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お好みどおりのざくろのお昼

ざくろにきました。松屋銀座の隣のビルの地下一階。

エスカレーターの上に地下のお店のサインボードがあるのだけれどそこがちょっとギリシャ神殿風にみえ、贅沢で非日常的な何かが地下に待ってるみたいな感じがするのがたのしい。
昔はカレーのトップスもあったんだけど、ケーキの売り場を残して閉店。地下一階は全部「ざくろ」になっちゃった。

見事に作り込まれ丁寧にメンテナンスされた空間。こういう造りのお店は最近少なくなった。
ここのサービス係の女性スタッフはみんなキリッと凛々しく背筋が伸びている。髪の毛をカチッと硬め笑顔ほがらかに仕事するさま、惚れ惚れします。
馴染みのスタッフさんと目が合って「今日もスプレイでカチッと固めておりますよ」って会釈しながら颯爽と厨房にむかっていきます。
いいお店。
季節の料理から好みを2つ自由に組み合わせることができる「お好み定食」。
メイン料理のほかにトマトサラダとご飯、汁、漬物がつく。ここにきたらアスパラ豆腐を食べずにすませるわけもなく、それも追加してひと揃え。

まずアスパラ豆腐とトマトサラダがやってきます。

卵豆腐の底にホワイトアスパラガスを並べて中にはカニのほぐし身。上にたっぷりマヨネーズ。きゅうりにパプリカという冷たい料理。
誰がこの組み合わせを考えたんだろう…、って惚れ惚れするほど味も食感もととのっている。
とぅるとぅるのアスパラガスが卵豆腐を一層なめらかに感じさせ、カニの風味が贅沢感をかきたてる。甘くてぽってりしたマヨネーズ、きゅうりが食感整える。

サイコロ状にしたトマトにみじん切りのタマネギ、パセリ。
ドレッシングをたっぷり注いでスプーンですくって味わう、スープのようでありサラダでもあるトマトサラダもいつものゴチソウ。
メインに食事が揃います。

メインの料理は銀鱈と季節の野菜の炊き合わせ。
牛ロース肉のバタ焼きにした。
魚の煮付けはひさしぶりです。

家で作らぬ料理のひとつ。魚の煮付けを出す食堂もあるけれど、煮付けだけでは心許なくあまりたのむことはない。
いくつかの料理のひとつにある煮付けは俄然魅力を発揮する。
しかも人参、蓮根、里芋、牛蒡、茄子に蒟蒻、椎茸と野菜が多彩でたっぷり揃う。
こっくりとした甘めの味付け。脂ののった銀鱈は骨をきれいにのぞいてくれててご飯をすすますオゴチソウ。

肉のバタ焼きはここのランチの人気の一品。
薄切りにした牛肉をバターの風をつけて焼く。脂をしっかり落として仕上げて、どこか焼きしゃぶみたいな風貌。ただ肉の風味はうま味がしっかり閉じ込められていて、薄さを裏切る食べ応えがあるのがステキ。

芥子醤油のタレをまとわせ味わいます。芥子がツーンと鼻から抜けるシンプルな味のタレが肉の旨み、甘みを引き立てる。
サイドの野菜もたっぷりで、茹でたキャベツにほうれん草、甘く仕上げたキャロットグラッセとステーキの付け合わせみたいになっている。
野菜が貧弱な日本料理が案外多くて、けれどここの料理はどこか洋食的で、和風ガルニがたっぷりお供をつとめてるって感じがボクはとても好き。

芥子醤油をたっぷり吸わせた肉をご飯にのっけて上にお酢で洗ったホースラディッシュ、それから胡椒。
ホースラディッシュのツーンと鼻から抜ける香りに辛味、胡椒の風味が日本料理と洋食の間を行ったり来たりさせてくれるのがオモシロイ。

なめこに豆腐の赤出汁もどっしりとした味わいでお腹落ち着く、オキニイリ。


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