見出し画像

お茶屋さんで買う冷たいお茶

子供の頃、商店街の子でした。
松山の大街道商店街というアーケード街に住んでいて、同級生のほとんどが何かしらの商売をやっている家の子どもたち。
名前よりも屋号で呼ばれることさえあって、ボクの親父は「へんこつ庵」という鰻屋をやっていたらか、「へんこつのしんちゃん」だとか「うなぎ屋のしんちゃん」なんて呼ばれたりもした。
他にも写真屋だのおもちゃ屋だの下駄屋だの、まるで江戸時代か…、って今となっては笑い話のようだけど、当時はそれが普通のことで誰も不思議と思わなかった。

遊び場は当然商店街。
走り回って喉がかわくと小銭をにぎりしめてお茶屋さんに飛び込んだ。
店頭にお茶が噴き出すディスペンサーが置かれて、緑の噴水みたいな様子が子供の目にも涼しかった。

お茶屋さんって少なくなりました。
お茶を淹れて飲む習慣が少なくなった。
特に冷たいお茶はペットボトルをコンビニで買うというのが当たり前のようになって、ニーズが減ったから。
しょうがないかなぁ…、と思うもののそれでもがんばっているお茶屋さんが探せば結構あるというのにホッとする。

新宿の西口からつながる飲食店を中心とした商店街の入り口角にある「茶の池田や」というのもそういうお店のひとつ。
店の中には多彩で豊富の茶葉や茶道具。
壁面に小さな窓がひとつ空いてて、そこが売店。
冷たい抹茶をくださいな…、ってお願いすると入り口脇のお茶ファウンテンに空のペットボトルをあてがってお茶を注入。
おまたせしましたと、手渡される。
値段はたったの300円。

抹茶の香りと旨味に渋み。砂糖は入っていないのに、自然な甘みでゴクゴク飲める。昔はこういうサービスをするお茶屋さんがたくさんあった。コンビニエンスストアじゃ変えない、ちょっと不便なおゴチソウ。汗も引きます…、ありがたし。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?