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ラテラルアクシスカットカルビでLAカルビ

韓国料理に「LAカルビ」って料理がある。
骨付きカルビを骨に垂直に薄切りにしたカルビをこんがり焼いたモノ。
ずっとこの「LA」はロサンゼルスのLAだと思ってた。ロサンゼルスのコリアンタウンでよく見るスタイルだし、韓国系のファストフードでカルビと言えばこの形。
それに韓国の人ってロサンゼルスが大好きだもんなぁ…、って思って食べてたんだけど、実は「Lateral Axis Cut」の略だというのを去年、はじめて知った。

軸に平行に切ったカルビ…、つまり背骨に水平に肋肉を切ればこういう断面に仕上がっていく。
タレに漬け込みバリッと焼く。骨と肉の間の膜や脂が縮んで焼き上がり、前歯を当てるとベリッと剥がれる。
その感覚が面白く、ゴリゴリとした膜独特の歯ごたえがかなり特別。肉自体は薄いのに、肉を喰ってるって実感の湧く肉肉しさにうっとりします。オキニイリ。

家の近所でこの独特を食べられるのが妻家房。
一階に食品販売店があり、その奥に「キムチ博物館」なるちょっとした施設があってそれに併設されて料理教室があったりもする。
小さな韓国…、みたいなお店。
急な階段を二階にあがるとレストラン。ホールでサービスする人も、厨房の中のスタッフも全員韓国人という本場、本物、オキニイリ。

チヂミが人気の料理です。

そもそもチヂミという料理にはいろんなタイプがあって、どれが本物かにわかに決まらぬ不思議な料理。バリバリに揚げ焼くようなところもあれば、薄くペラペラに焼くところもある。
ここのチヂミは表面さっくり、中はふっくらというタイプ。
実は東京でチヂミというものに力を入れた韓国料理のお店はここがはじめてなんだと言われてて、一時期、このスタイルがスタンダードになったこともある。だから食べるとなつかしさすら覚える味わい。

青ネギとイカが具材というシンプルなレシピなんだけど表面パリッ。食感ふっくらと出来栄え上等。いつも必ずここではこれをたのんで食べる。今日は特別イカが大きくたっぷり入って、味わい濃厚。焼き上がりの状態もよくて、もしかしたら調理人が変わったのかなぁ…、こういう変化は大歓迎。

そして石焼ビビンパがくる。
小ぶりの石鍋がチンチンに焼かれてて、ジュージュー湿った音がする。ご飯が触れて焼かれる音で、上にはナムルに肉味噌、生の玉子の黄身がポトン。コチュジャンを加えてスプーンでかき混ぜる。

ご飯の粒を潰さぬように、やさしくやさしく、空気をたっぷり含ませ混ぜる。おこげを作ろうと鍋肌に無理やり押し付け焼く人もいる。でもバリバリのおこげが苦手。だからご飯を宙に舞わせるようにしながら、器の中身が混ぜ合わさったら表面平にして休ませる。バチバチご飯が焼ける音。それが落ち着き静かになったら出来上がり。

自然に焦げたご飯はおいしい。適度にご飯から水分がでて、食感軽くてパラリパラリと口でちらかる。よく出来です。

スープ代わりにユッケジャンうどん。茹でた牛肉をスライスしもやしやぜんまい、ネギがたっぷりはいってて汁は濃厚。ビリビリ辛くて、でもその辛さも忘れてしまいそうになるほどどっしり旨い。
うどんは角が立ってスベスベ、コシの強い麺。でんぷん質をたっぷりくわえて歯ごたえがよく時間がたってものびないところがオモシロイ。お腹の中から体がしっかりあったまり、元気も出ます。ナムルとキムチ、コチュジャンを買って帰った、金曜日。


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