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ここにしかないステーキ、ル・モンドのステーキ

新宿西口の「ルモンド」にステーキを食べに来る。

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西口のヨドバシカメラ王国の中にポツンとある小さなお店。
コロナ以前はいつも行列がお店の前にあってそれが目印だった。けれどさすがに今は行列もなく、知らずに前を通ったら見過ごしてしまうほどに間口が狭く、お店の中もカウンターが一本だけ。

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一番奥にステーキを焼く炭場があってどこに座っても肉を焼いている気配を感じる。
タナカくんも好きな店だった。
漫画を描いていたときには原稿料が出たらここでステーキを食べる。一生懸命がんばったご褒美だったんだよ…、って言ってた。

なるほどステーキそのものが好きなのか、と思っていきなりステーキに誘ったら、あそこは「ほら安いだろう、喰いたいだろう」って売ってやってる感が強くて下品で嫌だ。ステーキっていうの料理は寡黙なプロのコックさんが肉を焼いてる感じがなくちゃおいしく感じないものネ…、って言ってた。

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だからここのお店が好きだったんでしょう。2人でも何度も来てた。
入り口で注文をして席が整うのをちょっと待つ。案内されるとすでにそこにはスープやサラダが用意されているという具合。座るとすぐに食事がスタートできるというのが洗練されてる。
コーンスープは甘み、塩味のバランスがよくぽってりなめらか。

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レタスだけのサラダはパリパリで冷たく整えられたレタスに塩とレモン汁、少量の油だけをドレスしたみずみずしくてレタスの持ち味を思う存分たのしめるオキニイリ。じっくりステーキが焼かれていくのをたのしく待ちます。

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肉の焼き方は独特です。
強火の遠火でじっくり時間をかけて焼く。
ジューッであるとかバチバチだとか肉を焼くときにつきものの音はしないし煙も出ない。
とにかく静かに粛々と肉が焼かれていくのです。
同じ炭場でも下に積み上げている炭の高さや状態で温度が違う。
カウンターからみて手前は温度が高くてそこで表面を焼き、徐々に奥に向かって中火で芯まで熱を通して奥で休ませ盛り付ける。
焼かれ具合も独特で、ベリーレアです。表面はカチッと焼けているのに切ると中はロゼ色でねっとりやわらか。けれど断じて生ではなくて芯まであったか。
噛むと舌や歯茎にからみつくようななめらかさにて、肉汁ジュワリと口の隅々を潤す感じ。炭の香りは香ばしいのに肉の生々しさを味わえる。ローストビーフとステーキの両方のおいしさを味わうことができるたのしさ。

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ヒレとサーロインを一枚づつというのがいつもの注文。

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スッキリとした酸味がおいしいヒレにはベーコン。脂と肉の旨味が互いを引き立て合うのがおいしいサーロイン。その両方にメンテルバターがたっぷり乗せられサラサラとした醤油の風味が際立つソースがまた独特。

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ガルニはいつも変わらずフライドポテトと茹でたいんげん。フライドポテトは熱々、ホクホク。いんげんがキュッキュと奥歯のところで鳴って壊れていくのもよきアクセント。

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一口大に切りわけた肉をソースに浸して一旦ご飯の上にのっけてそれからパクリ。ご飯がどんどん育っていくのをたのしみに、ソースまみれの一口分の最後のご飯にパセリをのせて食べるのがタナカ流にて今日は真似する。オゴチソウ。


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