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皿うどんは太麺に限る

昼はひさしぶりに「吉宗」にした。

銀座8丁目のお店にはよくいった。ビルの都合で閉店になり、今の場所に移転再開したのが2021年11月。
タナカくんが逝った1年以上も後のこと。
再開して一週間ほどして来たときは「来たかったろうなぁ」って思って泣いちゃった。

タナカくんと知り合う前のボクにとっての皿うどんに対する認識と、出会ってからの皿うどんはまるで違ったものになった。
皿うどんというのはパリパリの細麺に野菜あんかけのかかったものと思っていたけど、ちゃんぽん麺を使った太くてやわらかい麺の皿うどんもあるんだよ…、って教えてくれたのはタナカくん。
教えてくれた店は以前の吉宗で、それまでも何度も来てたけど太麺の皿うどんをはじめて食べておいしくってビックリした。
それからふたりで太麺の皿うどんを売ってる店があると聞けば、訪ねて一緒に食べていた。
なつかしいなぁ…、太麺皿うどんは思い出の味。それで今日も茶碗蒸しと太麺皿うどんのハーフサイズを選んでたのむ。

テーブルの上に金蝶ソース。
皿うどんにはお酢じゃなくってウスターソースをかけるもの。
長崎のチョーコー醤油が作ってる金蝶ソースがいいんだよ…、って教えてくれた。
今日も金蝶ソースがここにある。

さてまず太麺皿うどん。

麺の上にあんかけたっぷり。もやしに白菜、長ネギ、かまぼこ、さつま揚げ。豚のミンチにキクラゲにエビ。

蒸して焼かれた麺はところどころが焦げていて濃厚スープのあんかけがからまりなんとも肉感的な味わい、食感。
具材の食感が多彩でたのしい。野菜はシャキシャキ、練り物類はむっちりしていてキクラゲがコリコリクニュクニュ奥歯を撫でるようにして消えていくのがたのしくってネ。
きのこは嫌いだったけどキクラゲは好きで、木須肉が好きだったほど。食べてるうちに餡がゆっくりほどけていってちゃんぽん麺のようになっていくのも得した感じ。

茶碗蒸しも好きだった。

丼と呼んでもいいほどに大きな茶碗。蓋をあけるとフルンと揺れる。その表面に傷も泡もひとつなくなめらかにしてうつくしい。
具材たっぷり。

鶏のもも肉、筍、白身魚に焼いた穴子、お麩に蒲鉾、椎茸煮、銀杏、キクラゲと味わい、食感さまざまでなによりスープがおいしいの。
これ以上スープを加えると卵が固まらなくなっちゃうんじゃないかしら…、って思うくらいにやわらか、なめらか。れんげですくって舌に乗せるとあっという間にスープに戻る。

ただのスープと違ってずっと熱々の状態が続くところが独特で、そう言えばいつもタナカくんが苦手だったしいたけと鶏もも肉を交換してたって思いだしたら胸が熱くなりました。


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