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ひのき香る箸、日本の朝食

日本の料理で贅沢な朝をはじめましょう…、と帝国ホテルのなだ万にくる。
朝食のあとに打ち合わせをロビーラウンジですることにして、「だからついでに」と言い訳作った。

地下アーケードの長い廊下の奥になだ万と書かれてて、この前、ここで写真をとったときには淡い象牙色だったはずの背景が、今日は明るい小豆色。
季節季節で意匠を変えているんだなぁ…、って思ったりする。おもてなし。
朝粥定食を選んでたのむ。

大きなお膳の上にズラリと器が並ぶ。
味噌汁の椀。お粥の器。炊合せの鉢とどれも蓋をしたままで、ひとつひとつ蓋をとりつつ中を覗いて目をたのします。

蓋があるのとないのとでお膳の上の景色がまるで違って見えるというのにウットリ。

お粥の器から湯気がゆらりと上がって揺れる。
膨れた米粒がゆったり沈まずポッテリ。光をはじいてツヤツヤしてみえ、どこか荘厳なムードすらある。
茶碗にほんのひとすくい。まずはお腹を温めようと割り箸わって口に運ぶと、ひのきの香りが今日は鮮烈。

いつも同じ箸だから、いつも香っていたはずなのに今日ほど強く感じたことははじめてで、湿度だとか温度だとかの影響なのかなぁ…。
すがすがしくて、目を閉じ香りに集中すると深い檜林に佇み、炊いたばかりのお粥を食べてる景色が見える。
なんだか神様の食べ物をおすそ分けしてもらって食べてるような気持ちになりました。

ちなみに今日の朝はにぎやか。
しかも日本各地のお客様たちでにぎわっていて、お国言葉に耳すます。
おそらく津軽地方の人たちかなぁ…。
彼の地の友人に会いたくなった。

丁寧に作られた料理でお粥を味わう。
まず炊き合わせ。ご飯のお供が4種類に皮までパリッと焼けた塩鮭。厚焼き玉子に酢蓮根。おからと芋をあわせて小判に揚げたものと、食感、味わい、多彩でたのしい。お味噌汁にはネギにお麩、とろろ昆布がたっぷり混じって体をしっかりあっためる。

ここのお粥には梅餡がつく。鰹節とか醤油の味が広がる鼈甲餡もおいしいのだけど、この梅餡。酸味豊かで、出汁の旨味もしっかりしてる。一口ごとにお腹がスッキリしてくるところが朝にピッタリ。
袋に入ったちりめん山椒。お弁当屋さんとかコンビニなんかでくれるソースや醤油のパッケージは、切り目が入っててすぐ開く。ところがしっかりとした防水加工された和紙の袋がなかなかスパッと切れず、難儀しながらひらいてパラリ。朝の小さな労働と山椒の香りに目が覚めました。お腹も満ちます…、さぁ、打ち合わせ。

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