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秋の入り口に秋を感じて独り言

今日は手短、全体公開。

タナカくんが逝ったとき。
ボクの人生は冬に突入したと思った。

5月のはじめ。
荼毘にふしたその日はまるで初夏のような晴天で、なのに気持ちはまるで冬。
一年を終わる準備をしなくちゃいけない…、って思ったほど。
それから2年ほどの間は、気持ちはずっと冬だった。
ふたりで生きていたからたのしかったし、仕事とのやりがいも感じていたのに、一番よろこんで欲しい人がいなくなってしまった世界は単色世界。
やる気もあんまりでなかった。

でも最近ネ…。

やる気がでてきた。
さみしさをふっきったわけじゃなくて、今でも毎日さみしい。
でもボクを必要としている人がたくさんいて、その人たちのためにまだまだできることがたくさんあるって思えるようになってきた。
すると仕事がたのしくなる。
やる気になれば案外今でもやれるもんだ…、って自分で自分を褒められるようにもなってきた。

まだ秋だ。
収穫の秋。
燃えるような紅葉の秋。

暑すぎるでなく寒いでもなく。
ときおり冷たい風が吹くといつかやってくるであろう冬の準備をしなくちゃいけないと思うものの、強い日差しの午後には夏を思い出して力がみなぎる感じにもなる。

いい季節です。

タナカくんと一緒にいるときのボクが好きだったなぁ。
ひとりの自分がしばらくずっと好きじゃなかった。
でも、彼と一緒だったときの自分を思い出しながら、ボクが好きだった頃のボクにちょっとで近づけばいい…、って思って元気にすることにする。

タナカくんが残した多くの漫画の原画やデッサンが手元に山積み。
整理しようと思うんだけど、今までまるで手付かずでいた。
見るといろんな思い出が溢れ出して溺れそうになっちゃうから…。
ひさしぶりに原画をみながらタナカくんが言ってたことを思い出した。

ボクはね…、男同士の「東京ラブストーリー」みたいな漫画が描きたいの。
でもゲイ雑誌の編集はエロがないと売れないっていう。
ウェブマガジンみたいな形で描いてみようかとも思ったけれど、ゲイ漫画ってサブカル中のサブカルって思われてるでしょう。
だからなんでもありのネットの世界で発信するのは、それを認めるような感じがするからボクは嫌。
紙に移して製本し、本というものに秘めやかなコンテンツを閉じ込める。
一枚、一枚、ページをめくって秘密をつまびらかにしていくようなものでなくちゃいけないんだって思うんだよね…、って。

それはとても頑なで、自費出版でもいいから本を出そうかなんて言っていたけど気持ちはどんどん漫画の世界から離れていった。
最後に見つけたのが浮世絵的な世界。
うれしそうに描いていたのが晩年1年。
100枚描くんだってがんばってたけど夢は果たせず。
それでもやりたことが見つかって逝けたということをよしにしようと思うことにする。

来月あたりからちょっとづつ、原画の整理をしていこう。
来年は追悼個展を開ければ…、って思ったりもする。
道なかば。

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