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飲食店を好きであり続けたいから

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外食産業はかつて憧れに満ちた産業でした。 日本において最大の雇用産業。日常的なレジャー産業でもあり、働く人もお客さまも期待と憧れをもって飲食店に接していた。 最近、外食産業が輝き…
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記事一覧

資さんがすかーらーくに身売りしちゃったってさ!

一ヶ月ほど前に北九州の資さんうどんの話をしました。 北九州のうどん屋さんが東京でポップアップを展開し、これから本格的に東京進出をするらしいけど、果たしてどうなんだろう…、って内容の話をした。 その後、東京1号店の場所が蔵前に決まったりして、着々と進出準備が進んでいるようにみえていた。 ところが今日、突然のニュース。 すかいらーくホールディングスが資さんうどんの発行済株式のすべてを取得したんだという。 買収額は240億円! かなり大きなディールです。 そもそも資さんうどんを

名シェフになるために大切なこと

シェフになるために修行するのにいいレストランはありませんか? そう言う人が中国料理のシェフを目指す人であればボクは迷わずとあるお店を勧めます。 そのお店のオーナーシェフがすばらしい人で、若い人のやる気と可能性を引き出し育ててくれるに違いないと思わせるから。 実は昔、外食企業の経営者の勉強会で有名シェフとのパネルディスカッションを行ったことがある。 日本料理、イタリア料理、フランス料理、中国料理のシェフ、しかも経営に携わるオーナーシェフに参加していただいて「名レストランを作る

ちょっと気になる、シェフの出身

「◯◯出身」と有名店で働いていたということを売り物にする調理人がいる。 ボクはあんまり気にしない。 出身大学だけを基準に採用するって人事担当者がいたらそれは大バカものでしょう? それとおんなじ。 調理人は作る料理が通知表。 調理師学校で講師をしていたとき口癖で言ってた言葉で、通知表には点もつくけど通信欄があってネ…、その通信欄の方が大切。 それは個性や人柄が反映されているものだから。 この学校の出身者という肩書き以上の肩書きを作ることがみんなの最初の目標だからネっても言って

うつくしき幕引き

お盆の季節。 亡き人をお迎えし、気持ちよくお戻りいただくための4日間。 どんなことを書こうかなぁ…、としばし思案して、そうだここ最近、バタバタと好きなお店が閉業した。 しかもうつくしき引き際でいなくなってしまったお店のことを書いてみようと思った。 お店も人も引き際がうつくしければよき思い出をずっと残せる。 そしてそれがむつかしい。 ソーシャルメディアで情報が一瞬にして拡散される今の時代の潔く、そしてうつくしい引き際の話をちょっとしてみましょう。 閉業直前のお店で悲しい思いを

うどんにおはぎ、きつねときざみ

北九州出身の「資さんうどん」が東京に出店する。 先月、神田でポップアップが開催されて、その初日に告知。出店場所が両国になったと先日、正式に発表された。 ソーシャルメディアで「博多うどんの人気チェーンがとうとう東京にやってくる」なんて投稿を見受けることがあるけれど、資さんうどんの出身は北九州。 会社のオフィシャルウェブサイトにも「資さんうどんは北九州のソウルフード」と書かれているから北九州うどんであって博多うどんにはない特徴がある。 「やわい麺」と「おいしい出汁」という九州各地

本物を食べたことのない人が作る料理の危うきことよ

今日食べたパティメルト。 本来ならばこのような姿であるはずでした。 チーズがとろけて溢れ出すからこそメルト。 ビーフパティの代わりにツナのオイル漬け使ったツナメルトも、チーズだけをたっぷり挟んだチーズメルトとメルトはさまざま。 そしてどれもが迫力満点。 それに比べて今日のパティメルトは静かでなんともおとなしい。 これを作った人はパティメルトという料理を食べたことがあったんだろうかって不思議に思った。 作った人にはふた通りあって、企画した人、製造した人。 製造した人がレシピ

スターバックスの「共感プログラム」を考察す

スターバックスで朝にしました。 新宿西口の電気街の中にある店。 朝からにぎやか。テーブル席はほぼ埋まってて、窓を背にしたベンチシートに小さなサイドテーブルをポツンポツンと置いた席に座ることにした。 カップホルダー用の穴がふたつ並んでて、このテーブルを挟んで並んで座るのってステキだろうなぁ…、恋人シートをひとりじめ。 朝のお腹になにがいいかなぁ…、とショーケースの中を見る。オキニイリのソーセージパイにしようかと見ると隠れるようにキッシュがひとつ。 ひさしぶりにこれにしようと思っ

