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タナカくんと上条毬男

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25年間付き合ってきた大切なパートナー。タナカくん。 彼には上条毬男というもうひとつの世界がありました。一世風靡したゲイ漫画家で、けれど晩年、その経歴から決別し新しい世界を切り拓…
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#タナカくん

30年近く前の今頃のコト

タナカくんとはじめて会ったのは多分、今頃。 もう30年も前のコト。 知り合ったのはその年の桜の散りごろ。 インターネットのマッチングサービスで出会ったのです。 小さな写真とプロフィールにとても気になり、会いましょうよとボクから連絡するも忙しいからとなかなか機会に恵まれなかった。 あまり頻繁に連絡すると嫌われるかと思うも、1週間に一度くらいの頻度で、自分の生い立ちや趣味に近況と、付き合いはじめたカップルが話すようなことをメールに書いて送っていました。 返事があることもあり、な

ウーピーゴールドバーガーとタナカくん

東京都内であればどこへでも原付で移動していたタナカくん。 1時間とか平気で原付を走らせていた。 大変じゃない? そもそも退屈なんじゃないの…、って聞いたら歌いながらのればあっという間さって笑ってた。 ポルコロッソヘルメットをかぶって乗ってた。 紅の豚のポルコロッソが被ってたようなゴーグルと耳当てのついたヘルメットで、耳がすっぽり隠れるタイプ。 だからカナル型のイアフォンを片方だけして、オキニイリの歌を聴きながら運転するのネ。 聴けば自然と歌が口から飛び出してくる。 つまり、

ボクは元気にやってます!

今年のお盆はタナカくんが戻ってきたんじゃないかしら…、って思うほどに気持ちがずっとざわざわしてた。 落ち着かないんですよね。 ソワソワしちゃって。 それで電車にのってタナカくんがひとり暮らしをしていた部屋を見にいったり、好きだったものを作って食べてみたり。 盆明けの朝には珍しくタナカくんが夢に出てきた。 へんてこりんな夢でねぇ…。 尻切れとんぼで目が覚めて、その夜、早く寝たら夢の続きがみれるかしらと思って早く寝たのに続きはみれなかった。 無事に空の向こうに帰ったんだなぁ…

絵師としてのタナカくんを想う…。

今日はタナカくんの月命日。 画家としての彼の最晩年の話をしましょう。 ゲイ漫画家としての活動を40代の半ばですっかりやめてしまって、それからボクと一緒に業務漫画をいくつか描いた。 けれどそれも彼にとってはそれも心から納得できる仕事じゃなかった。 だからしばらく、ほとんど何も描かない時期がありました。 4年ほど前のことでした。 美術展で「月岡芳年」の絵をみて、まるで雷に打たれたようになったのですネ。 絵の前から動かずずっと見続けて、家に帰ってインターネットで彼の作品を探して