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坂の町の坂の途中のそばに鮨

坂の町の坂の上にある「神楽坂九頭龍蕎麦」にやってくる。

越前そばのおいしいお店。
坂の途中に入り口がある。立派な門に生成りの麻の暖簾が下がり、そこから一直線にテラスのような外廊下。

非日常にいざなうようなドラマティックなアプローチ。
ときおり風が吹いてきて暖簾を揺らす。一足ごとに空気が変わっていくのがステキ。
お店の中はしっとりとした色気を感じる空間です。

座り心地のよい椅子に大きなテーブルと居心地もよく、そば打ち場では注文ごとに蕎麦を切ってる様子が見える。
白いシャツに黒いベストのサービススタッフがレストラン的でとても丁寧。いいお店。
「福井の郷土料理とおろしそばでおもてなしするお店」というのがお店のテーマ。前回来て食べ、たちまち虜になった料理を選んでたのむ。

越前おろしそばに焼鯖寿司のランチセット。

お膳の奥に焼鯖寿司と冷たいおそば。
そばの器の手前には大根おろしのたれが入った大きな器。漬物、それからだし巻き卵。
そばの上には削ったばかりの鰹節と刻んだネギがのせられている。

角のキリリとたったそばはつややか。
大根おろしのたれをかけて味わうぶっかけスタイル。

大根おろしがぽってりそばを覆う姿はまるでとろろのように見え、けれどすっきりみずみずしい。
そばは太くはないけど歯ごたえ強くたくましく、風味もゆたか。大根汁のうま味や辛味がそばのうま味を引き立てる。
鼻から抜ける瞬間的なわさびと違った辛さなんです…、口から喉を辛くして、お腹がジワッと熱くなる。ひと口ごとにお腹が空いてくるような感じがするのがオモシロイ。

焼鯖寿司のサバは焼き立て。脂が乗ってて、しかも強めに酢で〆られて、皮目をこんがり焼き上げている。
酢飯は押されてかたまっている。ところが噛むとハラリとちらかり、鯖がとろけて脂を滲ます。大根おろしのタレの辛味にそばの味わい、鯖の寿司。多彩な味が口の中で花を咲かせる、よき組み合わせ。
だし巻き卵はふっくら、やわらか。のせたお皿に出汁が染み出し溜まっていくほどしっとりしてる。

そばをお腹に収めたあとに器にのこった汁をもともとタレが入ってた器に戻してそば湯をくわえる。そば湯が竹筒に入っているというのも粋で、しかも熱々、ポッテリしてる。
そば湯で割った大根汁は辛味スッキリ、うま味があとから押しよせる。これで1000円、ありがたし。


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