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まもなく100年。昔ながらのあたらしい味

長い間、王ろじに来てないなぁ…、と思って王ろじ。

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創業大正10年。1921年のコト。
路地の王様になろうと努力を重ねて100年間。たまたま選んだ路地が伊勢丹という東京にもいくつしかない巨大な重力をもった集客装置の近くの路地だった。

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諸説あるけれど、日本のとんかつの発祥の地ともされる店でもあって、そう思うと看板に書かれた「昔ながらのあたらしい味」というキャッチフレーズも重さを感じる。

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ただ一瞬、あたらしいと言われる何かを考えることは簡単だけど、「あり続ける」ことは大変。いろんな運もあったに違いなく、けれど運にあぐらをかかず一生懸命、いつも同じをくりかえしたからこその100年。
頭が下がる、オキニイリ。
そして、ボクにとって新宿にしかない味のひとつがこの店のとん丼、それからとん汁。今日もそれを味わいにきた。

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一階部分は一杯で「地下へどうぞ」とはじめて地下の客席もらう。
テーブルが4つほど置かれた小さな空間で、当然窓が無くて狭くはあるけれど、油の匂いが驚くほどにしないことに感心します。

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お茶と王ろじ漬けがくる。大根を薄切りにして麹でつけたものなんだけど、これがおいしくオキニイリ。大根の他にニンジンとピーマンが入っているのが特徴で、ピーマンの香りが麹漬けを洋風のマリネのようにしてくれる。これも「昔ながらのあたらしい味」なんだろうなと思って食べる。

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15分ほど待ちましたか。途中、王ろじ漬けを調子にのっておかわりし、料理が到着。今日のとん丼、とん汁もいつもの顔です。食べる前から頭が味わうオゴチソウ。

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ボウル状の器の中にご飯、とんかつ、カレーソースをかけて仕上げる。
カツカレー的ではあるのだけれど、カレーソースは最小限。
ご飯を覆いとんかつを彩る程度の分量で、だから足りない味はとんかつソースをかけて味わうことになる。
カレーはすっきりスパイシー。
とんかつソースはフルーティーなうえ、酸味がしっかりしていてそれがカレーの辛さや風味をくっきりさせて引き立てる。

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カツは包丁で丹念に筋をとって丸めて筒状にしてから揚げてる。
衣はざっくり、パン粉は細やか。スプーンでザクザク崩しながらカレーソースやご飯と一緒に口に運んで味わっていく。
こんな不思議なとんかつは無く、こんなに不思議なカレーもどこにもないし、こんなカツカレーだってここ独特。食べ続けると忘れられなくなるオリジナル。

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とん汁も変わってる。注文を受けてから一杯一杯仕上げてくれる。しかも最初にベーコンや玉ねぎ、椎茸を油で炒める。そこに汁を注いで豆腐と一緒にひと煮立て。炒め油の香りがおいしくベーコンの歯ざわり、風味がとても独特。

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不思議な味のとん丼にピッタリ相性がいいのもステキ。とんかつに芥子をたっぷりのっけてハフハフザクザク食べて腹いっぱい。

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ところでここのとん丼の器。下皿の上にボウルが乗っているように見えるけれども、実は下皿とボウルはくっつきあって一つの器をなしている。だからボウル部分を持ち上げると、お皿が一緒に付いてきているびっくり写真が撮れたりもする「昔ながらのあたらしさ」。堪能しました、オキニイリ。


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