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お店の人にお帰りくださいと言わせる珍客の話 ②

レストランというのは公共の交通機関のようなもの。
自家用車じゃない。
操縦してくれる人がいて、一緒に旅する見知らぬ人がいるから、自分が行きたいところに行きたいように行けるかというとそうはいかない。

わがままを聞いてもらうためにお抱えシェフを雇うお金持ちもいる。
けれどレストランのたのしみは「ただ単においしいものを食べる」だけではない「なにか」がある。
その「なにか」をたのしむためにはほんのちょっとだけの我慢と礼節が必要になるんです。

お店が小さくてサービスが濃密、親密な空気で満たされているお店であればなおさら我慢と礼節が重要で、大好きなお店であってもいつも完璧な状態をたのしめるわけじゃない。
むしろ完璧なんて奇跡に近い稀なこと。
10年通って10回くらいしかなかったんじゃないのかなぁ…。
いつもすばらしいんです。
でもどこかでなにか残念なところがみつかるもので、でもその残念ゆえにまた来なくちゃ…ってなると思えば、残念すらもいとおしい。
それを「贔屓する」ということなのでしょう。

とは言え我慢できぬ残念もあり、例えばこういう残念な人。



もってきたワインを飲もうとゴリ押しする無礼者

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