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星崎(奥平大兼)犯人説の場合 『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』
第3話を鑑賞後、ミステリ脳をものすごく刺激されました。
ネットの反応を見るとどうやら多くの方が僕と同じ感想を抱いたようです。それに背中を押される形で本作の犯人について推論を重ねていきたいと思います。
キーワードは「脱社会的存在」「離婚の真の理由」「利他性」です。

もちろんですがネタバレを含みます。TVerなどで鑑賞後にお読みいただきますようお願いいたします。

️◾️ 星崎犯人説

第3話で突然前面に出現した生徒星崎透(奥平大兼)。奥平さんの経歴を見たら「もう犯人決定では?」と思わずにいられませんでした。

奥平大兼
主な出演映画
『MOTHER マザー』、『君は放課後インソムニア』 、『ヴィレッジ』

スターダスト公式サイトより

ちょっとタレントパワーが強過ぎて犯人がキャスティングばれしてるのでは?と感じざるを得ません。
本作での人物評としては、日常がつまらないと感じていて面白くなりそうな方を選択する生徒のようです。
善悪での判断より楽しいかつまらないかで判断するような人物であるという印象です。
社会学者の宮台真司先生が定義する「脱社会的存在」に属するでしょう。
「脱社会的存在」とは「社会的」「反社会的」とは違った新たな存在です。
社会のルールに反する不良生徒などの振る舞いは「こんな社会は認めたくない(違う社会が良い)」というメッセージであり、広い意味で「社会的」と言えるでしょう。
「脱社会的」はこの社会のルールを生きておらず価値基準がなかなか理解しづらいという特徴があります。
(コンビニでジュースを買うのと同じような敷居で人を刺せたり、自身が信仰する特別な神の意志を優先するなど)

宮台真司×小林武史「世界の手触りを失うな」

参照記事

星崎透が脱社会的存在であるとしたら、目立つ場所で担任を突き落とすことも気にしないというのは理屈が通ります。

️◾️ 犯行動機

あらすじは以下の通り。

第1話で担当クラスを1年間何事も無く卒業させた担任の九条里奈(松岡茉優)は校舎から突き落とされてしまいます。
自身が受け持った3年D組の生徒であると死の間際に目撃。顔や性別まではわからないまま地面に直撃するかと思われましたが、次の瞬間彼女は1年前の始業式の日に時間が巻き戻ってしまったのです。
この中の誰かに1年後突き飛ばされてしまう。恐怖を覚えましたがその前に犯人を突き止めることを決意したのでした。

では星崎透はなぜ九条先生を突き落としたのでしょうか。
第3話ラストで「先生を主役に映画を撮りたい」と熱烈アピールしていましたが、今のところ彼の原動力は映画が好きであるということくらいしか情報がありません。
そのため九条先生を突き落とすところを映像に収めてたのではないか、と予想しました。
映画のラストは主人公が殺されて終わる。そんな作品です。
法律を逸脱してでも自身の中にだけある基準に従って行動する。
脱社会的存在である彼にとっては「面白い映画を撮ること」がこの社会のルールに従うことよりも上位に位置するのでしょう。

また、本作は『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の監督とプロデューサーが手掛けているということもあり、何かリンクしている部分があるのではないかと勘繰ってしまいます。
映画ではなく突き落とし配信だとしたら。
3年A組の柊一颯先生(菅田将暉)のメッセージが全く伝わっておらず、リアルタイム配信というインパクトだけを真似て犯行に及んだという絶望的な展開も予想できます。

◾️ 離婚の理由の薄さ

第3話を見て、九条里奈の夫である九条蓮(松下洸平)の離婚理由に肩透かしを喰らいました。
なんだかよく分からないふわっとした内容で、そんなことで離婚するのか?という疑問が湧きました。
もしこれにも星崎透が関係していたら。星崎の恐ろしさがさらに際立ちます。
九条里奈が主役の映画の内容は、彼女にいろんな出来事が降り掛かるというものです。
鵜久森叶(芦田愛菜)の自殺。
夫との離婚。
そしてラストは九条里奈の殺害です。
九条里奈を孤独に追い込むため星崎透はその夫に目を付けます。
彼の弱みを握り「離婚しないと九条里奈を殺す」と脅します。なので蓮にとっては離婚の理由などそもそも存在しないのです。
九条里奈2周目の人生では生徒たちと深く関わることで星崎透の考え(映画脚本)に新たな考えがひらめき、離婚を踏みとどまるように蓮に指示したのです。
新たな映画脚本は九条里奈の目の前で九条蓮を殺害するというものです。
本当の意味で九条里奈を孤独にし主人公を光り輝かせるのです。
この案が思いついた星崎透は居ても立っても居られず、先生のもとへ駆け付け直接映画出演のオファーを出したのです。
星崎は良い映画を撮るためならなんでもする生徒だったのです。

◾️️ 「なんでもします」の変容

第1話で九条先生の「なんでもします」という発言の変容が視聴者にある種の気持ち良さを与えてくれました。
それは赦しを乞うために隷属するという意味での「なんでもします」から、被害を受けたら徹底的に抗戦するという覚悟を表明する意味での「なんでもします」へ、という変容です。
覚悟が決まり戦闘態勢中の先生は一切まばたきをせず非人間的に見えます。

その後さらにこの「なんでもします」が変容するのではないかと予想します。
「脱社会的存在」である星崎透をこの社会に踏み止まってもらうにはどうすれば良いのでしょうか。
映画のためなら九条里奈を追い込むために夫を殺すような生徒です。

僕は究極の利他性がこの社会のすごさを彼に刻印するのではないかと思います。
九条蓮を目の前で殺害された九条里奈は星崎透から理由を聞かされます。
映画のためという理解不能な理由のせいで夫を殺されてしまった先生は絶望します。
自分のせいで夫が殺されてしまった。
そして担当のクラスの生徒が殺人者となってしまった。
不幸のどん底にある九条里奈は、それでも星崎を赦します。
「なんでもします」というのは、どんなに絶望に打ちひしがれても、自身や最愛の人を殺すような相手を目の前にしても、それでも赦すということだったのです。

この振る舞いが星崎にとって「脱社会化したまま社会に踏みとどまる契機」となります。
理解を超えた利他性を備える「社会的存在」である九条里奈に、この社会のあり得なさを嗅ぎ取り、社会のルールに従う決意をさせるのです。

️◾️ 最後に

お読みいただきありがとうございました。
星崎透犯人説として今後の展開を予想してみました。
飛躍し過ぎている部分もありますが、3話時点での少ない情報を想像で補った結果です。
みなさんはどのように予想されましたでしょうか。
ご意見お待ちしております。

※2023.9.25追記
最終回を迎えての感想です。
全国の星崎透へ

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