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町と生きる店、扉の向こうに見える景色

家の近所の「鈴新」で昼。地域愛にあふれる小さなとんかつ店。

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数年前まで厨房の中で腕をふるっていたご主人は、息子さんにその座を譲ってカウンターの外でサービスに専念されてる。
換気をよく…、というコトでしょう。今日は出入り口の横で扉の開き具合を加減しながら表をみてる。お客様が近づいてくるとサッと入り口を開けてくれ、まるで「人動力の自動ドア」のよう。

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今日みたいな日に営業するのは気がひける。けれど毎週土曜日はラードを仕込む日。昼だけ営業をやらせてもらっているんですよ…、と気さくな奥さんが申し訳無さそうにいう。店を開けるのに言い訳しなくちゃいけないなんて、今の状況はなやましい。
カウンターだけのお店。一席おきにゆったり座って料理を待ちます。かつ丼がおいしいので人気の店で、しかもカツを出汁で煮込んで卵でとじる普通のかつ丼の他に、ソースかつ丼やかけかつ丼なんて変わりかつ丼もあっておそらく一番人気は「かけかつ丼」。それにする。

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サクサクに揚げたとんかつをご飯にのせる。
上に卵でとじた出汁、玉ねぎをザザッとかけて仕上げる料理。
律儀に蓋してやってくるのがこれぞかつ丼っていう感じ。

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蓋をあけると香ばしいカツの香りに混じって出汁の香りがただよってくる。
煮込んでなくて卵とじをかけただけだから、揚がったばかりのザクザクとしたパン粉の食感がそのまま残る。

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時間がたつとパン粉が出汁を吸い込んでちょっとしっとりしてくるけれど、それでも前歯をくすぐる感じは持続する。肉はちょっと薄めで、それが出汁とじ卵とよくからむ。玉ねぎはシャキシャキとした状態で卵はぽってり。

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どちらもカツの噛みごたえとか歯ざわりを引き立ておいしくしてくれる。ちなみにご飯はちょっと少なめでお願いしました。

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友人はメンチカツとアジフライの盛り合わせ。ふっくらとしてナツメグの香りがおいしいメンチカツ。アジは分厚く大ぶりで薄付きパン粉が口にちらかりしっとりとした魚独特の崩れる食感を引き立てる。
かつ丼のご飯を少なめでお願いしたから、とじた卵の煮汁がご飯にまんべんなく行き渡って若干ザブザブ。つゆだくになる。それにひきかえカツの衣はずっとカサカサ、乾いた状態を保ってくれる。とんかつをおかずにしながら玉子丼を食べてるみたいな感じがするのがオモシロイ。

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豚の脂が表面に膜をはってずっと熱々のとん汁に、千切りキャベツにきゅうりに大根と浅漬3種。デザート代わりにミルク寒天がついてくるのもありがたく、昼のお腹がたのしく満ちる。オゴチソウ。


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