おむすび
おむすびって不思議な料理です。
簡単に作ろうと思えばいくらだって簡単になる。
残ったご飯にラップをかけて電子レンジでチンして、鰹節と醤油をたらして混ぜむすぶ。
3分かからずできる。
家の中にあるありあわせのモノで作れる、イタリア料理でいえばペペロンチーノアリオリオのような料理。
なのにその専門店も成り立つ。
繁盛しつづけることができるという料理でもある。
最近、オキニイリの「リッツボン」。
新宿二丁目のおむすび専門店で、もともとスナックだった場所。
大々的な厨房設備を必要としない業態ですから、ほぼ居抜き。カウンターの中に厨房。こじんまりしたお店です。
20種類ほどのおむすびメニューがあって、セットにすると卵焼きに鶏のから揚げ、野菜のピクルスがついてくる。
いつもそれに卵焼きと鶏のから揚げを一個づつ追加するのがボクの注文。
梅のおむすびとスパムのおむすびが最近好きな組み合わせ。
味噌汁たのんでひと揃え。
むすびを目の前で作ってもらえるって本当にシアワセ。
決して複雑な料理ではない。
一個分のご飯を器に盛って手水に塩。やさしく手にとり具材を丁寧に包み込むように結んで仕上げる。
その仕事の様子は丁寧です。
調理器具はほぼ手のひらだけ。調理の場所も手のひらの上。ご飯がゆっくり形を整えむすびの形になったところで海苔をはかせる。
おむすびと海苔の関係は多様で多彩。
パリパリの海苔の食感を食べさせるため別添えの店もあれば一緒に結んでなじませるのもある。
海苔は不要という店もあり、ここはしっとりパリパリが共存している平和なスタイル。
結び方もふっくらもあり、きっちりもあり。ここはやさしいふっくら派。だから噛むとご飯が崩れて巻かずにおいた海苔まで広がる。
歯切れのよい海苔で、パリッと壊れてご飯となじみ磯の香りがフワッと漂う。
手のひらでできた料理を手づかみし手から味わう。
手から伝わるおいしさを存分満喫。ニッコリします。
梅はたっぷり。酸味の強いおばぁちゃんっぽい梅干しで、口が途端に潤ってくる。
こんがり焼いて脂が抜けて小さな穴がポツポツ空いたスパムにマヨネーズ。
ご飯にたっぷり胡椒を混ぜてあるのがピリッと風味を添える。
ご飯と胡椒という組み合わせはあまり思いつくものでなく、ここで食べてからたまに真似ます。
辛さではなく風味が良くなる。しかも甘みも感じるところがオモシロイ。
土鍋ご飯を炊くときに粒胡椒をいれてみるのも粋で乙。
今日の味噌汁はトマトの味噌汁。
味噌の旨味とトマトの酸味がよき相性。トマト自体の旨味も手伝い飲んでしまうのがもったいなくなるようなおいしさ。
隣の人がジェノベゼっておむすび食べていました。
ご飯にジェノベゼペーストを混ぜてむすんだおむすびで、香りがいいこと。
あれを口に含んで今日のトマトの味噌汁を飲んだら旨いに違いない…、って思わず「分けて!」ってお願いしたくなっちゃった。
ジェノベゼおむすび。
作ってみようか、それとも今度きたときに食べてみようか。でもスパムも食べたい。梅干しだって外せない。
他にもいろんなおむすびあって、胃袋がいくつあっても足りないくらいのオキニイリ。
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