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いろんなことがここから始まったんだよネ。

ひさしぶりの「アジオ」。

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30年近く前のこと。この店ができたとこには業界が騒然としたものでした。
まだ珍しかったオープンキッチンレストラン。
そのキッチンの一番目立つ場所に置かれたピザ窯も当時ではあまりなかった薪窯で、アメリカ風ではないイタリアのピザというのも珍しかった。
ピザはピザ専門店で食べるもので、前菜からパスタ、メインとフルメニューが揃うレストランで食べられるものではなかったときに、本格的なピザも食べることができるレストランができたというので、大繁盛。

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この店を真似るお店が続出して、日本ならではのピザレストランがあたかも大衆イタリアンレストランの基本のようになっちゃった。そう考えるといろんなものを変えたお店がこのお店。

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スープ代わりに冷たいコンソメジュレからスタート。ジュレの真ん中に島のように置かれているのがそら豆のパンナコッタ。ふっくらとしてなめらかで、コンソメのうま味、酸味に軽い甘みをそえてくれるのがしみじみおいしい。上に置かれた茹でたそら豆がホロリと崩れる感じもゴチソウ。

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ディナースプーンで食べて終わってカトラリーケースを見たらスープスプーンが入っていました。どちらにしてもこの深くて前歯にあたるようなスープスプーンの形は嫌いで、ディナースプーンがあってよかった…、っていう感じ(笑)。

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ここが開業した当時からずっとメニューにあるにんにくと赤唐辛子のタリアテッレと続けます。当時は生パスタというのがそもそも珍しく、しかも具材をほとんど使わぬパスタに1000円近い値段がついているのに青年、びっくりしたものでありました。
四角い角張ったパスタがザクザク歯切れる感じが独特。
昔はスライスしたにんにくとオリーブオイルを炊きながら乳化させつつ仕上げていたのが、いつからかガーリックチップにあらかじめ乳化させたソースで仕上げるようになった。
チェーン化というのはこういう工夫からはじまるんだ…、と思ったものです。

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メインは薄切り牛肉のステーキのサラダ添え。
タリアータ風の牛肉料理で、見た目はサラダ。グラナパダーノチーズをたっぷり削って作るシーザーサラダが名物の店。ロメインレタスの代わりにハーブ野菜。トマトをあしらい上にたっぷりグラナパダーノ。

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サラダをどかすとミディアムレアに仕上がったステーキが顔を覗かすという趣向。葉っぱ野菜がバルサミコでドレスされているから肉の味よりサラダを食べてる…、って感じが強い。

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こういう料理は嫌いじゃない。自分でも家で作ったりするけれど、ここのは牛肉が上等すぎて食べてるうちに味が濃くってくどくなってくのがちょっと残念。
さぬきに「むつごい」という方言があって、味が濃くって脂っこくて食べてるうちに胸が重たくなってくるようなことを表現するのだけれど、まさにむつごい味でした。

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それで食後の口とお腹をすっきりさせようとエスプレッソをもらうことにした。デミタスカップにほんの少量。砂糖をいれてぐるぐるかき混ぜ、混ぜてくうちにトロトロになる。オモシロイことに砂糖を入れると酸味や苦味がくっきりとした輪郭をもちお腹がスッキリしてくるのです。

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カップの底に残った砂糖をスプーンですくうととても優秀なデザートにもなる。大人な感じの晩ご飯。


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