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清い気持ち

私の仕事は建築の施工管理、設計をやっています。資格で言うと一級建築士と一級建築施工管理技士を取りました。建築士事務所に入り、今までもたくさんの建物に携わってきました。

建築と言いますと新築もあればリフォームもある。住宅もあればマンションもある。公共施設や店舗もあると、その形は様々。それらを基準法や仕様書、他いろんな規定をクリアーさせ、施主様などとの打ち合わせの中図面を引き、予算を組み着工、完成させていく。今の大変な世の中なので補助金関係もいろいろあるから、それらも活用していく。そうしたいろいろは年々、大変になっています。

今やっている建物は国指定文化財の社寺建築です。江戸時代のその建物を修繕していく。基礎(石)の沈下や柱他構造部の腐食や曲がりを直し、新しい茅を葺いていく。「社寺建築って釘を使わないんですよね?」という事は一般の人にはよく言われるけど、基本はそうだけれど、今は社寺修繕も「耐震補強」が行われるのは普通だから、鉄骨を立てたり鉄ブレスを入れたり、基礎のコンクリートを打ったり、その基礎と柱を引っ張りに耐えられるよう、金物で閉じたりする。仕上げでは出てこないものだから完成しても分からない部分だけれど、耐震はこういう建物でもとっていく。

でもあらゆる建物をやってきた自分からすると、こうした建物は気持ち的にまったく違うものを持つ仕事になる。それは「清い気持ち」で仕事ができる。これは簡単に言うと「こういう仕事をさせていただけるだけありがたい」とか「自分程度の人間がこの建物を手掛けさせていただける事に感謝しよう」とか、現場にいる人達全員が思うような感じになるという事です。

江戸時代の人達大勢の力をもって、この何十メートルもある1本梁を長い時間をかけ運び、それを組み立てていった。当時の番付の文字なども見ると、当時の大工さんたちの思いをかいわみられるような感じになる。このお寺では、偉い人を敬ってのその伝説があって、その対面した間にいると、神妙な感じになる。

世の中で建築をやっている人はたくさんいても、これだけ「清い気持ち」を持って仕事をできているという人は少ないはず。まだまだ何年もかかる仕事だけれど、この気持ちをいつまでも忘れる事なく、先代の人達の思いを残し伝えられるよう、頑張っていきたいです。


建築の事もいろいろ書いていこうかな。今まであえて伏せてきたんですが(汗)

ありがとうございます!