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はじめてひとりでゴリラ食堂

タナカくんを亡くしてから、夜の町が怖くなってた。
家で仕事をしていたタナカくんを残して、1人で昼間の町を歩くことはよくあった。
けれど夜に近所を歩くのは、タナカくんといつも一緒のことだったから、ひとりで歩くとどこか不安でさみしくなった。この3年近く、特別のことがない限りひとりで夜の町にでなかった。
最近、徐々に気持ちもほぐれて、ときおり町を夜歩く。
そのほとんどはコンビニにいったりただただ町をぼんやり歩いたり。
今日は思い出の店で食事をしてみようと「ゴリラ食堂」にやって来てみる。

オフィスビルの2階にあって、レストランがあるとは思えぬアプローチ。階段をあがるところにゴリラのイラスト、「ゴリラ食堂」と書かれてる。そのデザインや色調がほんのちょっとだけ「ウルトラQ」の番組ロゴのようで、多分、狙ってるよネ…、なんて言ってた。

ご主人がほとんど一人で切り盛りしている洋食店。たまにサービスを手伝う人がいるけれど、大抵ひとり。
混んでいると時間がかかる。
テレビが2台おかれてて、みんなのんびり料理を待つ。

料理の提供がおそいからって怒る人なんてまず来なくって、飲食店って助け合いで出来てるんだなぁ…、って思う。
メニューの種類は豊富です。

唐揚げ、とんかつ、生姜焼き。ご飯がもりもり食べられる揚げ物、肉料理がメインで定食の他にワンプレート料理もある。ワンプレートっていうとカフェ飯みたいに聞こえるけれど、ここのワンプレートは大盛り系の野郎飯。
トルコライスを選んで食べる。

タナカくんがここでは必ず食べてた料理。
盛りがいいのが人気の店で、はじめてふたりで来たときに、あれも食べたい、これも食べたいって定食2つに単品メニューを2つたのんだ。
そしたら腹がはちきれそうになっちゃった。
他にもなつかしい料理があって、食べてみたいけどトルコライスだけにしてご飯は控えめ。
それでもお皿の上にぎっしり。
持つとずっしり、かなりの分量。

とんかつの下にハンバーグ。
そのまた下にはドライカレーにスパゲティーのケチャップあえ。

サウザンアイランドドレッシングがかかった千切りキャベツのサラダが添えられひと揃え。
とんかつの上にはたっぷりデミグラスソースがかけられていて大食い魂をくすぐる「大人お子様ランチ」な一品。

豚肉をよーく叩いて筋を抜き四角く形を整えてからパン粉をぎっしり。さっくり揚げたとんかつは肉はやわらか。細かなパン粉がサクサク揚がって、どっしりとしたデミグラスソースがからんでおいしい。

ハンバーグは表面を焼きかためてからソースで煮込んだ煮込み系。細かなひき肉がホロホロ散らかるような食感。粉チーズをたっぷりかけてコクと風味を出してやる。
ドライカレーは乾いた感じ。だからデミグラスソースとからむとおいしく食感ととのい、スパゲティーは炒めた香りがこうばしい。

どれもがタバスコと相性のいい料理ばかりで、タバスコバシャバシャかけてたのしむ。
体にわるいものってなんでこんなにおいしく感じるんだろう。しょうがないなぁ…、と思いながらもやめられません。腹いっぱい。


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