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「利己主義的まちづくり」が実るとき

【利己主義】自己の利益を重視し、他者の利益を軽視、無視する考え方。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E5%B7%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

ってことなんですけどね。のっけからタイトル矛盾気味。


商工会議所青年部の副会長を昨年度より拝命しています。なぜ、私のような者がそんな重責を担っているのか。社歴も浅く、地域を背負う企業でもないのに。

それは単純な話で、人手不足に他ならず。つまり、

気がついたら自分より年齢の若い部員さんに囲まれていた。

と、自分の年齢を自覚せざるを得ない日々なわけです。
いつまでも若者のつもりでいました。無念。


さて、そんな青年部の若い委員長さんから相談され、飯田市立動物園さんの夜間動物園「ナイトズー」にあわせて「縁日や屋台っぽいことをやりたい」というのです。

「ナイトズー」といえば、このコロナ禍でも数少ない地域のイベントのひとつで、地域の子ども達にとっては貴重な楽しみになっているのだとか。

そのイベントに合わせて、動物園の片隅で青年部として「縁日や屋台出店をやりたい」というのです。


今年の青年部はワクチン摂取後の秋口にコロナ鎮静化を期待し、会長発議の大きなイベントを控えている中で「唐突な話だなぁ」と思っていましたら、

「ほかの事業研修委員にも合意を得ている」

「動物園には内諾いただいている」

とかなりの用意周到ぶり。


こうなると否定する理由もないのは、会長やもうひとりの副会長も同様で、この熱意に押されて青年部として実施することになりました。


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ということで先日、事業研修委員会の役員が集まって内容を詰めていたわけですが、

なるほど、そういうことでしたか。



若い青年部員さんたちは、みんな「小さなお子さんをもつ親御さん」なのですね。昨年からのコロナ禍によって、お祭りやイベントの類が相次いで中止や縮小され、

子ども達はそれらの体験もないまま時だけが過ぎて行っていると・・・。


それは何も青年部員のご家庭だけでなく、地域全体の小さなお子さんがいらっしゃる家庭は皆一緒で、子どもたちの1年は大人のそれとは違うわけでして、彼らの親心としてはこの「掛け替えのない時間の思い出」を作ってやりたいな、と、そういうことなんですね・・・。


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話は飛びますが、地方に移住し20年。地域の「組合」などにも入れていただき、経済団体にも参加し、大小さまざまな地域貢献活動をおこなってきたつもりです。

これには当然、受け入れてくださった地域への恩返しの気持ちが大きいのですが、学生時代に社会地理学(コミュニティ研究)に出会って以来、在野研究者にも憧れながら生きてきたことも動機の一つと吐露します。

ちなみに「株式会社週休いつか」も浅学非才の身ながらコミュニティ論に頼って10年近く、応用問題を青色吐息で解きながらなんとかやれてこれた感じです。

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そんな愛してやまないコミュニティ研究で、こと地域貢献活動というもののあり様には、学生時代から思うところがありました。どういうことかというと、「内発性と乖離した利他はつらい」というもの。

ここでいう内発性とは「心の底からやりたいという主体的な動き」です。


つまり、「やりたくない町内会活動はそれが地域に貢献している活動だと分かっているえけど、正直なところつらい」という事例の多いこと。それを内心思っている人の多いこと。

こりゃ、国民がみんな鬱っぽくなっちゃうわけです。(そこまでじゃない 笑)


かつて、地方から出て都会に行っちゃう若者が多かったのも、経済的に理由に加えてこれを要因とする方も少なくないとも聞きます。そう、「都会のほうが(人間関係、近所付き合いが)気楽でいいよね」なのです。


実は私が住う地方都市でも町内会加入率がいよいよレッドゾーン。かつて自身の住む都市(わたしは名古屋市出身)がそうであったように、論文で語られてきた都市部に顕著だった希薄な人間関係が、いよいよ地方でも話題にあがる様になってきました。

でも、これ言い換えれば「やりたくないことはやりたくない」という時代到来。


私は「内発性」原理主義論者なので(なんじゃそりゃ)、この時代の風潮にはいくらか賛同するのですが、やってることはそうではないのでパラドックスですね。

実は冒頭に述べた、「青年部が人手不足」であったりするのも、本質的にはこのあたりに課題があるように思えます。


同調圧力であったり、共同幻想から覚めてしまった方々には、疑いなくひとつの価値観に沿って動く共同体や組織というものは、窮屈以外の何者でもないわけです。これは多様な価値観が認められつつある時代としては、当然といえば当然のながれに見えなくもない。


蓋し、どちらが正しくどちらが間違いではない問題ですらから、これが案外やっかいでして、ともすれば価値観の相違で軋轢が生じかねないわけです。実際そんな現場ありますね。


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さて、そういう構造の中で、若き青年部員達が描いたものは、ともすれば、利己主義的なもの。

あえて書くなら、「自分たちの」子どもたちの二度とはない、掛け替えのない時間が空白となってしまうのを回避せんとする強い意志です。


ただし、青年部員以外の地域のご家庭が同じ想いでいらっしゃることは自明の事実ですから、そう考えると・・・

あら不思議、これぞ功利主義の鏡にも見えてきます。


すなわち、これを利己主義とは呼ばない。

・・・これ以上は禅問答みたいになるのは分かっているからここらで止めておきます。

でも、やっぱり「利己主義的まちづくり」って可能性ありそう。



さて、こんな戯言に興味ある方は「株式会社週休いつか」にお誘い致します。ついでに、飯田商工会議所青年部も仲間募集していますから、ぜひ繋がってください。

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