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焼き鳥にビール、泡で喉を洗って釜飯

タナカくんは鶏肉が大好きだった。
濃厚な脂のコクや皮の味わい。特に筋肉質な鶏のもも肉が大好物でスーパーに行くとまず真っ先に鶏肉を見に行っていた。
器用に料理を作ってたのしんでいたようなんだけど、残念ながらボクは鶏の脂や皮が苦手で好きな部位は胸、ササミ。鶏好きさんが愛でるクセの強い地鶏や希少部位なんてものはありがた迷惑。
だから焼き鳥屋さんにはあんまりいかなかった。
ただ好きな店は何軒かあって、銀座の「鳥ぎん本店」がその一軒。

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新鮮な鶏肉を備長炭でただただ焼き上げる、威張らぬお店で鶏が苦手なボクにもやさしいところが好きで、銀座で焼き鳥ってときにはここを選んでた。
ただ彼が鶏肉嫌いのボクを気遣って、来たいとあまり言わなかったから10回もは来てないかなぁ…、彼のやさしさに甘えていたのをちょっと反省。お詫びのつもりでビールをたのむ。

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串が5本のライトコースをたれ焼きで。ぎんなん串を一本添えて鳥釜めしになめこ汁、上新香をつけひと揃え。ビールと新香がまずやってきて、さっぱりとしたぬか漬けを肴にビールをグビリと煽る。

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タレが焼かれて焦げるおいしい香りをあてにたのしむビールの旨いこと!
ぺっとりとした鶏の脂がビールの泡でシュワリと洗い流されて、苦味と渋みがタレの甘みをスッキリさせる。ふたりできたあのときのタナカくんの口の中はこんな風になってたんだなぁ…、って思ってちょっと泣いちゃった。
焼き鳥はどれも皮を剥ぎ落としてから串にさし、備長炭で焼き上げる。肉にクセはなく食べやすいうえ、焼き加減がいいのですね…、ふわっととてもみずみずしい。

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ぎんなんはタナカくんの好物だから追加した。
スベスベしていて軽い渋みがビールをおいしくしてくれる。
ところでレバーは痛風に毒。
ビールも痛風持ちには危険な飲み物。
だから今日のレバーとビールの組み合わせは、命がけの供養食(笑)。
表面がカリッと焦げて、けれど芯の部分はまだみずみずしさを感じさせる色っぽさ。断面のグラデーションが目のゴチソウ。
パクっとやれば口の中でとろける食感。
軽い渋みとレバー独特の香りに焦げたタレが混じって惚れ惚れおいしい。レバーまみれでもったりとした口にビールを注いで飲めば、この上もないほど旨くてウットリ。のんびりゆっくり串焼き味わい、いい気分になったところで釜飯到着。鶏釜飯を選びます。

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羽釜の木蓋をあけると大量の湯気がポワン。表面にはびっしり鶏のそぼろがのっかりグリーンピースが彩り添える。ザックリかき混ぜお皿によそおう。
ホツホツとした硬めの炊き加減がボクら好みで、こりゃおいしいネ…、ってふたりで分け合い食べていた。

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上に串から外した焼き鳥を乗っけてちょっとタレかけて、銀杏装い焼き鳥丼みたいに仕立てて食べるのがオキニイリの食べ方で、今日もそうする。

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底のところに出来たおこげがまたおいしい。バリバリの歯に貼り付くようなおこげじゃなくて、しっとりしていてカラメル状になった醤油や出汁がおいしい上等おこげ。なめこ汁に漬物をお供にハフハフ。おいしかったネ…、また来よう。


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