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魚しかない居酒屋、寿司屋で居酒屋。「鮨のだり半」

こういう居酒屋の作り方があるんだ…、と感心した店。
同時に、こういう寿司屋もいいんじゃないか…、と感心した店でもあった。

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「鮨のだり半」というちょうど一ヶ月ほど前に開業したばかりの店で代々木と新宿のちょうど間に再開発で出来たオフィスビルの一階部分。
代々木駅前に同じ名前の店があり、その二号店。
事前に予約をしていたわけでなく、大丈夫ですか?と聞くとカウンターの席ならあいているという。

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10席ほどの程よい長さ。目の前にはショーケース、中には新鮮なネタが並んでいかにも寿司屋。入り口脇には小さいながらいけすがあって、魚の仕入れには自信があるという。
カウンターに座って後ろを見ると、そこはいかにも居酒屋の風情。働いている人は若くて元気で、けれど元気すぎないほどよさがいい。

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飲み物を注文するとまずはお通し。
マグロと大根、つみれを甘辛く炊いた煮物で大根に味がしっかり染み込んでいてしみじみおいしい。
生の牡蠣を二貫づつ。塩の旨味と海の栄養。もみじおろしの辛味がピリリ。お腹をポカっと温める。

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魚介類をテーマにしたがって盛り合わせた料理が多数。例えば今日のおすすめがポン酢盛り。白子にあん肝とポン酢で食べるとおいしい冬の海の幸。こんなの食べたら痛風になっちゃうよ…、って言いはしたけどならばと勧められてしまった「魚卵盛り」。軽く炙った明太子、数の子、イクラとこれも怖くはあったけど好物ばかりで食べちゃった(笑)。

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ヤリイカの柔らか煮っていうのがあって、たのんでみたらばイカ大根。クチュっと歯切れる大根にイカの旨味が混じっておいしい。そのヤリイカはやわらかでウットリします。オキニイリ。

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今日の貝盛りは贅沢ですよ…、と。
造ってもらったそれはアワビにつぶ貝、アオヤギ、タイラガイ。
アワビの紐は醤油漬けにしてひと揃え。
コリコリ、カリカリ、スベスベ、ムチュンと歯ごたえさまざま。冬の海の力強さを実感できる。
キンキの煮付けも上出来でした。

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メニューの隅から隅を見つめるも、魚の料理以外はない。
唯一、アボカドとエビのサラダっていうのが魚料理じゃなさを発散しているけれど、それもエビの料理と思えば魚の料理。しかも調理法が煮物、焼き物、生のままと揚げ物がない。鶏の唐揚げなんてあったらこういう店では売れるだろうに、仕入れや取り扱いを熟知しているものだけでお客様に喜んでいただこうって心意気を感じてなんだかいいなと思った。
コンセプト的に言えば、「魚」という食材縛りがわかりやすくてしかもコンセプトと店作り、メニュー構成に一貫性があって好きな人にはたまらぬお店。
あれもこれもと欲張ってなく、嫌いな人は申し訳ない…、別のお店を探してくださいという割り切りもよい。

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それにしても脂ののったキンキのなんとも美味しいこと。皮はねっとり、ヒレの周りのゼラチン分やほっぺの肉。背骨をくわえてチュブチュブ味わい、お皿の中は骨と一部の皮ばかり。添えられていたごぼうも味がしっかり染み込みおいしいこと。

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にぎりのメニューも充実してます。鮨の盛り合わせも6種類ほど用意されてて、寿司屋使いも十分できる。好みを選んで盛り合わせ。

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マグロの中トロ、ブリに〆鯖、炙った穴子。鉄火巻を一本もらってひと揃え。シャリは小ぶりで見事に寿司屋の寿司であります。きっぱりとしたシャリも上等。いい店だなぁ…、いろんな使い勝手を想像できる。またまいりましょう…、オキニイリ。


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