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オモイデ

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2023年6月の記事一覧

初夏の鱧鍋、卵とじ

荒木町の車力門通りの入り口近くの「さわ野」でお昼。 はじめて入ってみたのが3年前の春がはじまる頃のこと。 ふたりともいたく気に入って、それからタナカくんが逝く1ヶ月近くの間に数回来てる。 当時、浮世絵をモチーフにした絵のシリーズを描き始めていて、この店のご主人の凛々しい顔立ちに惚れ込み、「武者絵を描かせてください」って写真を撮らせてもらって途中まで描いていた。 描き上がったら作品を手に、夜に伺い酒盛りしよう…、っていってた矢先に逝った。 心残りだったろうなぁ。 今でもくる

大好きだったオムライス。池袋のキッチンチェック

昼はやっぱりキッチンチェック。 この前も行列ができていたから開店時間の15分ほど前に来た。 そしたら今日もすで4人待っててボクが5人目。それから次々人が並んで、開店時間ちょっと前には20人くらいが並んでた。 一時の熱狂的な行列はなくなったけど人気の店です。 前回来たときは、外で待ってるときに注文をとっていたけど今日はそういうこともなし。 なるほどあのときは緊急事態だったんだなぁ…、って思う。 ほどよき人気がずっと持続することこそ実力のある人気店の証なんだと思ってニッコリ。

ひさしぶりの木蘭。かわらぬおいしさ

思い切って「木蘭」に来てみる。 家から歩いて5分強。新宿一丁目にある小さな中国料理店。タナカくんとよく来ていたお店です。 ほとんどが夜。飲みながらいろんな料理をたのんでじっくり食事をたのしんでいた。紹興酒のボトルキープもしていたほど。 彼が逝ってから一度だけ、友人とふたりできたけどそれ以来。 思い出がありすぎちゃってネ…、ひとりじゃ怖くてこられなかった。 でも月命日の今日。 お店の前でぼんやりしてたら「そろそろ行ってみたいよぉ」って声が空から聞こえたような気がして来てみた。

好きだったオレオチーズケーキ

新宿御苑を突っ切って「オールシーズンズコーヒー」でお茶。 混んでるだろうなぁ…、と思ってきたら珍しいことに行列はなくカウンターの席がひと席あいていた。 タナカくんが空けてくれていたんだなぁ…、と思って甘いものにする。 プリンも好きだったけど、ここのチーズケーキも好きだった。 フィリングの中にオレオクッキーを何層にも重ねて焼いたチーズケーキで、これが本当においしいの…。 土台の生地にも砕いたオレオが混ぜ込まれていて、ザクザクボロリと儚く崩れる。 フィリングもボソッと粗めで

渋谷の福田屋。思い出の冷やしなすそば

寿司をつまむとなにか麺を食べたくなってしまう厄介な性分。 渋谷「福田屋」の茄子の冷やしそばを食べたいなぁ…、と思ってきてみる。 渋谷にあって渋谷にいることを忘れさせてくれるのんびりとした普通のそば屋。 今の渋谷で「普通であること」はむつかしい。いつきても昔通りでずっとかわらぬ普通なそば屋って貴重でとてもありがたく、よくきてた店。 そば前で飲んで〆るのもたのしくて、タナカくんも好きだった。最後に一緒に来たのはみぞれ混じりの雨の冬の日。飲んで食べ、近所のカラオケボックスで歌っ

高円寺。マシタで嘆きチョップスティックスで気を取り直す

高円寺はアーケード街のある町。パル商店街の入り口付近が、母の実家の高松のアーケード街に似ていて、来るとなんだかホッとする。 タナカくんも高松の商店街近くに5年近く住んでいたから、なつかしいねぇ…、って来るたび言ってた。 なつかしい。 中央線のガード下のあやしいムードもオキニイリ。 夜は特ににぎやかでここにしかないいろんな店があるんですよネ。どこも安くてたのしい人たちが集まっていて、こういう東京ってステキだなぁ…、ってよく来てた。 ところが最近、再開発で「高円寺マシタ」ってい

おかめの杏のかき氷

辛くて熱いスパゲティでお腹の中まで汗をかいたら甘くて冷たいもので〆。 ちょっと歩いて交通会館の「おかめ」にきます。 おはぎが人気の甘味処。けれど軽食メニューも充実してて、食事時にもいそがしい。 ご婦人がたでにぎわうにおじさんひとり。恐縮します。 かき氷がはじまっていました。 イチゴに宇治、メロンにレモン、小豆とバエを狙わぬシンプルさ。 一番好きなのは「杏氷」。それにする。 注文するとシャリシャリ氷を削る音がしてまもなく完成。「お待たせしました」と木のトレイにのせられ到着。

好きだったビーフトマトにタバスコかけて

ひさしぶりに「キッチンたか」に行ってみようと思ってくる。 タナカくんとしばしばやってきていた店で、いろんなことを思い出すのがうれしいようなさみしいような…。 混んでるかなぁ…、もし行列ができてたらあきらめようと思ってきたらすんなり入れて、これもタナカくんのお導きって思っていつもの席に座った。 ビーフトマトをたのみます。 目の前には厨房。ご主人がさっそく料理を作りはじめる。 フライパンを五徳の上で円を描くようにすべらせて具材を焼いてく。 スルスル、鍋底が五徳を擦る音に混じ