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ピョンヤン市内をゆく(4)~ICカード増加中~

●地下鉄もスマートに「ピッ」

地下鉄の話題が出ましたので
ついでに運賃やキップのお話しも。

北朝鮮の地下鉄は平壌駅前の「栄光」駅を除いて
地上に立派な駅舎を持っています。

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これは「凱旋」駅。

そんな建物に入ってすぐに自動改札があるんですが
なんとICカード化されてました!

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みなさんカードを手にピッピピッピと入場します。

20年前も自動改札機はあったんですが
当時は硬貨をそのまま投入するタイプでした。

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それがいまやカードタッチ式。
どんどん進化しておりますね。
改札機のタッチ部分はこんな感じ。
ちょっと斜めに角度が付いた親切設計です。

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説明には
「カードを受感部(=センサー)に当てて、
利用回数が表示されたら離してください。」と。

ではさっそく同伴のガイドさんに実演してもらいましょう!
こんなことにまでガイドを使いますよ。

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 手の形にまで気を遣って下さりありがとうございますww

おお、確かに数字が表示されるぞ。
表示は残りの利用回数のようで
あと198回乗車できるという意味だそうです。
その上部には見えにくいですが緑の矢印で
入場可能だよ、とちゃんと示されます。

これがその地下鉄ICカード。
残念ながら外国人は購入できないんですが
ちょっとお借りしてよく見てみましょう。

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地下鉄のマークと走行車両のシンプルデザイン。
ちょっと車両の形が実際と違うのはご愛敬。
あくまでもイメージですよ、イメージww
下の赤い字は「ピョンヤン地下鉄道」です。

せっかくなので裏面も。

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「カード使用法と注意事項」というタイトルで
ものすごくざっくり言うと

1.カードを改札機にタッチすると残回数が表示されます。

2.残回数10回以下になれば窓口でチャージしてください。

3.折り曲げたり強い磁気や高温にさらさないでください。

というようなことが書いてありますよ。
一番下の星マークのところは発行機関名。
「地下鉄道管理局 収入審査所」です。

カードは最初ある程度の回数分チャージして購入、
その後も追加チャージを繰り返して使います。
駅の電光案内板にお知らせが出てました。

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    お知らせ
市民の皆さんの便宜を図るため
カードの再チャージサービスを
午前9時~12時、
午後3時~7時まで行います。

(ざっくり意訳)

いや、胸張ってお知らせするわりには
なかなか時間限定だなおいw
そのうえ取り扱い窓口は主要3駅のみ、
さらに土日祝日は休みなんだそうな。
このへんがやはり北朝鮮、というか
社会主義国家なんだなぁと思えます。
「働き方改革」など必要なさそうですね(笑)

さて地下鉄の運賃は全線均一で5ウォン。
日本円では約5円(正規レート)という安さです。
1駅で降りても終点まで乗っても運賃は同じ。
なので改札機を通るのは入場時だけで
出るときは横からそのままノーチェックで出ちゃいます。

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と、いうことで実はこの改札機、
ひたすら減算しかしない仕組みのようです。
つまり1回ピッとするたび単純に1回分引くだけ。
案外簡単なシステムでしたね。
なぜそんなことがわかったかというと
ガイドさんに実演してもらって写真撮るとき、
最初失敗したんですよ、ブレて。
で、もう一回お願いしたらまた回数が減っていて…
ガイドさんごめんなさい(苦笑)

ちなみに頻繁に地下鉄を利用するわけではなく
カード買うほどじゃないよって人のために
紙のキップもちゃんとあります。
それが、これ。

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特別に写真撮らせてもらいました。
つるんとした紙に印刷された、けっこう小さいもの。
長いひと巻きのロール状になっていて
これを1枚ずつ切り取って使います。
均一運賃なので駅名はありません。
日付もないので無期限有効なのかな?

書いてある文字は、上から
「地下鉄道車票」
「地下鉄道  収入審査所」
そしてまん中には地下鉄マーク。
なんとも手作り感あふれるデザインですね。
簡単だからって写真から複製して使っちゃダメですよ
…と言っても使う機会ないですね(笑)

キップは駅の窓口で手売りしてます。

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が、やはりこれもワタシ達が買うことはできません。
キップくらい記念に売ってくれたっていいのにねー、
などと思いますが
まぁたぶん、窓口では現地通貨しか取り扱えないので
処理がいろいろ面倒なのが理由なんでしょうけど。

なおこのようにカード以外に紙のキップがあるので
自動改札機の横には有人改札もちゃんとあって
紙のキップはここで案内員(改札係)さんに渡す段取り。

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後ろの電光表示板では
持ち込み禁止物品とかのこまかい説明と
違反したら処罰するよ、ってなことが表示されてます。

