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ステーキは芋のおかず…、なんだろうね

新宿でビストロ風のステックフリッツを食べようとブルックリンパーラーに来る。

新宿でビストロ料理を食べようと思うと難儀する。
しかも大箱で気軽な雰囲気でとなると選択肢はほぼここ一択。
ブックカフェのような体裁で、なのにDJブースが設えられていてここだけちょっと渋谷みたいな感じがするのがオモシロイ。
実は先日、新宿三丁目界隈で一番東京らしいお店ってどこだろう…、って話を知り合いとしていてそこで出てきたお店がここ。考えてみれば決して「新宿的」ではなくてむしろ「渋谷」な感じがするのが今の東京で東京的っていうことなのかもしれないなぁってちょっと不思議を感じたりする。オモシロイ。

サラダ、オーブンで軽く焼いたバゲットとアイスティーがやってきてしばらくお待ち下さいという間もなくおいかけステーキが到着します。

リブアイロール。
300g。
しかも脂をキレイにとって、筋もしっかり抜けている。
フライパンで焼いたのでしょう…、自分の脂でつやつやしている。
ほどよく厚みがあるのがうれしいところ。
ナイフをあてて軽く力を入れるとスパッと切れる。その感触にお腹がなります。
そういえば、注文をしたとき「焼き加減は?」と聞かなかった。もし聞かれても多分「おいしいようにおまかせします」って言っただろうなぁと思いつつ、その断面を見るとキレイなロゼ色で、ミディアムレアといったところでしょうか。
芯の部分まで熱はしっかり入ってて、にもかかわらず食感なめらか。ネットリ、奥歯にからみつくような食感にウットリします。

しかも表面はかなりしっかり焼けている。脂と肉がまじりあった端の部分も焼ききれている。だから脂もさっくりしていて噛むとジュワッとおいしい脂がにじんでくる。あらかじめ施されている塩の加減も絶妙で、脂の甘みを引き立てる。
それにしてもすべてがたっぷり。
粒マスタードに酸っぱいピクルス。
フレンチフライはサクサク揚がってそれもたっぷり。肉を上にのせて出すから、ところどころに肉の脂がうつってしんなりしている。それがまたおいしくてニコニコしちゃう。

そういえば「ステックフリッツ」…、つまりステーキとじゃがいもフライという名前の料理です。
ステーキと芋が対等の力関係で拮抗しているからこそのネーミング。
どうしても日本ではステーキが主役でじゃがいも料理は付け合せ。つまりサイド料理のような扱い。
けれどステックフリッツにおいては、ステーキが主役のように見えながら、実は主役はフレンチフライ。カリサクジュワッと壊れて崩れてとろけるおいしさ。ステーキすらも細く切られて芯まで揚がったじゃがいものトッピングのように思えたりする。

あるいはこんな見方もできる。
フリッツは主食で日本におけるご飯と一緒。
ならばステックフリッツはステーキ丼と同じ食べ物。ステーキをおかずに芋という主食を食べる料理なのかもしれないなぁ…、と。
ステーキ丼のご飯が不味い店は絶対流行らない。
ステックフリッツでフレンチフライがまずい店も同じように流行らないに違いなく、その点、この店のフレンチフライは芋も揚げ方も、塩の施し方においても一流で、だからステーキを安心しながら食べられる。

ところでグルメ系のハンバーガーのサイドにもたっぷりフレンチフライ。
ステーキから派生したものがハンバーガーだとするならば、あのフレンチフライは主食で、ハンバーガーがおかずの役割をしてるんだろうか?
そうだとしたらバンズの立場はどうなるのか…。
手づかみで食べるための道具の代わりなんだろうか。
肉汁をこぼさぬようにとパテと一体化したものと思うのが相当なのか。
あるいは、かつ丼とうどんのセットのように、炭水化物同士を組み合わせ少量のおかずを味わう工夫の料理なんだろうか…。
眠れなくなる…、腹も減る。

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