちらはOpenSalaryからとってきたGoogleの方のTotal Compensationですが、基本給が1070万円、賞与が220万円、RSU(株式報酬)が570万円となって、合計が1860万円になるわけですね。これが外資系ITの給与の仕組みでした。ちなみにRSUとESPPは源泉徴収票には載りません。自分で確定申告しなければなりません。忘れるとすぐ税務署があなたのもとにやってきます。。。

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アメリカとの給与格差

最後に余談としてアメリカとの給与格差について話します。当然アメリカは一番給与が高いので、日本で働く場合かなり給与格差があります。会社によって地域傾斜は違いますが、ざっくり30%〜50%引きだと思ってくれて良いと思います。物価が違うとはいえ大分違いますね。levels.fyiというテック企業で働くエンジニアが給与を投稿してくれるサイトがありますが、これの日本版のOpen Salaryというサイトで同ポジションを比較するといろいろと面白い事実が見えてきます。ドル円 - 115円(2022年3月2日現在)で計算するとGoogleの同ポジションL4ではアメリカ全土の平均では年収3000万円、日本の平均では1700万円になります。ちなみにGoogleのL4はなにもタイトルついてないエンジニアなので、大体のGoogleのエンジニアはこのくらいもらってるという事です。すごいですね!

参考記事


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