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なめらかな麺にふくよかな汁。神田一福

おいしいうどんを食べたいなぁ…、と思って神田の「一福」に来る。

かつてオキニイリだったうちの近所のうどん屋さんは営業状態が安定しなくなり、いささか残念。
中野の大門さんはいつも行列。
手軽で気軽でおいしいお店といえば「一福」になっちゃうかなぁ…。
丸ノ内線で8駅分の小さな旅で、讃岐に行った気持ちになれるありがたさ。。
お店入り口に券売機。大きなテーブルに椅子がズラリと並んだ奥に大きな厨房。今どき珍しいほどたくさんの人が働いていて、とてもにぎやか。
ここではいつも肉うどんのあったかいのに赤天つける。今日もそれ。
ボクの目の前では若いカップルが肩をくっつけ仲良くうどんを食べてらっしゃる。啜ることなく器を手にすることもなく。田舎杓子にうどんを乗せたたぐりよせたり汁を飲んだり。まるでおいしそうに見えないのね。

うどんなんてずるっと啜って器に口つけゴクゴク汁を飲んでこそ…、って思ったりする。もったいない。

さてボクの肉うどん。

透き通った汁にうどんに肉にネギ。
エビのすり身と魚のすり身、豆腐を混ぜて揚げた練り物。

本当は「えび天」っていうんだけど東京でえび天といえば海老の天ぷら。
それで赤天って呼んでるんでしょう。
郷に入っては郷に従え…、それもよし。
器を手にしてずるっとひと口。ほんのちょっとだけ水っぽさを感じます。茹で上げうどんがまとったお湯を感じる。それもひと口目だけのことで、ふた口目からは汁の旨みにウットリとなる。

ゴリゴリじゃない。
歯ごたえよりも喉越しのなめらかさこそが讃岐のうどんのよきところ。

麺もおいしいけれど、それが口へとたぐりよせてくる汁のおいしさがうどんの命。硬い麺よりなめらかでちょっとやわい方が汁をおいしく感じる。ここのうどんはそういううどん。
甘辛に煮込まれた牛肉はホロホロほぐれて甘い脂を汁に移して散らかっていく。

赤天を汁に浸してあっためて、しっとりとして風味が強くなったところでムチュンと齧る。

殻ごと挽いたエビの味わい、ザラザラとした食感がなんともおいしい。

たっぷり入れた天かすが汁にとろけてポタージュみたいになっていくのもたのしくて、お腹も気持ちも満ちました。


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