●バスはどうだ

で、地下鉄がここまで進んでるなら
市内のバスもカードでピッ!なんじゃないですか、と
ガイドさんに聞いてみたら
「バスは回数券です」とのこと。あらら。

どうやらバスは今でも紙のキップか現金のようです。
そこでバスの切符も見たいとゴネたら
見せてくれました。
なんでも言ってみるもんですね(笑)

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おお、こっちの方がなんか一層キップっぽいぞ。
地紋(ピンクの模様)も印刷されてるし。
地下鉄と違ってヨコ続きですが
これも1枚ずつ切り取って使います。
書いてある文字は上から
「番号 ×」(×=1~6)
「市内車票」
「5ウォン」
一本線を引いて
「附票」
「5ウォン」。
まん中のマークはバス事業所のマークのようです。
下の星マークの周りには
「ピョンヤン市運輸収入審査所」とあります。
いわゆる「検印」ですね。
ピンクの模様はピョンヤン(평양)の「평」。
ナナメの線の意味は分かりません。

下部に「附票」があるので
もとは乗るときに上の部分を切り取って渡し、
降りるときに残った附票を渡す、という
めんどくさいシステムだったのかもしれませんが
今は乗るときにそのまま運賃箱へ放り込むそうです。

ちなみにこのバスのキップは再生紙を使ってます。

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たぶん100%再生紙で
昔の学校のプリントのようなちょっと懐かしい手触り。
よく見ると原料の古紙の文字が残ってたりも。

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でもどうせキップなんて1回しか使わないんだし
長時間の耐久性もいらないから確かにこれで充分。
そのへんは北朝鮮の考え方が合理的なのかもしれません。

しかし、地下鉄もバスも同じ5ウォンなら
共通カードにすればいいのにな、と思っちゃいます。
ただバス全車両に読み取り機を付けるとなると数が多いし、
地下鉄と違って電力が個々に必要なので大変なのかな。
それに、地下鉄は外国人もよく乗る「観光資源」なので
真っ先にココを最先端にしたかったんでしょうね、やっぱり。

●ほかにもカードがいっぱい

地下鉄カード以外にも
いま北朝鮮にはカードが続々登場していますよ。
例えばこの「ナレカード」。

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上には朝鮮語で「電子決済カード」と書かれてます。
いわゆるプリペイドカードみたいなもんですね。
あらかじめ一定の金額をチャージしておくと
商店やタクシーで支払いに使うことができます。
利用できるタクシーにはステッカーが。

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実はこのカード、外国人も入手することができます。
カード本体代として「3ドル」と、
ある程度の事前チャージが必要ですが
手軽な記念品として購入する旅行者も多いとか。
確かにけっこう珍しいお土産ではありますからね。

見た目はクレジットカードそっくり。ICチップもついてます。
裏面には発行元として
「朝鮮民主主義人民共和国貿易銀行」の文字が。
ちなみに「ナレ」は「羽ばたく」という意味だそうです。

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この「カード代」の3ドルが正味の「販売価格」なのか、
それともあくまで「デポジット」で、カードを返却すれば
その金額が戻ってくるのかは聞きそびれましたが
もし「販売価格」だとすると
これはけっこう稼いでんじゃないか?ww

我々が入手してもタクシーに乗る機会などありませんが
ホテルの売店では使えます。
ワタシもカードを購入して早速使ってみましたよ。
(ちょっと写真は撮りづらかった…)
支払いの時店員さんにカードを渡すと
専用の読み取り端末に差し込んで金額を入力、
その後自分で設定した暗証番号を入力するだけです。
通信処理は早く、ストレスなく決済完了。
ちゃんとレシートも発行されます。

チャージの際にウォン換算で残高入金されるので
価格表示どおりに1ウォン単位で支払えるのも良い感じ。
円や元など外貨で支払うとどうしてもその場換算で
端数がテキトーに処理されることが多いですからね。
いや、まぁそんな細かいこと言うなって話ですが…

また、日本でいうところの国会図書館のような
人民大学習堂の入場ゲートもいまはカードタッチ式。

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市民は入館登録をするとICカードが発行されて
それで入館や資料の貸し出しなどが受けられるそうです。
残念ながらそのカードは見ることができませんでしたが…

そのほか今回工事中で行けなかった
科学技術殿堂もカード式入館証が採用されてるそう。
おもに学生たちがそれを使って利用するとのことです。

ううむ。思いがけずいろいろ発達してるんですね。
アタマが20年前だと驚くことが多いです。

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