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たのしいとんかつ。カレーソースにスープが秀逸

シネコンのある新宿マルイアネックス。その向かい側に「牛カツ岡田」があったところに見慣れぬ看板。

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「とんかつ」と大きく書かれ下に小さく「虎ノ門ジーエス」と書いてある。
カツとカレーの店ジーエスというのが正式名称で、カツカレーの店じゃなく「カツとカレーの店」というのが売りだった。
そちらを閉店。新宿三丁目に移転ということ。
旬香亭というフレンチ洋食からはじまった会社が経営しているお店です。このグループはお店を移転させたり閉店したりするのがお家芸。今では目白に腰を落ち着けた旬香亭も場所が定まらない流浪の店って感じだった時期がある。
得意なのは揚げ物で赤坂見附にフリッツっていうとんかつとエビフライがおいしいお店があってオキニイリだったけど閉店しちゃった。

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新宿はかつて個性的なとんかつ専門店の宝庫だった。それがここ数年、閉店続きでさみしくなった。とんかつを食べたい人の市場はそのまま残っているわけだからチャンスは十分あるエリア。家賃も随分やすくなってきてオフィス街よりいいんじゃないか…、って思ったりする。どうだろう。
「ジーエスおとくなセット」をたのんでみました。

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上ロースカツにヒレカツ一枚、それに「ちょこっとカレーソース」がついてご飯と汁で1800円。お店の人は明るく仕事が確実。地下の店なのに空気がキレイで油の匂いがしないのもよい。

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実用的な丸いお皿に網をおき千切りキャベツにカツに芥子にレモンにパセリ。
仰々しくない姿がいいネ。
パン粉の揚がり方は程よくて肉の断面は汗をかいてつやつやしている。
きめ細やかで白っぽい肉。
さっくり歯切れて肉そのものの味はほどほど。
揚げる技術は見事なもので、肉を味わうというよりも「状態のよい揚げ物」を味わう趣向…、その分、ちょっと安めの値段設定でネって感じがする。
小さなソースポットに入ってやってくる「ちょこっとカレーソース」がおいしい。

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カレーじゃないんですね。カレーソース。ご飯にかけて食べるのもおいしいのだけどとんかつの香ばしくてサクサクした衣と一緒に食べてはじめて本領発揮する。酸味に辛み、ハーブ、スパイスの香りがとても鮮やかで揚げた衣をさっぱりさせる。

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神田に「ポンチ軒」って兄弟店がある。それはそれはおいしいとんかつを食べさせてくれるお店で、そこにも同じカレーがある。ポンチ軒の肉は上等。けれど肉の品質に溺れずあくまで「調理技術と粋な食べ方」を武器に差別化されている。その考えがこのお店にも生かされているって感じがします。ボクは好き。

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肉のおいしさを追求すると肉屋になっちゃう。おいしさばかりをアピールすると上限のない切ない世界に向かってく。
ほどよいところで「見切る」力。もう一度食べてみたいと思える値段。食べ手の工夫や想像力で「食べ手好み」を発見してもらう。そういう提案が多様化の時代にはいいんじゃないかとしみじみ思う。

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そうそう、なにより汁がおいしいのがいい。チョプスイって名前でいろんな野菜をクタクタになるまでコンソメで炊いた野菜スープ。ポトフのような味わいで得した感じがするのがうれしい。お勉強。


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