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普通のそばがいい、普通のそばでいい

手早く安く、普通のそばを普通に食べたい。
それも普通の冷たいせいろ。
蒸し麺を使う立ち食いそばのお店のそばはせいろにすると食べづらく、かけがおいしい。
そばそのものの味や食感じゃなく、汁の味わい、風味で食べる。だから風味や食感に欠ける蒸しそばでもおいしく食べることができるわけだけど、せいろはどこで食べればいいのか…。
答えのひとつが「さがたに」なんじゃないかと思う。

「嵯峨谷」って漢字店名のお店がかつてたくさんあって、けれど営業不振でかなり閉店。
運営会社を変えて仕切り直しでできたお店が「ひらがな」さがたに。
新宿西口の京王モールの中にあり、ここがかなりのオキニイリ。

券売機で食券買って先払い。番号呼ばれて取りに行くというセルフサービス。ほとんどのカウンターが椅子付きで居心地もよく悪くない。席ごとに調味料が揃えられているのもうれしい、よきお店。

せいろをたのんで海苔を追加。
お金を払ってまず席につき、しばらく待って番号呼ばれて取りに行く。
カウンターの上には陶器の壺が置かれて、中にはわかめがどっさり。
自由にとって食べられる。

せいろにわかめ、刻み海苔。
麺は平打ち。淡く緑がかって水をまとってツヤツヤしてる。
箸でたぐってタレにトプッ。
ズルンとすすると唇なでて中へとなだれ込む。甘めのタレが一緒に口へとやってきて蕎麦の香りが鼻から抜ける。
歯ごたえのあるそばで噛めば噛むほど香りが湧き立ち、口の中でゆっくり砕けてねっとり粘る。そしてスルンとお腹の中へすべりこむ。
タレとそばとのバランスがとってもよくって味わい上等。悪くない。

茹でたわかめがザクザク歯切れる。タレがたっぷりついているから、思う存分、わかめもタレにからめて食べる。わかめの風味やうま味が口をよろこばせ、そこに再びそばをたぐってもぐもぐツルン。

七味に食べるラー油にごま油、塩に四川ラー油と調味料が豊富で独特。どれもタレやそばの味を一変させる。
海苔が入ってた小さな器にそばを盛り付けタレをかけ、わかめや海苔を飾ってそこに四川ラー油を注いでやれば基本のタレの味は変わらず味変だけをたのしめる。

ヒリヒリするような辛さに痺れ、胡麻の香りが風味よく普通のそばと味変そばを代わる代わる味わいたのしむ。そば湯でタレを割って飲み、お腹あっため満たされる。


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