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市ヶ谷に色っぽいとんかつってのがあるのさ…。

市ヶ谷にできたばかりのとんかつ専門店がある。

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開業したのが5月27日だからまだ一ヶ月も経っていないニューフェイス。
ちょっと上等を狙った店で、実は東京でここ数年、同じような店が増える傾向にある。
とんかつ店に限らず飲食店は両極化がますます激しくなっている。
安くお腹いっぱいになれるお店と、ちょっと高いけど上等でおいしいお店の両極化。

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特に大衆的で手軽にたのしむことができる料理をちょっと贅沢に…、というお店が増えていてて成功しやすい。とんかつっていう料理はそういう料理の典型的なひとつ。

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この店もすべての料理が1000円の後半という強気価格。市ヶ谷駅から麹町に向かう日テレ通りの坂道途中。昔、カレーそばのおいしいそば屋があったビルの中にある。

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鰻の寝床のような奥に深い造りの店です。入り口を入った左手にLの字型のカウンター。中に厨房。一番奥にテーブル席という構造。全部で15人足らずでいっぱいになる。ご多分に漏れずカウンターの席と席の間にしっかりとした仕切りが作られ、まるで一蘭みたいな雰囲気。

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できて間がないということもあってでしょう…、厨房はピカピカ。ラードまじりの油で揚げる店です。脂の匂いが甘くてそして香ばしい。
上ロースカツの定食を選びました。一緒に追加用のヒレカツ。まずロースカツが出来上がりご飯と汁、漬物とともに供されひと揃え。細かなパン粉がフワっと小さな花を咲かせるように揚がった姿がなんともおいしげです。

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断面を見るとこれがなんともうつくしい。
脂ののったうつくしい肉。

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パン粉をぎっしりまとって揚げられた肉はツヤツヤ。きれいなロゼ色。
肉汁が静かに滲み出し、プクッと盛り上がってる。肉の繊維は繊細で、サクッと歯切れる。
脂はくちゃっと潰れて強い甘みを吐き出しながらとろけて消える。パン粉のカサカサちらかる感じが、脂のとろけを引き立てる。

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ほどなくヒレもやってくる。
ロースもうつくしかったけれどヒレのうつくしさはまた格別。筒状に揚げたヒレを3切れに切り分けやってくるのだけれど、中に閉じ込められた肉汁がほとばしり出るようにつやつや表面を濡らす様のなんとも色っぽくっておいしげなこと。色はきれいなピンク色。

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ロースもヒレも塩と胡椒で塩味がしっかりつけられているのでソースを必要としないおいしさ。豚肉ならではの繊細な旨味をそのまま味わうことができるのにウットリします。
脂の強いロースには用意されている岩塩をパラリとちらすと甘みが引き立つ。
ヒレにはわさび。たっぷりのせてご飯と一緒に味わうと、脂の香りが際立ってバッサリとした繊維がご飯と一緒にとろける。上等です。

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その上等なとんかつに負けず漬物やご飯、汁も上等。中でもとん汁の具沢山で味わい飲みつなることに感心しました。すべてにおいてほどよくおいしく、サービス精神旺盛でロースとヒレを食べ比べた対価が2500円ほど。決して高くないと思った。オキニイリ。


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