お店とお客さまの関係のコトをサイゼリヤにて考える

土曜日の昼。サイゼリヤで昼食をとる。 とてもにぎやか。グループ客に若いファミリー、シニアさんと客層さまざま。 近くに座ったおばさまが、自分はこんなにも健康に気を配った生活をしているんだと熱弁を奮ってらっしゃった。 たくさん歩かなきゃいけないけれど、1万歩も歩くと関節に負担がかかるって言われたから9500歩くらいにしてるのって…。 カロリーの話や食べ方の話。 どれも細かな数字を挙げて説明するさま、いかにも律儀な昭和世代って感じで聞きいった。 なにより歩くということに執着してら

飲食店にあまえ続けたボクたちへの答えなんだろうネ

「すき家」がオペレーションの改善を行おうとしている…、というニュースが先日報じられていました。 行き過ぎた合理化によってワンオペを横行させることで貼られてしまったブラック企業のレッテルを剥がそうと、働き方改革を進める過程での改善が、「利用者にとっては改悪ではないか」というような論調で、それは本当にそうだろうか…、と最新のすき家を探してやってきてみた。 神保町のお店です。 どんな改善かというと「テイクアウトもイートインも同じ使い捨てのパッケージを使用する」というもの。 セル

東京ドームにできたフードコートがオモシロかった!

6月24日、東京ドームシティーに新しいフードコートができたというのでやってきてみた。 フードスタヂアムトーキョーって名前で、ビルのワンフロアをまるごと使った大型施設。 店舗の数が11店舗。 クセのあるテナント揃いで、しかもいわゆるチェーン店が入っていない。 入り口脇に蒸気をもうもう噴き上げる蒸し器を並べた点心の店があったり、香港のネオン街をイメージした中華料理屋さんが入ってたりと、お店はどこも結構バエを意識した造り。 とは言え最近、東京のいろんなところにできるインバウン

レッドロブスターの米国法人が破綻しちゃいましたネ

昨日までの「シーフードレストランとパスタとフォーク」って記事を書きながら、そういえばレッドロブスターの米国法人が経営破綻したんだよな…、って思い出す。 世界有数の規模を誇ったシーフードレストランのチェーン店。 日本にも現地法人があって、実は10年ほど前に日本法人に対するM&Aを仕掛けようかと準備していたことがある。 日本の法人も当時、いい状態ではなかったのです。 ちなみに米国に551店、カナダに27店という大チェーン。 従業員数3万6000人、その多くがパートタイマー。

百年保つ、百年続くを考える②

飲食店って不安定で未熟な産業だよね…。 だって、結局、身内で継ぐしかないんだもの。 そんなことを言う人がいる。 料理は、誰が作っても作り方さえ守れば同じものが必ずできるというものじゃない。 経験だとか感性だとかというものが介在してしまうものだから、短期間で継げるものじゃない。 ならば技術と経営を分けてしまえばいいじゃないかということもできるけれど、完全に技術を他人に委ねてしまう経営はどこか危うい。 売上高が50億円をこえる、外食産業としてはかなり大きな規模に属する企業であ

百年保つ、百年続くを考える①

超高層マンションが次々できる。 かつてのように爆発的な人気というわけではないけれど、今でも人気が続いてる。 多くの人が一生の資産と購入するうのだろうと思う。 40歳で買って一生用なら50年ももてばいい。 でも孫子の代まで受け継ぐことができる資産かというと、そんなことはないだろうな…、と思うのですネ。 日本の高層ビルは驚くほどに短命です。 オフィスビルとか商業用のビルならば、より付加価値が高く同時に効率の良いビルに建て替えようと思う気持ちは合理的。 けれどそもそも大型ビルと

経営にロマンは必要?それとも邪魔モノ?②

イタリア系のアメリカ人が経営する10店舗ほどのチェーン店でした。 店数はそれほど多くはないけれど、どの店も200席を超える大型店でしかも客単価も50ドルほど。 ブランド力もあって、ブランドイメージに見合うだけのいいロケーション。 当時、大型レストランが流行った時期でもあって、彼らは大きな店を難なく動かすオペレーション力と製造技術があるということを自慢にしてた。 ボクらも何百人分ものイタリア料理を遅れなく、しかも一定の品質で作り続けることができるシステムに対して大いに関心があっ