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サカキシンイチロウのおいしい手帖

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おいしいお店。おいしい料理。 愛着があってずっとこのままでいてほしいなぁ…、と心から思える宝物みたいなお店や料理を紹介します。
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2020年4月の記事一覧

しゃぶしゃぶという料理の概念がリセットされるご馳走しゃぶしゃぶ

夜をしゃぶしゃぶ。「代々木今半」という店を選んだ。 かなり手広く多店化している「人形町今半」の創業一族の一人がやっている、ココ一軒だけ。 オリジナリティーあふれる店で、今日はココで食事をするって思っただけでこの一週間ほどウキウキ気持ちが盛り上がったほど。 代々木の駅から真っ直ぐ歩いて5分ちょっと。そろそろ住宅街に入りそうな場所のビルの地下一階。 店に入るとテーブルの上には鍋が用意されてて乾杯用に前菜ふたつ。茹でたキャベツと蒸したタン。脂ののった牛肉を煮て佃煮にしたモノと、

明日から暫くお休みになる、その前の今日

夜、六本木のオステリアナカムラ。 一週間ほど前に「最近、いかがされてますか」ってメッセンジャーで連絡したら10日からしばらく休む予定なんですと。 それは大変とその前日に予約してやっと今日が来た。 飲食店が長期休業をするって本当に大変なコト。冷蔵庫や冷凍庫に残った食材ってどうなるんだろう…。今日を目指して上手に仕入れを調整したのかなぁって思ってメニューをみるといつもに増して充実の品揃え。 大丈夫って聞いたら、ありがたいことにいい具合になくなってくれているんですよ…、って。 こ

ボクが好きなタイプの店はこういうお店

歩いて近所の志な乃に来る。先日来、蕎麦がどうにもこうにも食べたくそれで今日。 新宿御苑の近所の店で、いつも静けきいぶし銀。 今日もボクの前に先客ひとり。そのあとパラリパラリと二組ほどがやってくる。お店の人の働きもゆったりとしたペースで丁寧。よきお店。 考えてみればボクが好きなお店って、過ぎた人気で混雑しているお店は数えるほどしかなくて、そのほとんどがのんびりしていて、ずっとほどよき人気が継続する店。この店もそう。 こういう時期にはなんだかとてもありがたい。 合盛りせいろを

町と生きる店、扉の向こうに見える景色

家の近所の「鈴新」で昼。地域愛にあふれる小さなとんかつ店。 数年前まで厨房の中で腕をふるっていたご主人は、息子さんにその座を譲ってカウンターの外でサービスに専念されてる。 換気をよく…、というコトでしょう。今日は出入り口の横で扉の開き具合を加減しながら表をみてる。お客様が近づいてくるとサッと入り口を開けてくれ、まるで「人動力の自動ドア」のよう。 今日みたいな日に営業するのは気がひける。けれど毎週土曜日はラードを仕込む日。昼だけ営業をやらせてもらっているんですよ…、と気さく

この店の近くに引っ越したい…、って思わせる店。洋食の店橋本

熊本で昼。前から行きたかった店に来る。 「洋食の店橋本」という名前で、アーケード商店街に面したビルの2階とある。ところが店へのアプローチがちょっと独特。便利な場所なのに隠れ家みたいな不思議な場所にワクワク期待が高まっていく。 入り口を入るとカウンター。中に厨房。奥に向かって広くなり、適度な間隔でテーブルクロスをまとったテーブルが置かれてる。 カウンターならご用意できますと言われて案内された席はカウンターの真ん中の席。目の前に火口があって仕事のすべてが見て取れる。厨房自体が

ベルクという小さな楽園

新宿のベルク。 この店がある新宿に住めていることを心から感謝できる店。 季節季節で空気が違う。時間時間でリズムが違い、そこに集まる人でムードがかわってく。お店というのは生き物みたい。街の空気と集まる人の気を餌にして息づくモノだね…、ってしみじみ思う。 ビール片手にゆっくり朝の時間をたのしむ人もいるけれど、朝のリズムは引きしまっていてせわしない。 それに比べてお昼過ぎのここのムードは本当にのんびり。午睡からあくびしながら目覚める感じが心地よい。 マイスターハム&ケーゼサンド