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「無量空処」と「フレーム問題」について。あとジョジョ6部とか。


『呪術廻戦』の「無量空処」って「フレーム問題」がモデルですよね。

このように友人に言ったところポカンとされたのでネットで検索してみましたがこのような発言をしている方があまり居らず。
ということで今回は聞きかじった知識を駆使して「無量空処」について考えたいと思います。

無量空処」とは週刊少年ジャンプ連載中の漫画『呪術廻戦』に登場する五条悟が使用する技で、相手に無限の情報を与えて身動きできなくさせるという能力です。

それでは「フレーム問題」について考えてみましょう。
これは人工知能を作り出すことがいかに難しいかを例えるときによく出てくる問題です。
登場する物は「ロボット」「バッテリー」「時限爆弾」です。

ロボット1号は洞窟の中にあるバッテリーを持ち出すプログラムを組まれています。奥に進むとバッテリーがあり、その上にはなんと爆弾が。ロボット1号は無事バッテリーを外に運び出すことに成功しました。ですが時限爆弾も一緒に持ってきたため爆発してしまいます。
「時限爆弾を爆発させない」というプログラムが組まれていなかったのです。

ロボット2号は1号の失敗を踏まえ、「時限爆弾が爆発する可能性を排除し、バッテリーのみを運び出す」というプログラムが組まれました。
洞窟の奥まで進んだ2号。そこで動きを止めてしまいました。そして時間切れで爆弾が作動してしまいました。
2号は「自分が動いた振動で爆発するかも」「1秒後に洞窟が崩れるかも」「岩の色が金色に変わった時に爆弾が作動するかも」など起こり得ない可能性にまで思考を広げ動けなくなってしまったのです。

1号と2号を踏まえ、ロボット3号は「起こり得ない可能性は排除し、必要な情報にだけ対応する」というプログラムを組みました。
すると3号は洞窟に入る前に何もせず沈黙してしまいました。
可能性は無数にあるため、選別に無限の時間が必要になるため行動できなくなってしまったのです。

おもしろいのが「フレーム問題」は実は人間も抱えているということです。
例えば僕らは、明日隕石が落ちてくる可能性があるにも関わらず1週間後に行く美容院の予約を入れたりします。
交通事故に遭う可能性があるにも関わらず来年の目標を立てたりします。
異世界に転生させられてしまう可能性が無いという前提で仕事をしたりします。

これらの可能性を判断しなぜ人工知能的に停止することが無いかと言うと、人は物事を一定のフレームで囲っているからです。

前置きが長くなりました。
つまり五条悟の「無量空処」は対象を「フレーム問題」に陥らせる能力ということです。
無限の可能性、無限の選択肢を与えることで無限の時間処理し続けなければならない。技を受けた者は目まぐるしく思考を続けているのですが、他の人が見れば身動きせず何もしていないように見えます。例えで言えばロボット3号状態です。

ちなみに、五条悟の他の特技に「無下限呪術」がありますが、こちらは哲学の命題「アキレスと亀」のパラドクスが用いられています。
「アキレスは遠くにいる亀に追いつけるか」というものです。
アキレスが1分進むと亀も1分進んだ距離に移動する。さらに1分進むと亀も先に進む。さらに1分進んでも亀も先に…、というものです。
こちらは作中でも五条悟自身が「アキレスと亀」と言っているので自覚している能力なのでしょう。
さらに付け加えると『ジョジョの奇妙な冒険第6部 ストーンオーシャン』にこの「アキレスと亀」をモチーフにしたスタンド能力が登場します。作者の芥見下々先生はジョジョ好きで間違いありません!多分!

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