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黒豚のおいしい食べ方は鹿児島の人に聞け

銀座でテキパキ。けれど上等なランチを食べようと銀座インズの「いちにぃさん」にやってくる。提供時間はクイックで、でも上等という店はランチにぴったり。ありがたい。

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旧江戸城の外堀を埋め立て作った高速道路の高架下。
前の東京オリンピックにさきがけてできた施設で60年以上の歴史を誇る。
インズって名前は銀座の中心的な存在になりたいからと「GINZA」の真ん中の3つの文字、「INZ」と名付けた。気が利いている。

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1・2・3と3つの建物に分かれてて、いちにぃさんは「1の地下」。かつて4軒の店が入っていたのだけれど半年ほど前から半分クローズ。なんともさみしゅうございます。
営業を続けているお店はどちらも同じ会社の経営で、ひとつはステーキ。いちにぃさんは黒豚料理。しゃぶしゃぶや蒸ししゃぶが人気の上等な店。鹿児島出身という本格派。

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サービスがいいのが定評の店でもあります。マニュアルでがんじがらめにするのでなく、主婦や人生経験豊富な女性の身についたもてなす力を活かしたサービス。だから臨機応変であたたかい。
ゆったりとした設えのカウンターで一席もらう。
かつては目の前で調理人が仕込みをしたり最終調理をおこなったりと、劇場的な場所だった。今、そういう臨場感は感染リスクにつながるから…、ということでしょう。誰も立っていなくて少々、さみしく感じる。

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九州醤油と関東醤油と2種類揃っているのがステキ。スイカの横に黒じょかずらり。今も焼酎をこれでお燗して楽しむ人がいるのかしら…、って思ったりする。

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黒豚のせいろ蒸しにしようかと思いもしたけど、今日の気持ちはここの蕎麦。
蒸し寿司、それからしゃぶかつサラダにとん汁という定食にする。
ここの蕎麦が好きなんですネ。
毎朝店舗で仕込んで手打ち。
バッサリとした歯切れ感に口にちらかる感じがおいしい。
表面ちょっとザラッとしていて、汁をたっぷり口の中へとたぐりよせてくれるのもいい。

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甘めの汁です。それも昆布の自然な甘み。
白醤油を使って仕上げているから出汁の風味や旨味を素直に感じることができるのもよし。たっぷりのネギ、柚子胡椒で風味を整え食べるとまるでここの豚しゃぶを食べてるみたいな感じにさえなる、オキニイリ。
陶器の竹筒みたいな形の器に入った蒸し寿司。すし酢は甘く中に混ぜた刻み干瓢も上にちらした錦糸卵もまさに九州の味。

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この定食が好きなのは料理の組み合わせが巧妙だから。そばが主役と思えば思え、しゃぶかつサラダが主役と思えば思えなくもない。

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しゃぶしゃぶ用の豚バラ肉を何枚も重ねて丸めて棒状にする。パン粉をつけて揚げているミルフィーユカツ的料理で、まずやわらかい。肉と肉の間に肉汁をたっぷり蓄えとてもジューシー。下味がしっかり入っているからそのまま食べてもおいしく、十分主役の存在感がありはするけど量は控えめ。千切りキャベツや野菜の方がボリュームあって、だからサラダと思えばサラダでもある。健康イメージにニッコリします。
生姜の風味と鹿児島の甘い麦味噌の味わいおいしいとん汁も好き。お腹がたのしくあったまる。


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