少年の詩

創業者である父を支える立場で頑張っていた会社がどんどん駄目になっていく。ここままだった絶対に潰れてしまうに違いなく、それで父と戦ったのだけどいつも負けちゃう。父と戦うということは古い体質の外食産業や古い価値観の経営者たちと戦うということであって、それはそれは大変な戦い。
負けても負けても次の戦いに向かっていかないと会社どころかボクの人生も台無しになっちゃうわけで戦う気持ちを鼓舞しなくちゃいけない。でもしきれないかなぁ…、と思ったときにタナカくんをカラオケに誘ってこれを歌ってもらってた。
元気が出るんだ…、彼の歌はなにかに向かって驀進していくようなエネルギーがあって元気が出た。

♪ ただこのままじゃいけないってことに気づいただけさ。そしてナイフをもって立ってた ♪…、って下りで思いっきりうなずいていた。
♪ 少年の声は風に消されても間違ってない ♪というところも好きだったなぁ…。そして最後に「いろんなことが思い通りになったらいいのになぁ」って歌い終えると大声で「がんばれ!」って言ってくれるからボクも「がんばる!」って叫んでいつも手を強く握り合ってた。
結局、ボクの持ってたナイフじゃ何も壊せなくって、会社は潰れた。それからしばらくは歌いきにもなれなくって、この歌のことも忘れていたけどいろんな縁とちょっとした運で別の仕事が再開したとき、彼がひさしぶりにカラオケに行こうっていって、一曲目にこれを歌ってくれたとき、あぁ、この人がいてくれてよかったなぁ…、って思った。そんな歌です。今でも聞くと泣けてくる。

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