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ルーティンを積み重ねる

パン屋の仕事は、タイムスケジュールが決まっています。
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に同じ場所で、毎日同じ仕事です。
パンの量が増えたり減ったりはあるけど、日々、淡々と、同じ作業を繰り返します。毎日同じってつまらないなと思っていたけど、同じ日なんて1日もないです。


毎日同じ時間に、同じ仕事をしていて、まず、季節の変化に気づきました。
例えば時間軸だと、昨日はこの時間まだ暗かったのに、陽が昇るのが早くなってきたな、とか
あったかくなって、発酵が早くなってきたな、とか。

そして、毎日同じ場所で仕事をしているから、
お店の前に植えてある木に、蕾ができて、花が咲いて、緑が青くなるのを見たり。毎日散歩しているひとの服装がだんだん涼しげになっていきたり、冷蔵庫のフィルターに小麦粉がつまって、あぁ掃除しないとと思ったり。

日々変化しているんだなと思います。
同じことを繰り返しているけど、その場所に留まっているわけではなく、季節と同様に私も徐々に変化しています。

同じ作業を繰り返しているので、作業の精度も上がりました。より正確で、早い作業が出来るようになりました。
作業の精度が上がると、精度の高いルーティンになる。それが良いパンに繋がる。


ルーティンが大事だと気づいたのは、先日のイベントでの出店です。

イベントは、普段の営業の2倍くらいパンを焼くので、いつものルーティンとは違うスケジュールで作業を進めます。考えながら作業を進めるので頭が散らかるし、見せ場なので失敗したくない、という思いと、みんなに美味しいパンが届くといいなという思い、時間までにパンが焼けるかな、とか、設営大丈夫かなとか、いろいろ思いが交差して、アドレナリンがずっと出ます。いつもと違うスケジュールで、いろんなことを同時進行で進めるから、色々忘れるし、作業場所も散らかって、気も散らかります。集中力も欠けて、オーブンからパンを出すのを忘れたり、温度設定を間違えたり。まるこげパンが出てくる。笑

自分のルーティンがわかると、この時間にこの作業をしたら上手くいく、とわかるので、落ち着いてパンを焼くことが出来ます。

だから、いかに日々のルーティンの中にイレギュラーを組み込むかが、催事の時に良いパンを焼く方法だと実感しました。難しいけど。

いい仕事は、いいルーティンから。日常を積み重ねる。細かいことを大切に。
日々できていないことが、本番になって、急にできることはないんですね。
そして、自分が積み重ねたことを人にお願いしたいときは、自分が習得した分の時間だけ、人にも与えないといけない。
パンを仕事にして、学ぶことがたくさんの日々です。

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