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「インプット/アウトプット」とか言ってないで 【オモコロ記事を読んで】

『緊急開催!おまえらインプットどうやってるんだ座談会 | オモコロ』という記事が大変素晴らしいのでぜひ多くの方々にお読みいただきたいです。

こちらを読んだ感想を書いていきたい。
大量のコンテンツの波に飲み込まれて息ができなくなってしまった人たちに特にお読みいただきたい。

■ 自分の中の「池ちゃん」を自戒せよ

マンガ『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』に登場するキャラクター「池ちゃん」をご存知でしょうか。
観た映画の本数を自慢し、8,000字のレビューを投稿するような、いわゆるいけ好かない&つまんない男を煮詰めたようなキャラクターです。

今回のオモコロ記事は、映画や本をいっぱい観たり読んだりしたい加味條氏が、他の方に「どうすればいっぱいインプットできるのか」を質問するという内容です。
ですが序盤から本質を突く言葉が投げかけられます。

「年間100」とか言ってるやつ、正直ちょっと醒める。

原宿氏の発言

僕は「数字でマウント取ろうとする奴はクズ」だと思っているので、原宿氏の序盤の発言にしびれました。
作品を味わいたいんじゃなく鑑賞本数を増やしたいだけじゃん、みたいな。

数字マウントの人は感想の内容が薄め。それよりも「この映画観たことある」ということを誰かと話したい、という感じ。
数字にこだわってない人の感想の方が濃かったり、着眼点が特殊な印象。
転じて、人間的につまんない人は数字にこだわり、人間的におもしろい人は何を見ても何を言ってもおもしろい、という感じです。

■ 「記録はどうしてる?」

僕は以前から映画やドラマや漫画の感想を書くのが大好きで、長文過ぎてクリックした方の読む気を削いでるんだろうな、と思いながらもやめられません。最後までお読みくださってる方々にはすごく感謝しています!
観た作品すべてを記録することはないです。コレクションしたいわけじゃないので。
でも印象深い作品や感銘を受けた作品は、「多くの方にご覧いただきたい!」「他の方がどう感じたのか知りたい!」「僕がどう感じたのか残したい!」という想いから感想を書き残したくなります。

「おもしろい/僕と合わない」と「感想書きたい/書く気しない」を掛け合わせた4パターンのどれかによって記録するかどうかが決まります。

■ 「二回理論」

「作品はどうやって探してる?」という質問に対して出てきたのが「二回理論」です。SNSなどで二回以上目にしたら観る、という探し方です。
僕も「別々の人が同じ作品のことを挙げてたら観ようかな」という探し方をしています。
あとはもちろん作者、監督、役者、アニメ制作会社などなど、いろんな探し方もします。
そして大事なのは直感ですよね。
いっぱい作品に触れると自分に合うか合わないかは見分けが付くようになります。

■ 「そもそもインプットっていう言葉ってどうよ」

今の時代、すごく重要な問い掛けですよね。
膨大にコンテンツが作られ続け、消化されていく昨今。
受け手側はリソース配分を強烈に意識しなければならなくなりました。
「倍速視聴」で数を稼ぐ者。
評論家や一般レビューを吟味し質の高い数本に絞る者。
寝食や人付き合いの時間を視聴にあてがう者。

でもそこまで強迫的に作品を観まくらなければならないのでしょうか。
誰に急かされてるのでしょう。
観ると得で観なきゃ損なのでしょうか。
そんなことはありませんよね。
自分で勝手に急かされてるように感じているだけです。置いていかれると思い込んでるだけ。
誰も僕がどんな作品に触れ、あの傑作を観ていないのか、などまったく気にしていません。

食べ物で例えてみましょう。
生きるために食べる。
美味しいものを食べる。
有名店、有名シェフの料理を食べる。
これらの内、純粋なのは「生きるため」です。
心が充実するのは「美味しいもの」です。
有名店や有名シェフは、誰かに言わなければ自身の食への追究ですが、誰かに自慢した途端に「生きるため」「美味しいものが食べたい」と別のステージに変貌します。

つまり「自分のため」なのか「他人に自慢したいか」で区別できるということです。
作品を「インプット」ととらえてる時点で「他人に自慢したい」「遅れを取りたくない」「観てる人に負けたくない」という他人軸が基準となってしまいます。

早い話、自分のために味わった方が生きるのが楽、生きるのが上手い、人間的におもしろい。逆に他人軸だと生きるのがつらい、他人という軸が膨大なので自己判定が不安定になります。人間的にもつまらなくなります。実体の無い「他人の評価」を気にし過ぎるからです。

■ まとめ

おもしろい人間になりたいのであれば、インプットとか言ってないで、当たりはずれとかも気にしないで、好きなように作品を味わい尽くすべきです。
他人にウケやすいアウトプットが得意な人もいるでしょう。
そんなのに太刀打ちしようとしてる時点で。つまり相手の土俵に上がろうとしてる時点で負けです。
好きなことを好きなように味わい、発散しましょう。
数にこだわったりアウトプットの見せ方にこだわったりすると、作品を観ることがイヤになっちゃうかもよ。

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