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どのうどんにも似てないうどん

西新宿の7丁目。超高層ビル街の間近にあって路地が入り組む昔ながらののんびりとしたのどかな町並み。
個性的な小規模飲食店が集まるエリアでもあって、夜は近所の仕事終わりの人たちで賑わっている。
来てみたかったお店があってやってきてみる、雨の中。
「うどん屋ギビツミ」ってお店。

住所をたよりにやってきたら以前、大盛り系の食堂があった場所。タナカくんと何度か来たことがある場所でした。

ちなみに「ギビツミ」って店名は忌野清志郎さんの曲のタイトルから命名されているようで、「give to me」をカタカナにしたものであります。
お店の中には忌野清志郎さんのアルバムジャケットが飾られて、BGMも彼の曲。以前の店が思い出せないほどに見事に改装されたおしゃれなお店。

白いTシャツにジーンズ姿の男性が2人でお店を仕切ってた。

注文してから麺を茹であげるから少々時間をちょうだいします…、と。
きつねうどんをたのんでのんびり待つことにする。

カウンターに二人用のテーブルが並ぶお店は居心地がよく、おいしい出汁の匂いが漂う。
「パパの歌」が流れてきました。
忌野清志郎の歌い方が得意じゃなくて若い頃には好きじゃなかった。でも今きくと味があっていいな…、と思う。
パパの歌が終わって雪どけもそろそろ終わるというタイミングで、きつねうどんがやってくる。

器の端から端に横たわる分厚いお揚げ。麺を引き上げると細めで断面正方形。熱が入ってところどころ角がとれて仕上がっている。器からたちのぼる出汁の香りにほっこりします。

なめらかな麺。唇なでてトゥルンと喉をかけおりお腹をあっためる。
やわらかい。同時にしっかりハリもあり、表面スベスベ、ムチムチとした肉感的な食感がなんとも独特。

汁もやわらか。

塩の加減がやさしくて出汁は丁寧にとられてる。スゴく旨いって感じじゃなくてしみじみ旨い。麺がたぐって口の中へとやってくる汁はほんのちょっとだけたよりない。その分、麺の小麦の風味が思う存分たのしめて、汁だけ飲むとずっとゴクゴク飲んでいたくなる。
汁を吸わせて仕上げたお揚げは揚げそのものの味がたのしめ、やはりほどよい。

どこのうどんに近いんだろう…、と思いながらひたすら食べるも答えはでない。そして気づけば器は空っぽ。そして結論。「これはここのオリジナル」。悪くないなと思って満ちる。オキニイリ。


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